第32話 よくばり
夜中に、お風呂に入って、
目がすっかり
覚めてしまった私達。。。
あたしの提案で、今日の、
予定を、見直さないか?
と言う話になった。
行きたい場所は、色々と、
あったし、予定も、
移動時間も考慮して、
完璧な、スケジュールを、
組んだ。。。
でも、本当に、それを、
スケジュール通りに、
回ったら、行く事が目的で、
楽しめないんじゃないか?
そんな事で、三つ考えてた
予定を、一つにする事に、
して、その後は、
久しぶりに、三人で、
ゆっくりしようね。
と、言う話になった。
そう言う話になって、
朝から、出掛けて、
観光して、午後は早めに
ログハウスに戻り、
まったりする事にした。
少し仮眠して、
あたしが、起きた時には、
しおりが、支度を、
始めていた。
「おはよ。お姉ちゃん。」
「おはよう。。
ちゃんと、眠れたの?」
「眠れたけど、
すぐに、目が覚めちゃった」
「大丈夫なの?しおり。
昨日の事。やっぱり、
キツかったよね。」
その言葉に、しおりは、
ちょっと、うつ向いて、
想いを込めるように、
話し始めた。
「正直に言うとね、私、
まだまだ、お姉ちゃん達の
事、わかってあげられてない
部分が、いっぱいあって、
どうしたら、良いのか
考えちゃう事
いっぱいあって、でもね、
お姉ちゃん。
私は、それは、
仕方ないって、思ったの。
わからないことの理解には、
時間もいっぱい必要だし、
お姉ちゃん達が、
私の事、大好きだって、
言ってくれて、
側にいてほしいって、
思ってくれてるの、
わかってるから。。
私も、すぐに、
全部わからなくても、
いいんだって。。。
元々、私、お姉ちゃん達の、
側にいたいって事が、
始まりだったから、
すぐに、
全部わかろうなんて、
欲張りすぎてるって、
気付いたんだ。」
しおりの、
その言葉に、あたしも、
りさと、話し合った事を、
しおりに、打ち明けた。
「うん。ありがと。
わたしも、りさも、
一度は、しおりに、
迷惑かかるから、距離を、
置くことも、正直考えた。
しおりの事、
大切に思う程、
その気持ちが、
大きくなって、
あたし達も、
凄く悩んだんだよ。
でも、あたし達も、
気付いたんだ。
しおりに対して、
嫌な想いをさせない為の、
嘘や、ごまかし、
距離を置くことは、
しおりの事、大切で、
側にいて欲しいって、
願うなら、間違ってるって。
絶対違うんだって。
大切なのは、
歩み寄ってくれる、
しおりに、あたし達の、
想いをちゃんと、
伝える事だって。
そうしないと、
あたし達と、しおりに、
先は無いって。
だから、最初に、
これだけは、
言わせて。。。
ごめん、お姉ちゃん達、
まだまだ、
迷惑かけちゃうけど、
側にいて下さい。
。。。。。
これが、
あたしと、りさの、想いで、
しおりに、お姉ちゃんって、
呼んで貰ってる、
あたし達の今の、答え。」
その話を
小さく頷きながら、
聴いている。。。
しおりは、
少し辛そうに。。。
「お姉ちゃんに、
大好きな人に。。。
距離なんて、取られたら、
私、悲しいよ。。。
優しい嘘なんていらない。
ごまかしてなんて、
欲しくない。。。
でも、
離れちゃうくらいなら、
壊れちゃうくらいなら、
迷惑でも、何でも、
かけて欲しい。
私は、お姉ちゃん達との、
この関係を、
無くしてしまうことの方が、
余程、辛くて、悲しいよ。」
そう言って、しおりは、
困った様に、微笑む。
「しおりに、逢えて、
あたし、本当に、本当に。。
良かった。
しおりが、いなかったら、
あたしも、りさも、
こんなに、前向きに、
普通の生活を、
追い求めて無かったと思う」
あたしは、しおりに、
「ぎゅっ」て、
抱き締められた。。。
「うん。でもね、
お姉ちゃん。
私も、お姉ちゃん達に、
逢えて、今、とっても、
とっても幸せだよ。
お姉ちゃん達には、
いっぱい、優しさとか、
暖かい気持ち、
いっぱいもらってるから。
いつか、お姉ちゃん達の、
楽しいとか、嬉しいとか、
辛かったり、キツい時でも、
私は、ずっと、
側にいられる、
妹でありたいって、
思ってるよ。」
そう言って、真っ直ぐ、
あたしを見つめる、
しおりは、天使様に見えた。
「うん。ありがとう。
あたしは、しおりの事、
妹として、本当に、
愛してるよ。」
「えへへ。嬉しい。
。。。。
所で、何で、さっきから、
寝たふりしてるの?」
隣で、寝たふりをしてる、
りさに、気付いて、
しおりが、抱きつく。
「りさお姉ちゃん、ずるい。
起きてるくせに。」
「うん。。ごめん。
しおりの気持ちが、
嬉しすぎて、
あたし、
目が開けられなかった。」
気付けば、りさの目には、
涙がいっぱいたまっていた。
「もう、泣き虫な、
お姉ちゃん。」
しおりが、りさの、胸に、
顔を、うずめて、
抱き締めた。
「りさお姉ちゃんが、
辛いときは、
私も、ぎゅって、
してあげるからね。」
「これは、嬉し泣きだよ。」
「えへへ。知ってる。」
「あたしも、しおりの事、
愛してるよ。」
「うん。嬉しい。
私も、お姉ちゃん達の事、
愛してるから。」
あたしも、りさも、
しおりの事を、
いっぱい、抱き締めた。。
今まで、どのくらい、
しおりを、悩ませた
事だろう?
こんな、めんどくさい、
あたし達のために。。。
そう思うと、目が熱くなる。
あたし達には、
奇跡みたいな事。
大切な人がいて、
しかも、あたし達に、
歩み寄り続けてくれる。
心が、暖かくなって。
凄く、幸せな気持ちを、
しおりは、くれる。
あたし達は、
しおりの事、
本当に、
愛してるって、
気づいた。。。
「そろそろ、
支度しようか。。」
「うん。お姉ちゃん達、
早く、顔洗っておいで。」
「は~い!」
しおりに、促され
あたし達は、
熱くなった目頭を、
流しに行った。
支度を整えて、一番乗りで、
玄関に飛び出すと、
しおりは、待ちきれず。
「お姉ちゃん、早く、
水族館行こうよ!」
朝から元気な、しおり。
それを、見てるだけで、
元気になる、あたし達。。
戸締まりして、外に出る。
朝の気温は、流石に寒く、
地面には、霜柱が、高く
延びていた。
「確認するけど、忘れ物、
大丈夫だよね。」
「あたしは、大丈夫。」
「私もOKだよ。」
「あ、しおりは、
あんまり寝てないんだから、
行きは、寝ていきなさい。」
「え~。」
助手席のりさが、
車から降りて、
後部座席に、移動する。
ポンポンと、膝を叩き、
しおりを、優しく、
見つめると、
「ほら、膝枕してあげる
から、お姉ちゃん達の、
言うこと、ちゃんと、
聞いて。」
「えへへ。わかった。」
しおりを、りさが、
休ませて。。。
車のエンジンを回すと、
あたし達は、
箱根にある、水族館に、
向かって、車を走らせた。。
水族館は、りさと、
しおりが、元々予定に、
押してた場所だった。
アザラシのショーが、
どうしても、見てみたい、
らしい。。。
ゆっくり走って、
水族館に到着。
気持ち良さそうに寝ている、
しおりを、寝かせたまま、
少し待った。。。
「水族館、あたし、
そう言えば、初めてだ。」
「あたしも、初めてだよ。
だから、尚更来てみたかったんだよ。」
しおりが、すっと、
起き上がる。
「私は、ここの水族館は、
初めて。」
「ふふっ。誰かさんと、
違って、しおりは、
寝起きいいね。」
「あけみの意地悪。」
駐車場から、歩いて、
水族館の中に入ると、
亀さん達の、お出迎えに、
あたし達は、大喜び。
「初めて亀さん見たよ。
こんなに、大っきいんだね。」
「しおりなら、背中に、
乗れそうだね。」
「りさお姉ちゃん、
乗れるわけ、
ないでしょ。私、浦島太郎
じゃないんですけど。」
と、笑う。
水族館の中には、沈没船の、
オブジェなどがあり、
そこに、泳ぐお魚さん達、
見ていると、
癒される様に感じた。
「あけみお姉ちゃん、
お魚さん、綺麗でしょ。」
「うん。思ってたより、
水族館って、いいね、
あたし、
こう言うの好きだよ。」
「あけみ、見てみろよ、
この魚、面白い顔してるよ」
「本当だね。面白い。
色んなのいるんだね。」
一通り、水槽を眺めて、
あたし達は、
りさと、しおりが、
楽しみにしてた、
アザラシを、
見るために、移動した。
丸い頭に、ずんぐりむっくり
アザラシが、飼育員の人と、
中良さそうに、
色んな事を、見せてくれる。
「可愛いね。」
「そうだねぇ。」
アザラシの動きに、
周りのお客さん達も、
一喜一憂している。
あたしも、その愛らしさに、
拍手。
りさと、しおりの、
楽しそうな顔に、
心が、癒された。。。
「アザラシ、可愛いくて、
面白かったね。」
「うん。あいつ、
色んな事出来て、
結構、頭いいんだね。」
「また、そのうち、
水族館行こうよ。
あたし、結構、
気に入ったよ。」
「あ、江の島の水族館、
お姉ちゃん、今度、
連れてって。」
「そうだね。近場にも、
あったんだね。
今度行こうね。」
「うん。」
「あたしも賛成。」
あたし達は、水族館の、
アザラシ広場で、
最後に、お風呂に
入ってるアザラシを見て、
まったりしてから、
水族館のお土産売場に、
立ち寄った。
「あ、タオル乗せてる、
アザラシ可愛い。」
ぬいぐるみを、
手に取り、抱き抱える、
しおり。
「みんなで、記念に、
買って行こうか?」
「そう言えば、ぬいぐるみ
なんて、買った事ないね。」
「まぁ、色んな意味で、
記念になるじゃん。」
しおりの、ぬいぐるみを、
すっと、取り上げると、
「しおりのは、あたしが、
買ってあげる。」
「え。本当に?」
「うん。」
「えへへ。ありがと、
りさお姉ちゃん。」
あたし達は、アザラシを
三つと、
その他に、少しお土産を、
買ってから、水族館を、
後にした。。。
帰りの車では、りさが、
運転してくれて、
あたしは、しおりと、
少し、眠ってしまった。
ふと、目が覚めると、
もう、ログハウスの、
近くまで、帰って来ていた。
「ごめん。寝ちゃって。」
「いいよ。あたしも、
朝、しおりと、少し、
寝ちゃってたから。」
「ねぇ。りさ。」
「ん。何?」
「あたし達ってさ、
偶然、出逢ったのに、
何で、こんなに、みんな、
大好きなんだろうね。」
「上手く言えないけど、
こう言う、出逢いって。
運命って、事なのかも。」
「運命かぁ。朝の、
しおりの、気持ち。
思い返して見ても、
本当に、嬉しかったなぁ。」
「うん。感動して、
涙腺緩む。」
「なんか、最近、
あたし達、
泣いてばかりだね。」
「ふふっ。ホントだね。」
「うん。本当だよ。」
「もう、着くよ、あけみ。」
「運転、お疲れさま。
りさ。」
「しおりは?」
「まだ、寝てるよ。」
「寝顔、可愛いよね。」
「うん。」
「大切にしないとね、
しおりの事。」
「うん。そうだね。」
車を、ログハウス前に、
停めると、しおりを、
優しく起こして、
三人で、仲良く、
ログハウスに、戻った。。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます