第38話  頑張りすぎ

お母さんが、

旅立って。


あけみお姉ちゃんは、

朝早く、毎日、

仕込みに出掛ける。


りさお姉ちゃんも、

起きれた時は、

一緒に出かける。


私は、学校があるから、

あんまり、手伝えない。。


お母さんがいる私が、

お母さんって、呼んだ。


でも、違和感は、なかった。

加奈子さん。

加奈子お母さん。

私にも、いっぱい、

優しくて、優しくて。

お菓子の作り方を、

凄くわかりやすく、

教えてくれた。


レシピの、ノート。

私にくれた。手書きの、

レシピ。


お母さんは、

お店のメニューの他に、

洋食から、中華まで、

幅広く、書き留めた、

レシピを、いなくなった、

家族の為に、

独りで、考えて。。。

書き貯めて。


それを、お客さんに、

代わりに食べて貰って。


感想を、聞いていたみたい。


お母さんは、

綺麗だったから、

結構もてていた。


常連のお客さんには、

お母さん目当ての人も、

来ていた。


あけみお姉ちゃんも、

もてるから、

ちょっと、心配。


お母さんの、

可愛く笑う笑顔。

私、好きだったな。


もう一度、名前呼んで

欲しかったな。


でも、お母さんは、

もういない。


私は、高校3年生。

受験生。


あの時の、約束の為に、

経営を学ぶために、

今から、勉強中。


お姉ちゃん達は、

高校2年生になった。


りさお姉ちゃんも、

長く続いた、珈琲屋さんを、

今月で、辞めるって。


あけみお姉ちゃんが、

頑張りすぎるから、

側にいたいって、

私に、言ってた。


私も、土日は、

お姉ちゃん達と、

一緒に、洋食屋さんで、

働いている。


お母さんの、残してくれた、

お店。


お母さんが、残してくれた、

仕入れの仕方の、

ノート。


お母さんが、残してくれた、

お店の、上手く回すコツの、

書いたノート。


手紙以外に、

私達に、

困らない様に、

いっぱい、書き残していた。


あけみお姉ちゃんの、

観察日記まで、

出てきて、みんなで、

笑ったり。


お母さんは、

面白くて、真面目で、

世話焼きな、

可愛い人だった。


あけみお姉ちゃんは、

洋食屋さんの二階に、

私達を、連れて行って

くれた。


洋食屋さんの二階は、

結構広くて、

お母さんは、私達の、

知らない間に、

二階の、自分の物を、

処分していた。


残っていたのは、

お母さんが、使ってた、

ベッドと、テーブル。

水しか入ってない冷蔵庫。

椅子に、タンスが、

一つだけ。

それと、家族の写真が、

一枚。


必要な物以外は、

全部処分してたみたい。


きっと、自分が、

いなくなって、

私達が、すぐに、

住めるように、

だと思う。。。


びっくりしたのは、

お風呂の、ユニットバスが、

大きく、改装されていて、

他にも、

キッチンも、トイレも、

水回りは、

全て改装されてた事。


私達、二階に、

上がった事なかったから、

知らなかったけど、

これも、お母さんからの、

贈り物だって、

すぐにわかった。


二階の、テーブルの上に、

お母さんと、私達で、

撮った写真が、

残されていて、

それを見て、

私達、また泣いて。。。


今住んでる、アパートは、

今月中に、引き払って、

来月からは、

ここに住む予定。


その方が、

あけみお姉ちゃんも、

かなり、楽になるし、

私も、仕込みに

参加できるから、

あけみお姉ちゃんの、

負担を減らせる。


あけみお姉ちゃんは、

相変わらず、

すぐに、無理をする。


無理を、普通にすると、

言った方が、

いいのかなと、思う。


春休みの予定は、

全部、お母さんに、

使えて、逆に良かった。


パン屋のおばさんも、

洋食屋さんに、良く、

顔をだす。


色々、助けに来てくれて、

私達は、おばさんの事も、

大好きになった。


明日は、土曜日。

私も、お姉ちゃん達と、

一緒に、お仕事に行ける。

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