第34話 一歩づつ

箱根旅行も、最後の日。

来る前に、色んな事考えて、

準備する時間も、

楽しかった。


それも、今日まで。。。


三人で、ずっと、一緒に、

過ごせて、あたしは、

とっても、幸せ。


昨日は、しおりの、

可愛い歌声に、萌えて。


アザラシも見て。


海賊船に乗って。


ロープウェイにも、

乗った。


色んな景色を見て、


いっぱい、写真も撮った。


お互いの、思ってる事も、

話した。

ちゃんと、聞いてくれて、

答えてくれた。


旅行に来て良かった。


最後の1日。


ちょっと寂しい1日。


朝から、片付けて、ゴミを、

集積場所に運んで。

お世話になった、

ログハウスを、掃除する。


早朝から、掃除したのは、

最後に、ゆっくり、

お風呂に入りたかったから。


お風呂に入ると、

広いお風呂で、最後の、

洗いっこ。


湯船につかると、

あたしが、りさ。

りさが、しおりを、

抱き抱えて入った。


「あ~。あけみに、

抱っこされて入れるの、

今日で終わりかぁ。。。

この、ふかふか。

ふかふか納めかぁ。」


「何言ってんだか。

りさは、甘えん坊さんに、

磨きかかってないか?」


「あけみには、

好きなだけ、甘える事に

してるから。」


「りさお姉ちゃん。

ずるい。」


「しおりは、

うちのお風呂でも、

ふかふか、

してもらえるじゃん。

ずるいって、

言わないの。」


「ずるいものは、

ずるいの。でも、

りさお姉ちゃんも、

ふかふか、だから、

今回は、もう言わない。」


「しおりのは、

ちょいふか。」

りさが、しおりの胸を、

触って、そう言う。


「う~。意地悪。姉ちゃん」


「ふふっ。」


「あけみお姉ちゃん、

何で、わらったの?」


「ごめん。

ちょいふかって何って、

思ったら。ごめん。」


「そうだよ、しおりに、

失礼だよ。前より、

少し、大きくなってるから、

笑っちゃだめだよ。」


「う~。なんか、

褒めてんだか、

けなされてるんだか。」


「ねぇ。あけみお姉ちゃん、

もしもだけど、お店、

やるんだったらさ、

私、大学受験考える。

そこで、経営とか、

学んできたい。」


「え。」


「りさお姉ちゃん、

どう思う?」


「まぁ、やるんなら、

本格的に、やらないと、

思い付きで、終わるかも、

しんないからね。」


「そうなんだよ。私、

切っ掛けとか、

どうでもいいと、思ってる。

でも、やるんなら、

ちゃんと、やりたいな。」


「あたしの動機は、職場が、

一緒なら、ずっと、

あたし達、結婚とか、

しても、一緒にいられる

そう思ったのと、

あたしに、出来るのが、

料理くらいだから、

なんだけど。。。」


「なるほど、

あけみらしいね。」


「うん。ずっと一緒に。

私、凄い素敵だと、

思うよ。お姉ちゃん。」


「あたしも、じゃあ、

頑張ろうかなぁ。」


「私は、短大で、

経営学ぶね。そうすれば、

丁度、お姉ちゃん達が、

高校卒業したら、

動けるもんね。」


「いや、そんなんで、

この先を、決めて、

いいのかな。」


「あけみと、さ、

一緒にいられる為なら、

何でもするよ。

あたしの、お姉ちゃんだし」


「私も、ずっと側に、

いたいって言う、目的が、

一緒だもん。

頑張って、勉強する。」


二人の熱意が、伝わって、

あたしも、

頑張りたくなった。


「じゃあ、頑張って、

この夢に向かって。

一緒に、

叶えられる様に、

進んでみようかな。」


「ずっと一緒だね。

お姉ちゃん。」

りさが、小さく呟く。


「お姉ちゃん達と、

ずっと一緒。えへへ。」

しおりが、嬉しそうに、

笑った。


お風呂からあがると、

最終日らしく、

髪を、りさに綺麗に、

整えてもらい、

ご飯を食べて、

最後の洗い物と、

ゴミ出しを済ませて、

外に出て、

記念撮影。


夢を見る事に、

諦めていたあの頃。

ひとりでは、

きっと、想像止まり。

あたしの背中を、

押してくれる、

暖かい、優しい手。


きっと、今、あたしは、

幸せな顔をしてると、

そう、思う。


写真を撮り終えて、

ログハウスに、なんとなく、

一礼して。


あたし達は、

箱根での、

最後のドライブに、

出掛けた。


「この、大きく見える、

富士山も、暫く見納めだね」


「また、あけみ、

すぐに、来れるよ。」


「遅くても、秋には、

紅葉狩りでしょ。

お姉ちゃん。」


「そうだね、紅葉狩りかぁ」


「私、今から楽しみ。」


「これから、行く美術館。

も、楽しみだよ。」


「あたし達、行ったこと、

ないから、

行きたかったんだもんね。」


「そうだね。ここに来て、

初めてばかりだね。」


「楽しいなぁ。」


「私は、嬉しい。

お姉ちゃん達と、

色んな所に行けて。」


美術館に着いて、

正直、美術館って、

こんな感じなんだねと、

あまり、感動とかは、

無かった。。。


そこに、大きな、

ステンドグラス。


「わぁ。」

と、あたしは、声が、

漏れた。


光が、差し込んで、

幻想的に見える光景に、

少し立ち止まった。


その後も、色んな場所を、

歩きまわり、

絵や、彫刻などを、

見て、そのたびに、

気になったものに、

足を止めた。


「もう少し、情報が、

あった方が、

楽しめるのかも。

あたし、結構、美術館って、

好きかも知れない。

だけど、良いって思うけど、

何が、良いのかは、

正直わからなくて。」


「まぁ。あたしも、

あけみと、おんなじ。

美術館って、

落ち着くし、綺麗な、

絵とか、好きかも。」


「私も。多少は、

知ってるのあるけど、

詳しくは、ないから、

お姉ちゃん達と、

同じで、なんとなく、

好き。」


初めて来た、美術館。

次来るときは、

少し、勉強してから、

来ようと思った。


「そろそろ、

駅に戻ろうか?」


「そうだね。レンタカー

15時迄に、返すから。」


「最後に、ご飯食べに、

行こうね。」


「うん。

いっぱい歩いたから、

お腹すいた。」


「あたしも。」


「結構、広かったよね。

美術館って。。

それで、

何、食べようか?」


「昨日、あたしと、

しおりが、決めたから、

あけみが、決めて。」


「うん。

あけみお姉ちゃんの、

食べたいお店でいいよ。」


「う~ん。じゃあ、

中華が、良いかなぁ。

寒いから、ラーメンとか、

食べたい。」


「丁度、駅の近くに、

あった、はずだよ、

あけみ。」


「じゃあ、そこに、

行ってみようか。」


最後は、りさが、運転して、

中華料理屋さんに、

向かって、移動した。


「お姉ちゃん、膝枕。」


コロンと、あたしの膝に、

頭を乗せる。

可愛い、妹の頭を、

思わず、撫でる。


「えへへ。なんか、

気持ちいい。」


「あ~。しおり、ずるい。」


「えへへ。お姉ちゃん、

一人占め。」


「う~。羨ましい。」


「はいはい、

家にもどったら、

りさにも、

膝枕してあげるから、

ちゃんと、前見て。」


「やったぁ。」


「もう、しおりも、

りさが、気が散る事、

言わないの。」


「は~い。」


目的のラーメン屋さんに、

到着。


「りさ、車庫入れ、

やっぱり、上手いね。」


「そうかなぁ。べつに、

あけみも、変わらないと、

思うけど。」


「お姉ちゃん、

早く行こうよ。私、

お腹ぺこぺこ。」

しおりに、手を引かれ、

中華料理屋さんに、

着くと、

メニューが、沢山あって、

来るまでは、頭の中、

ラーメンだったのに、

迷うあたし。


「お姉ちゃん、迷ってる?」


「う~ん。どれも、

美味しそうで。」


「あたしは、ラーメン。

迷う時は、最初に、

食べたかった物にする。

そうすれば、

後悔だけは、しないから。」


「りさ、カッコいいね。」


「じゃあ、あたしも、

ラーメンにする。

後、餃子。」


「私も、お姉ちゃんと、

おんなじにする。」


結局、三人で、同じ物を、

頼んだ。

りさの、言う通り、

最初に、食べたかった物。

一番、しっくりきた。

熱々の、ラーメンは、

少し冷えた体に、

染みる感じがして、

とても、美味しい。


「りさ、ありがと。

やっぱり、ラーメン、

美味しいよ。」


「ふふっ。頭の中が、

ラーメンだったんだから、

美味しいに、

決まってるよ。」


「ラーメン、暖まるね。

お姉ちゃん。」


後から、出てきた、

餃子に、あたしは、

直接、醤油、お酢、辣油。

と、かけた。


「お姉ちゃん、

小皿使わないの?」


「ん。使ったことない。

洗い物が、一つ増えるから、

それと、こうすると、

早く冷めて、食べやすい。」


「なるほど。」

しおりも、真似して、

醤油だけ、かけてる。


それを、見ていたりさも、

やっぱり、真似する。

あたしと、同じ様に、

同じ物をかける。


餃子を、「ぱくり」と、

食べた、りさが、

「ホントだ。そんなに、

熱くない。」


しおりも、「ぱくり」と、

食べる。

「お姉ちゃん、

これは、大発明だよ。」


「大発明?」


あたしは、笑いを堪えるの、

大変だった。


体も暖まり、中華屋さんを、

後にする。

「りさ、最後は、あたし、

運転するよ。」


「ん。じゃあ、お願い。」

鍵を、りさから、受け取り、

駅まで、少しの距離を、

運転して、駅へ。


「有り難う御座いました。」

駅前の、レンタカーの、

スタッフに、

そう言われて、

お世話になった、車を、

無事返した。


「これで、

本当に、帰るんだね。」


駅に着くと、

凄く現実味がわいた。


「楽しかったね。あけみ。」


「楽しかった。本当。

三人で、来れて本当に、

良かった。」


「お姉ちゃん達とだから、

こんなに、

楽しかったんだと、思う。」


しおりの、言う通りだと、

あたしは、思った。


「まぁ、よく考えたら、

場所、変わるだけで、

明日も、明後日も、

ずっと、あたし達、

一緒だしね。」


「そうだね。別々に、

帰る訳じゃないからね。

同じ所に帰るんだから、

誰も、寂しくないね。」


「うん。お姉ちゃん達と、

一緒に帰れるって、

なんだか、いいなぁ。」


「さぁ、帰ろうか。」


あたし達の、旅。

色んな所に行って。

思ってることを、

話し合ったり、

綺麗な星空を見たり。

いっぱい、写真も撮った。

将来の夢の話も、

口からだして、

それを、

二人が支えてくれる。

あたしにとって、

この旅行は、

人生の岐路だったのかも、

知れない。。。

凄く、大きな一歩を、

踏み出した気がした。。。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る