第28話 前に
あれから、
二週間たっても、
しおりの、誕生日を、
めちゃめちゃにして
しまった事の、後悔が、
消えない。
学校の、通学時間は、
りさと、その話しばかり。
後悔は、先に立たずとは、
言うけれど、まさに、
今、そんな感じだ。
正直、お姉ちゃん失格も、
いいところ。
やり直せるなら、
時間を戻したい。
しおりには、勿論、
お父さんと、お母さんにも、
謝罪したけど、
全く、怒りもせず、
むしろ、優しくされて、
もやもやしてる。
予定してる、
温泉旅行で、
何とか、しおりを、
楽しませる事で、
挽回するしかない。
そんな事を、
考えていた。。。
でも、しおりの事を、
考えていて。。。
あそこまで、想ってくれる。
そんな子に、
何かを、狙ってする様な、
そんな、感情は、
逆に、いけない事なのでは、
そう、感じた。
何かを、意識して、
取り繕っても、
きっとそれは、違うから。
まだまだ、あたし達は、
何処か、壊れてる。
家族と言うものに、
恐怖を、持っている。
それが、今回、
露見して、こうなって。
「なぁ、りさ。」
「ん。」
「旅行で、しおりを、
楽しませて、挽回するって、
やっぱり、そう言うの、
やめない?」
「どうしたの?急に。」
「あたし達が、変な気を、
使うの、辞めにしたいと、
思って。」
「そっかぁ。あけみも、
同じ事、考えてたんだね。
しおりの、
お姉ちゃんで、いる為には、
変な取り繕いするのは、
辞めようって、
あたしも、思ってた所。」
「そっかぁ。」
「だって、元々、
誕生会だって、
きつかったら、
きついって、正直に、
言わなかったのが、
原因だしさ。」
「うん。そうだね。
しおりは、そんな事、
望んでなかった。」
「うん。ただ、誕生会に、
来て欲しかっただけ。」
「出来る範囲で、だよね。」
「そう。あたし達が、
本音を、妹に、話せない、
それが、問題だった。」
「うん。これからは、
しおりには、正直に、
生きていこう。。」
「そうだね、あたし達が、
しおりの、大好きな、
お姉ちゃんで、みんなで、
一緒に、いる為にね。」
「うん。きっと、そう。
しおりの事を、
大切にしたいと思うなら、
あたし達も、ちゃんと、
向き合って、行かないとね」
「うん。」
来年の、しおりの、
誕生会は、ちゃんと、
きつかったら、
しおりに、ちゃんと、
言おう。
そんな事も、
言えないなんて、
駄目だったと、思う。
しおりは、友達じゃない。
妹なんだから。
気の使い方が、違かった。
これから先、
あたし達は、あくまで、
普通に、言いたい事を、
言い合える関係に、
ならないと、
しおりの、お姉ちゃんじゃ、
無くなると、思った。
学校が終わり、
家に帰ると、しおりが、
出迎えてくれる。
「お姉ちゃん、お帰り。」
満面の笑顔で、
出迎えられて、
姉妹トークが、始まる。
テーブルには、
ご飯が、並べられていて、
あたし達は、
可愛い、妹の手料理を、
食べながら、
旅行の話しで、
盛り上がっていた。
「お姉ちゃん達の、
休める日数は、3日、
だよね。」
「そうだね。それ以上、
休むのは、バイト先に、
困るって、言われてるから、
仕方ないね。」
「しおりは、学校、
大丈夫なの?そんな、
何でもない日に、
休んで。」
「あけみお姉ちゃん、
私は、大丈夫です。
超、優等生なので。」
「優等生とか、関係、
あんのかよ。
知らなかったよ。」
「ふふっ。
あけみお姉ちゃん。
嘘です。でも、休む理由は、
考えてあるし、
うちの、親には、
好きにしていいと、
許可をもらってるので、
大丈夫です。」
「あたし達も、
優等生だから、じゃあ、
大丈夫だな。」
りさに、ウィンクを、
飛ばす。
「ああ、そうだな、
あたし達も、確かに、
優等生だから、
問題ない。」
「お姉ちゃん達、
何か、ずるい。」
「しおりの、ほっぺた、
膨らました顔、
可愛い~!」
「う~。」
しおりの、作った、
しょうが焼きを、
「ぱくり。」
「ふふっ。しおり、料理、
腕上げたね、美味しいよ。
とっても。」
「あ、嬉しい!」
「本当に、上手だよ。
あけみの次くらいに、
美味しい。」
「りさお姉ちゃんの、
意地悪。」
「あ~、しおりの、
その顔、可愛い。」
「も~!
あけみお姉ちゃん!」
「その顔も、可愛い。」
「りさお姉ちゃんも、
やめて!」
「ふふっ。」
「あははっ。」
「もう。知らない。」
「ごめん、ごめん。」
「可愛いのは、ほんと。」
賑やかに、ご飯を食べて、
一緒に、お風呂に入る。
一緒に、布団で寝て。
色んな話を、
一緒にして。
あたし達は、
普通じゃ考えられない位、
中の良い、
姉妹になっていた。
最近は、しおりを、
真ん中に寝てみたり、
りさを真ん中にしたり、
寝る場所も、変えてる。
でも、朝起きると、
二人が、あたしに、
くっつきに、来てるので、
あたしは、何処で寝ても、
一緒だった。
横になりながら、
三人で、行き先を、
決める為の、話しを、
していた。
あたし達の初めての、
旅行は、箱根に、決めた。
旅行カタログに、
ログハウスが、借りれて、
温泉付きの場所があって、
そこに行く事にした。
「ログハウスって、
写真でしか、見たこと
無いよ~。」
「あたしも、楽しみ。」
「あたしは、ログハウスも、
だけど、あけみと、
しおりと、
一緒に行けるのが、楽しみ」
「私だって、同じだよ。」
「あたしも、同じ。」
しおりが、りさの上に、
抱きつく。
「ああ、楽しみ。」
抱きついたまま、
りさの胸に、顔を、
押し当てる。
「しおりは、甘えん坊さん」
幸せそうな、しおりの、
髪を、優しく撫でる。。。
「しおりは、小さくて、
可愛いなぁ。抱きつく姿が、
コアラみたい」
しおりは、横目で、
あたしを見ると。
「えへへ。
あけみお姉ちゃんにも、
抱きつきたい。」
「ほら。おいで。」
「うん。」
「あけみお姉ちゃん、
ふかふか。」
抱きついた、しおりの、
頭を撫でる。優しく。
「しおり、それは、
ずるいぞ。」
「え~、もうちょっとだけ」
「わかった。ちょっと、
だけだよ。」
「二人で、決めるな。」
「私と、りさお姉ちゃんで、
あけみお姉ちゃんは、
はんぶんこ。」
「何、それ。」
すっと、しおりが、退くと、
りさが、あたしに、
抱きつく。
「大きい妹も、
甘えん坊さんだねぇ。」
あたしは、りさの、
背中を抱く。
「すん」と、匂いを嗅ぐと、
「うん。いい匂い。
落ち着く。」
と、りさは、あたしを、
抱き締めた。
暫く、りさが、
抱きついてると、
「りさお姉ちゃん、
長いって。次、私の番。」
「きりがないね。」
あたしは、そう言うと、
今日は、二人が、
気が済むまで、
二人を抱き締めた。
「ありがと、あけみ。」
「あけみお姉ちゃん
大好き。」
普通の、姉妹って、
こうなのかな?とも、
思うけど、
それは、
関係ないんだ。
あたし達は、
これが、普通。
いられる限り、
側にいて。
出来る限り、抱き締めて。
あたしに、出来る事で、
あたしなりに、
前に進む。あたしには、
それしか、出来ないし、
あたしが、二人に、
そうしたいから。。。
あたしの、
正直な、気持ち。。。
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