第40話 夏休みと本当の事 前編
もう、蝉の声が、暑い、
夏。あれから、3ヶ月が、
過ぎて、お店の方は、
みんなで、楽しく、
りさや、しおりに、
怒られる事もなく、
続けられている。
仕事の時間は、
減らしても、
お客さんが
営業時間に、
集まってくれるので、
収入に、
大きな落ち込みもなく、
順調に、営業してる。
「8月13日から、20日まで
お休みします。」
っと。
あたしは、お店の外と、
中に、張り紙をした。。
あたし達にも、少し、
余裕が出来て、
三人で、車を購入した。
可愛い、軽自動車のワゴン。
維持費を、考えて、
近くの、中古車やさんで、
しおりが、これがいいって、
ひとめぼれ。
まだ、年式も新しく、
今から、しおりも、
免許取るのを、
楽しみにしてる。
軽自動車で、あたし達は、
連休中に行く、キャンプの
道具を、買いに行き、
テントに、寝袋、
バーベキューコンロなど、
スマホの動画などを、
参考に、やりたいことを、
考えて、必要な物を、
購入した。
「これ、
買っただけじゃなく、
ちょっと、作って見ようよ」
りさの提案で、二階の、
リビングに、
テントを張った。
「以外と、大きいね。」
三人で、テントを張ると、
「寝袋、みんなの分、敷いたら、
どんな感じか、見てみたい。」
と、しおり。
部屋の中に、テントと、
寝袋。。。。
実際作ってみると、
みんな、楽しくなって、
結局、この日は、
三人で、イモムシの様に、
部屋の中の、テントで、
ふざけあいながら、
眠った。。。
この休み中。
お盆を、お母さんの為に、
やろうって、なって。
今日は、
パン屋のおばさんと、
一緒に、お母さんの、
初盆を、する事になった。
キュウリや、茄子に、
足をつけて、
乗り物にするらしい。
「なんか、これ、想像すると、
面白いね。
これが、乗り物なんだぁ。」
「昔から、こうしてるのよ。」
パン屋のおばさんが、
茄子に、割りばしを、
刺しながら、そう言った。
「おばさん、
聞いてなかったけど、バイトの人、
見つかったの?」
「見つかったけど、
あけみちゃんほど、
仕事、真面目じゃないわね。
売上も、少し落ちたから、
あけみちゃん、商売上手なのね。」
と、笑う。
「あはは。そんな事、
無いですよ、おばさん。」
「加奈子も、言ってたわよ、
あけみちゃんは、
凄いって。お客さんの、
対応も、上手だし、
説明も、丁寧だし、
あれは、真似出来ないって」
「お母さんも、
おばさんも、褒めすぎ。」
「あけみちゃん、
まだ、加奈子の事、お母さんって、
呼んであげてるのね。。」
「ふふっ。だって、
お母さんだもん。」
あたしは、おばさんに、
抱き締められて。
「ありがとう。。
加奈子、あけみちゃんに、
絶対、逢いにくるね。」
「うん。そうだよ。
きっと、見えなくても、
この、野菜に乗って、来てくれるよ。
お母さん、心配症だから」
「ふふっ。そうね。
加奈子は、びっくりしちゃうくらい、
心配症だからね。」
「お、足のはえた野菜。」
「りさ、遅かったね。」
りさが、スーパーで、
スイカを買ってきてくれて、
あたしは、みんなに、
切り分けた。
「たまに、食べると、美味しいね。」
「私も、久しぶり。なかなか、
スイカって、
一玉買えないのよね。」
と、おばさん。
そこに、常連の、
床屋の主人が、通りかかり、
次から、次と、
常連さんが集まって、
スイカと、しおりの、
入れてくれた、
冷たい麦茶を配った。
結局、
声を掛けてなくても、
お店の前には、
10人程集まり、
賑やかに、お母さんの、
お盆は、あたし達と、
常連さん達で、
楽しく過ごした。。。
お盆の終わりの日、
二階の窓から、
星を眺めて。
「お母さん、安心した?
あたし、元気に、
楽しくやってるよ。」
と、呟いた。。。
後ろから、りさが、
「あけみ、明日の、支度しようよ。」
と、誘われ。
振り返って、
部屋を覗くと、しおりが、
大きなリュックに、
キャンプ道具を詰めていた。
「それ、しおりには、大きくない?」
「そんな事ないよ。」
「ちょっと、背負ってみ?」
リュックを背負った、
しおりは、とっても、
動き辛そう。
「どう?平気でしょ。」
「平気かも、知れないけど、
あんまり、いっぱい、
入れちゃ駄目だよ。
歩けなくなりそう。」
「大丈夫、私のは、
寝袋しか、入れないから。」
「なるほど。あれ、軽かったもんね。」
「うん。」
「重たいのは、あたしと、あけみで、
分担ね。」
「うん。」
リュックに、
荷物を詰め終わると、
夜のうちに、食料以外を、
車に、積み込んだ。
蚊に刺されるのが嫌で、
早々に、二階に上がる
「後は、行くだけだね。」
「楽しみだね。」
「お姉ちゃん達と、
お泊まりで、出掛けるの、
半年振りだもん。
何か、嬉しくて、
ちゃんと、眠れるかなぁ」
「大丈夫、お姉ちゃん、
一緒に、寝てあげるから」
「寝てあげるって、
あたし達、いつも一緒に、
寝てるじゃん。」
「まぁ、そうだけど、
今日は、しおりの、
手を握って寝る。」
「えへへ。」
「あ、ずるい。あたしも。」
「わかってるよ、りさ。
本当に、甘えん坊さん。」
「お姉ちゃんに、
甘えて、何が悪いの?」
「ふふっ。悪くないよ。」
「お姉ちゃん達、
お風呂に入って、
寝ようよ。朝早いから。」
「は~い。」
あたし達は、
明日の為に、早めに、就寝。
朝早くから、予約してる、
小屋付きの、キャンプ場へ
小屋付きにしたのは、
やっぱり、女だけなので、
鍵掛からないと、
怖いよねって事で、
三人で、決めた。
「おはよ。」
あたしが、起きると、
しおりが、起きて、
座っていた。
「ちゃんと眠れたの?」
「うん。今起きたばっか。」
「良かった。」
ちらりと、りさを見る。
眠そうな、しおりが、
りさに抱きつく。
「りさお姉ちゃん、
起きて。」
「う~ん。しおりぃ。」
しおりを、抱き締めて、
捕まえてしまった。
「もう。お姉ちゃん。
寝ちゃったら、置いてくよ」
しおりに、怒られて、
りさは、「ぱっと」起きた。
「ごめん、ごめん。」
スッと、立ち上がると、
一番に、顔を洗いに、
洗面所に向かった。
あたしも、しおりと一緒に、
顔を洗って、支度をした。
「お姉ちゃん、
今日は、いっぱい遊ぼうね」
「うん、いっぱい遊ぶ。」
「あけみ、今日は、
料理、お休みだからね。」
「わかってるって。」
「バーベキュー、
お肉焼くの禁止。」
「え~。
それは、自分のは、
焼きたいよ。」
「駄目、あけみのは、
あたしが、焼くから。」
「じゃあ、あたしは、
りさの焼く。」
「あ~、ずるい。私も、
あけみお姉ちゃんの、
焼きたいよ。」
「じゃあ、あたしが、
しおりのも、焼くね。
二人で、あたしのを、
焼いて頂戴。」
「えへへ。お姉ちゃんに、
焼いて貰う。」
何だか、本末転倒の様な、
気もしたけど、
あたし達は、キャンプ場に、
出発した。。。
朝の、5時出発だったから、
道路は、車も少なめ。
順調に、走り、キャンプ場、
近くの、コンビニで、
少し、時間を潰す。。。
三人で、コンビニに、
入ると、お手洗いをすませ、
飲み物を買って、車に、
戻る。
「キャンプ場、9時から
だよね。」
「うん、後、1時間。」
「ここから、どのくらい?」
「30分くらいかな。」
珈琲を飲みながら、
しおりの、質問に、
答える、りさ。
あたし達って、
本当に、自然に、姉妹だ。
一緒にいる、空気が、
居心地いい。
「あけみお姉ちゃん、
着いたら、最初何する?」
「う~ん。釣りかなぁ。」
「私も、じゃあ、魚釣り。」
「あたしも、釣りする。」
「あけみお姉ちゃん、
魚釣りしたら、次何する?」
「う~ん。魚焼いて
食べる。」
「私も、食べる」
「しおり、あんまり、
せっつくと、あけみ、
疲れちゃうよ。」
「あ、私、嬉しくて。
ごめん。」
「ふふっ。テンション、
高いね、しおり。」
「だって、嬉しくて。」
「ほら、シートベルトして、
そろそろ、行くよ。」
そう言うと、りさは、
車を出した。。。
キャンプ場に、
車を乗り入れて、
あたし達の借りてる、
番号の、小屋の前に、
車を着ける。。。
少し、川から離れた所で、
木々の木陰と、良く風の、
流れる場所で、
町中よりも、かなり、
涼しい。
「わぁ。木の匂い。」
と、はしゃぐ、しおり。
「う~ん。」と、
伸びをして、
自然の空気を、いっぱいに、
吸い込む。あたし。
「海に行ってたら、
こうは、行かなかったね。」
と、微笑む。りさ。
「やっぱり、テント、
先に、組み立てちゃおう。」
あたしが、そう言うと、
車の後部を「パコン」と、
開けて、荷物を、下ろして、
テントを、三人で、
組み立てた。
「やっぱり、一度、
組み立てたから、簡単、
だね。」
「うん。流石、
りさお姉ちゃん。」
「やっぱり、こう言うのは、
練習しとかないと駄目だね、
りさの言う事、聞いて、
良かったよ。」
「なんか、あけみに、
褒められると、嬉しい。」
「あ、りさお姉ちゃん、
照れてる。。。」
「もう。しおりは。」
あたし達は、テント、
バーベキューのコンロを、
設置すると、ニジマスの、
釣り場の、券を買いに、
受け付けに、歩いた。
「釣りなんて、生まれて、
初めてだよ。」
「私は、お父さんが、
釣りしてたの、
見てた事ならあるけど、
自分で、したことない。」
「勿論、あたしも、
釣り初めてだよ。」
「ふふっ。三人とも、
初めての、釣りだね。」
「誰が、一番釣れるか、
競争だね。」
「りさ、別に、競争、
しなくても。」
「じゃあ、勝ったら、
あけみお姉ちゃんに、
だっこして貰う。」
「いいね。しおり、
そうしよう。」
「全く、やれやれだよ。」
と、あたしは、呟いた。
川に、エサをつけた、
釣り針を、そっと落として、
暫くすると、
「くん」と、引っ張られた。
竿が、弓なりにしなり、
ゆっくり引き上げると、
「バシャバシャ」と、
水面をたたきながら、踊る、
ニジマスを、あたしは、
釣り上げた。
その後も、面白いように
掛かり、
釣りって、楽しいなと、
思った。
しおりも、りさも、
2匹づつ、釣り上げて。
あたしは、5匹釣り上げ、
勝負はしてないけど、
あたしが、一番だった。
「あけみお姉ちゃん、
一番だから、私が、
後で、抱っこしてあげる」
「あははっ。ありがと。」
「あたしも、あけみ、
抱っこする。」
「じゃあ、
お姉ちゃん、
抱っこしてもらうね。」
と、あたしは、笑った。
魚を、持って帰り、
スマホで見た通りに、
炭を起こして、
魚を、棒に刺す。
それから、
手を洗って。
魚を囲んで、
折り畳みの、椅子に座った。
「あたし、釣りって、
楽しいって、思った。」
「あたしも、楽しかった。
あけみ、今度は海に、
釣り行こうか?」
「いいね。」
「私も、行く。」
「勿論。じゃあ今度は、
海に、釣りに行こうね。」
丁度、少し、雲がかかり、
日差しが、弱まって、
涼しくなった。
暫く、魚が焼けるのを、
眺めながら、
持ってきた、お茶を飲む。
「そろそろだね。」
あたしは、ニジマスを、
すっと、引き抜き、
少し、かじってみた。
「美味しい。」
塩をふっただけの、
ニジマス。
だけど、外で、
食べてるのもあると
思うけど、とても、
美味しく感じた。
りさも、しおりも、
「ぱくり」と、食べる。
「美味しいね。」
自然に、二人も笑顔になる。
結局、三匹づつ食べて、
いいお昼ごはんになった。
あたしは、飯ごうを、
使ってみたくて、
お米を洗って、
これも、スマホで、
見た通り、火に、仕掛けた。
その間に、野菜や、肉を、
刻んで、バーベキューの、
準備を、みんなでして。
「あけみお姉ちゃん、
包丁さばき、凄い。」
「まぁ、凄いか、どうかは、
わからないけど、
殆んど、毎日、
握ってるからね。」
「なんか、あたし達、
ご飯作るのって、
当たり前過ぎて、
楽しさが足りないね。」
「私は、お姉ちゃん達の、
ご飯作るの好きだよ。」
あたしも、りさも、
しおりを、見つめる。
「本当、しおりって、
可愛い。」
「本当、可愛い。」
「もう、すぐ、可愛いって、
言うんだから。」
「だって、本当に、
可愛いんだもん。」
「もう。」
切った、お肉は、
クーラーBOXに、しまって、
あたし達は、
蚊取り線香に、
火をつけて、
テントの中で、
お昼寝をした。
タオルケットを掛けて、
木陰に張ったテントの中で、
横になる。
蝉の声。
川に流れる水の音。
風が吹くと、
木々が擦れて、
ざわざわと、
音がなった。
目をつぶると、
その音が、
自然の中にいることを、
自覚させてくれる。
「こう言うのも、いいね。」
あたしは、小さく呟く。
「あけみ~。」と、りさが、
抱きつく。
「あ、ずるい。私も。」
「重い~。」
二人に乗られて、
自然の音がとか、
言ってらんなくなって、
あたしは、「バタバタ」
手足を動かした。
「りさぁ、重い。」
「もうちょっとだけ。」
りさは、「すん」と、
あたしの、匂いを嗅ぐと、
「やっぱり、落ち着く。」
と、嬉しそうに、
笑ってどいてくれた。
亀の甲羅の様に、
りさに乗ってた、しおりが、
あたしに、抱きつく。。
「あ~。お姉ちゃん。」
「もう、しおりまで。」
「だって、
あけみお姉ちゃんに、
抱きつくの、
好きなんだもん。」
「りさにも、いつも、
抱きついてるじゃん。」
「うん。
りさお姉ちゃんにも、
抱きつくの好き。」
「もう。しおりは、
赤ちゃんみたいだね。」
あたしも、しおりを、
抱き締めた。。
「あ~。しおりだけ、
ずるい。あたしも。」
「もうちょっとだけ。」
そう言うと、しおりも、
あたしの、匂いを嗅ぐ。
「すん。すん。」と、
匂いを嗅ぐと、
「うん。いつも、
いい匂い。」
と、やっぱり、嬉しそうに、
どいてくれた。
しおりが、どいてくれたら、
また、大きな妹が、
あたしに抱きついて、
「ん~。」と、
甘える。
「はい、はい。」と、
言って、りさを、
抱き締める。
「ああ、ずっと、
こうしてたい。」
と、りさが、呟く。
「全く、どれだけ、
あたしの事が、好きなの。」
「凄い好きだし、
愛してるもん。」
と、あたしを、ぎゅーっと、
抱き締める。
「あたしも、同じだよ。
りさも、しおりも、
お姉ちゃん、愛してるよ」
と、照れもなく言った。
「あたしが、普通で、
いられるのは、
あけみが、
傍にいてくれたから。
あたし、あけみが、
いなかったら、
きっと、生きてない。。」
「知ってるよ。」
そう、言って、続けた。
「あたしも、ずっと、
ずっと。ずっと。
りさを、見てるから。
だから、りさを、
普通に、連れ出したんだよ」
突然の、その会話に、
しおりは、動きを止めて、
あたし達を見ていた。
「りさ、あたしと、
普通って、世界を
生きて見て、どう?
何か、変わった?」
「うん。凄く変わった。
あんなに、絶望してたのに、
今は、そんな事が、
馬鹿みたいで、今は、
幸せで、楽しいって、
思ってる。
凄く、可愛い、妹まで、
出来て、傍にいてくれる。
こんな世界も、
あったんだねって、
あたし、知らなかった。」
りさの目に、
涙が溢れる。。。
「そう。
死にたく無くなった?」
「あたりまえじゃん。
そんな事したら、
お姉ちゃんも、
妹も、きっと、悲しむ。
それだけは、
あたし、嫌だから。
それに、この幸せを、
あたし、失いたくない。」
「そっかぁ。良かったぁ。」
と言って、あたしも、
涙ぐむ。
「お姉ちゃん達、
久しぶりに、
二人の世界に入って、
イチャイチャ、
しないでよね。」
「ふふっ。」
「あははっ。ごめん。」
しおりは、りさに、
抱きついて、
「お姉ちゃん、
死んじゃうとか、
駄目だからね。」
と、震えた。。。
りさも、しおりの、
震えを感じて、
「お姉ちゃんさ、
本当に、ボロボロだった。
生きてるのが、
辛くて。辛くて。
でもさ。。。
今は、違うんだよ。
お姉ちゃんはね、
あけみお姉ちゃんにも、
しおりにも、
いっぱい、気持ちを貰って、
いっぱい、愛して貰って、
今は、全く、
そんな気持ち、
死のうなんて、気持ち、
もってないよ。
こんなに、幸せなのに、
そんな、勿体無いこと、
出来ないよ。」
「うん。」
しおりは、りさのおでこに、
自分のおでこを、
くっつけて、
「お姉ちゃん、ずっと、
私の傍にいてね。
私も、りさお姉ちゃん、
愛してるから。」
と、涙を、こぼした。
あたしも、りさも、
深く、
黒に近い海の底みたいな、
世界を、
彷徨って。
あたしは、
絶対、負けたくなくて、
ずっと、もがいてた。
でも、りさは、
ずっと、死に場所を、
探してた。
初めて逢った時の、
りさの目に、
あたしは、
りさの、絶望を見た。
きっと、
このままだと、
この子は、
いなくなってしまう。
あの、東京のどこかで。
どうせ、いなくなるのなら、
あたしと、一緒に、
東京から、出て行こう。
家を借りて、
これ以上、
自分を汚さない世界で。
自分を、落とさなくて、
いい世界で。
最初の生活では、
ほぼ、毎日、
悪夢にうなされる、
りさを見た。
あたしは、毎日、
そんなりさを、
抱き締めた。
あたしにとって、
りさは、理由は、
わからないけど、
最初から、
ほっとけない女の子で、
訳もわからず、
一緒にいた。
その答えは、
暫くして、わかったけどね。
あたしが、
りさの、お姉ちゃんだから。
多分、
説明出来る話しじゃない。
前世とか、
そう言うのがあるなら、
あたしは、信じるよ。
だって、こんなに、
守ってあげたい人が、
いるんだから。
理由は、いらない。
必要な事は、
常に、
あたしが、どうするか?
どうしたいかだから。
「まったく、
世話の掛かる、妹だよ。」
「あけみお姉ちゃん。
やっぱり、
気付いてたんだね。
あの時、
東京から、
あたしを、
連れ出した時には、
わかってたんだね。」
「あたしは、
りさの、何だっけ?」
「お姉ちゃん。」
「知ってたに、
決まってるでしょ。」
「知ってて、
こんなに、面倒臭い、
あたしの事、
毎日、抱き締めてくれたの?
大丈夫って、言って、
くれたの?」
「仕方ないじゃん、
だって、お姉ちゃんだもん。
お姉ちゃんはね、
いつでも、りさの、
味方なんだよ。」
りさは、それを聴くと、
ボロボロと泣いて、
あたしの、服は、
びっしよりに、
濡れた。
しおりも、りさの、
憑き物が、取れたような、
その顔に、
安心して、りさの、
背中に抱きついた。
あたしは、その、
しおりごと、りさを、
抱き締めた。
あたし達は、
偶然、逢って、
偶然、大好きになって。
偶然、愛し合った。
案外、人を好きになることは
偶然の、積み重ねなのかも、
知れないね。
「あたし、
お腹すいちゃった。
バーベキュー食べよ。」
「うん。」
「ちょっと、タオル、
取ってくる、みんな、
泣きすぎだよ。」
と、しおりが、
タオルで、顔を、
拭いてくれた。
「ありかと、しおり。」
いっぱい泣くと、
お腹が空く。
あたし達は、いつもより、
沢山ご飯を食べた。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます