第25話 妹
朝の寒さに、目が覚めて。
あたしの、1日が、
始まった。
うーんと、伸びをして、
布団の中で、丸まってる、
しおりを見る。
丸まってる、しおりは、
一段と、小さく見える。
猫みたい。
「可愛いなぁ。」
と、小さく呟く。
となりの、りさは、
ほとんど、自分の布団を、
無視して、身体半分は、
あたしの、布団に、
侵入している。
でも、こいつの、
この寝顔、本当に、
可愛くて、好きなんだよな。
「はぁ。」
一つため息。
一人っ子のあたしが、
今では、二人の
お姉ちゃんかぁ。。。
ちょっと、荷が重いなぁ。
そう、感じる事もある。
でも、その反面、
頑張ろうって、
なる気持ちもある。
だから、今では、二人が、
あたしを、慕って、
側にいてくれてる事が、
凄く、力になっている。
すっと、立ち上がり、
顔を洗って、歯を磨く。
毎朝の、ローテーション。
そこから、お湯を沸かして、
朝食の支度。
なるべく、
寝かしてあげたいから、
珈琲が、入るまでは、
寝かせておく。
しおりを先に、起こせば、
りさは、しおりが、
起こしてくれる。
あたしが、起こすと、
二度寝するのに、
しおりが、起こすと、
すぐに、起きるんだよ。
しおりの、髪を撫でて、
しおりを起こす。
「しおり、朝だよ。
誕生日おめでと。」
しおりは、寝起きが、
良いから、あたしが、
起こす前に、起きるか、
こうやって、声を掛ければ、
起きてくれる。
「えへへ。ありがとう。
お姉ちゃん、おはよ。」
ムクッと、起き上がると、
すかさず、りさを、
四つん這いで、
小動物の様に、歩いて、
起こしに行く。
「お姉ちゃん、朝だよ。
起きて。」
しおりの、その、
イントネーションが、
萌える可愛さで、
りさも、朝から、
機嫌良く、すんなりと、
起き上がる。
「おはよ。しおり。
誕生日だねぇ。おめでと。」
「ありがと。お姉ちゃん、
一緒に、顔洗い行こ。」
「うん。」
本当に、見てて、
微笑ましい。
今日の朝食は、
タマゴサンドと、サラダ。
後は、いつもの珈琲。
丁度明日は、誕生日を、
お呼ばれしてる、土曜日。
今日は、
チーズケーキでも、
買って、軽く、
祝ってあげようと、
りさとは、話しをしていた。
朝、一緒に、駅まで、
歩いて、そこで、解散。
「お姉ちゃん、頑張って」
小さく手を振り、
学校に行くしおりを、
見送って、
あたし達も、おのおの、
バイト先に向かう。
あたしは、朝は、
コンビニ、午後は、
そこから、近い所の、
パン屋さんで、
働いている。
りさは、
珈琲屋さんに、
朝から、3時まで、
社員の様に、働いている。
そこの、バイトは、
珈琲屋さんの、制服が、
可愛くて、決めたらしい。
「りさ、学校でな!」
「うん。」
あたし達も、手を振り、
解散した。
コンビニの、他の子から、
たまに、声掛けられたり、
するけど、あたしには、
他のバイトもあるし、
夜は学校あるからって、
いつも断っている。
正直な所。そう言うのに、
興味ない。
それは、男女関係なく。
その点、午後のパン屋
さんは、年輩の、
おばさんしか、いないから、
気が楽でいい。
あたしに、色々、
聞いたりもしないし、
会話がないわけじゃ、
ないけど、
この距離感が、
あたしには、
丁度いい。
たまに、パンをくれるし。
そんな風に、
1日が過ぎて、
学校に行く。
最寄りの駅から、
歩いて、学校。
最寄りの駅では、
りさと、いつも、
待ち合わせしてる。
「あけみ、お待たせ。」
「今日ちょっと、
遅かったね。また、
捕まってたの?」
話しながら、りさと、
話す。
「そうなんだよ。
一緒にバイトしてる子に、
告白されちゃってさ。
断ったら、その子、
急に、辞めちゃって。
なんか、めんどくさいよ。」
「はぁ。なんか、
大変だなぁ。あたしら、
彼氏欲しくて、
バイトしてる訳じゃ、
ないからなぁ。」
「あけみも、
良く誘われてんだろ。」
「まぁな。
まぁ、でも、
あたしの場合、告白まで、
行ってないから。
上手く、遠回しに、
避けてるんだけどね。」
「それも、時間の問題、
かもな。」
「仕事先で、やめて欲しい
よな。だって、断ったら、
顔を合わせずらいじゃん」
「まあ、あたしも、
本当に、それは、思うけど、
向こうも、悩んだり、
考えたりして、
そうしてるんだと、思う。」
「う~ん。そうだけど。
あたしら、生活かかってる
からね。」
「だって、向こうは、
あたし達の、そんな事、
知らないから。」
「はぁ。」
りさが、ため息。
「まぁ、うまくやるしか、
ないよ。でも、あたしも、
あんまり、しつこかったら、
他の、バイトに移るわ。」
「そうだね。そのくらいに、
考えてた方が、いいね。」
そんな風に、学校までの、
道を、バイトの、
話しをしながら、
歩くのも、あたし達の、
日課に、なっている。
学校の授業は、
言っちゃ悪いけど、
教わる事は、ない。
真面目に通ってます。
そう言うのが、必要な、
だけだから。
学校でも、たまに、
誘いが、あったことも、
あるけど。
朝から、学校来るまで、
バイトしてるって、
言うのが、一番、
当たり障りのない、
断り方だと、思っている。
逆に、学校終わってから、
って、誘う奴なら、
あたし的に、最低だけど。
今日は、二人で、早退。
駅前の、ケーキ屋さんに、
8時までに、
行きたかったから。
そこで、しおりの、好きな、
チーズケーキと、プリンを
買って帰る。
駅から、家までの道を、
二人で歩く。
「あ。」
「雪だね。」
さぁっと、風が吹くと、
家の近くまで、歩いた所で、
雪が、降ってきた。。。
「わぁ。しおりに、
教えてあげないとね。」
「うん。」
ドアをノックして、
いつもなら、しおりが、
出てくるはず。。。
「なんで?」
あたし達は、焦って、
鍵を開けて、家に入る。
テーブルには、
ご飯の支度が、
してあって、
しおりの、姿がない。。。
その事に、
あたし達は、沈黙する。。
その時、
お風呂から、音が聞こえた。
「あ、そうだった。
りさ、あたし達、
今日早退してるから、
帰り早いんだ。」
「あ、本当だ。お風呂から、
音がするね。」
「まじ、焦った。」
「あたしも。」
気が抜けて、
二人で笑ってしまった。。
お風呂に行って、
ノックする。
ちょっとだけ、扉が開いて、
「あれ、今日早いね、
お姉ちゃん、
お帰りなさい、
すぐ出るから、待ってて。」
しおりが、ちょこんと、
顔を出した。
「いや、急がなくていいよ」
「ううん。もう、
出る所だったから。」
上着を脱ぐと、りさが、
しおりの、
髪を乾かす手伝いを、
しに行った。
あたしは、その間に、
冷蔵庫に、ケーキと、
プリンをしまって、
しおりの、作ってくれた、
おかずを、レンジで、
温めなおした。
「お待たせ。お姉ちゃん達、
お疲れ様~。」
そう言って、しおりが、
ニッコリして戻って来た。
「しおり、話がある。」
「え、何、何。急に。」
「りさ、しおりに、
言ってやって。」
しおりの、顔が、
真剣になる。
「しおりは、知らないかも、
しれないけど、実は、
今、雪が降ってる。」
ぱーっと、
カーテンを開けて、
外を見る、しおり。
「うわぁ。本当だぁ。」
「誕生日に、雪が、
降るなんてね。」
「うん。なんかすごい。」
雪を見て、はしゃぐ、
しおりを、あたし達は、
後ろから、見ていた。
あたし達だって、
今の生活の前なら、
逆に、雪なんて、
降ろう物なら、寒くて、
最悪だったけど。
今は、普通に、雪が、
綺麗な物って目で見れる。
「積もったら、明日、
少しだけ、雪遊びしたいな」
「じゃあ、バイト行く前に、
ちょっとだけ遊ぼうか?」
「しおりが、遊びたいなら、
あたしも、参加するよ。」
りさは、ちょっと、顔が、
ひきつっていた。
りさ、寒いの嫌いだからな。
ご飯を、さっと、
済ませると、しおりが、
ちょっと、だけ、
外に出たいというので、
着替えて、外に出た。
外は、既に、うすっらと、
雪が積もっていた。
「うわぁ。凄い雪。」
目をキラキラさせて、
手を、広げて、雪を、
浴びるしおりを、
あたし達は、
眺めていた。
「しおり、寒いから、
その辺に、しときなさい。」
「う~。わかったぁ。」
しおりの、頭と、服の、
雪を払ってあげて、
家に入る。
りさが、しおりを、
ハグすると、
「うわぁ。しおり冷たい。」
「今日は、湯船作って、
ちゃんと、入ろうね。」
「じゃあ、お姉ちゃんと、
また、湯船入ろっと。」
「いいよ。一緒に、
入ろう。」
「いいなぁ、しおりは。」
「んー。りさは、
背中洗ってあげるよ。」
「ふふっ。じゃあ、
それで我慢する。」
「あ、そうだ。
ケーキ食べようよ。」
「え、ケーキあるの?」
「あるよ、チーズケーキ。」
「うわぁ。
食べたかったの。
チーズケーキ。」
りさが、珈琲を入れて、
くれて、
あたしは、ケーキを、
冷蔵庫から出して、
並べる。
「あ、駅前のだぁ。
私、この、チーズケーキが、
一番好き。」
あたしも、りさも、
それは、知ってるって、
顔で、ニッコリ笑う。
珈琲が、「トン」と、
出てきた所で、
プチ誕生日の始まり。
あたしと、りさは、
しおりに、
誕生日プレゼントを、
渡した。
「しおり、誕生日おめでと。」
小さな箱が、二つ。
「お姉ちゃん、ありがとう」
満面の笑みで、しおりが、
受けとる。
「開けて見て。」
「うん」と、大きく、頷く。
ガーネットの、ペンダント。
「わぁ。可愛い。」
それと、
ガーネットの、髪留め。
「誕生石、綺麗。。。」
「お姉ちゃん、これ、
着けて。」
あたしには、ペンダント。
りさには、髪留めを、
渡して、可愛く、
お願いする、しおり。
あたしが、ペンダントを、
かけてあげると、
りさが、すばやい手付きで、
髪をまとめて、
髪留めで、押さえると、
誰が見ても、可愛い、
しおりの、出来上がり。
そのまま、洗面所の、
鏡を見に行くと、
洗面所から、しおりの、
声。
「うわぁ。凄い。」
「りさ、お姉ちゃん、
今度、髪のまとめ方、
教えて。」
「あけみお姉ちゃん、
ペンダント、ありがとう。」
あたしは、ふふっと、
笑った。
しおりには、言わなくても、
どっちが、
誰のプレゼントか、
わかったみたいね。。
「ケーキ食べようよ。」
「うん。」嬉しそうに、
しおりが、頷くと、
ケーキを、
小さく取って、一口。
「お姉ちゃん、美味しい、
本当、ありがとう。」
あたしは、珈琲を、
飲みながら、「うん。」
と、頷いた。
甘いチーズケーキと、
りさの、珈琲。
本当に、良い組み合わせ。
あたしは、途中で、
お風呂のお湯を張りに、
行って、二杯目の、
珈琲を、りさに、
注いでもらった。
ケーキを食べ終わると、
あたしは、すぐに、
お風呂の様子を見に、
行こうと、立ち上がる。
「お姉ちゃん、私、
見てくる。」
そう言うと、しおりは、
パタパタと、見に行った。
「お風呂入れるよ~。」
お風呂場から、しおりの声。
あたしは、着替えを持って、
お風呂に向かう。
先に、しおりが、
服を脱いでいた。
「しおり、先に入るか?」
「違うよ、お姉ちゃんの、
頭、洗うんだよ。」
「あ、ありがとう。」
あたしと、しおりは、
一緒に入ると、
しおりが、後ろにまわり、
あたしの頭を、小さな手で、
わしゃわしゃと、
洗ってくれる。
「痒い所、ありませんかぁ」
「ふふっ。無いです。」
「じゃぁ、流しますねぇ。」
「は~い。」
頭を流してもらい、
髪を持ち上げる。
鏡越しに、タオルに、
ボディーソープを、
付けている、しおりが、
見える。
「お背中、洗いま~す。」
「サービスいいねぇ。妹。」
「ふふっ。」
「このくらいで、いい?」
「うん。丁度いいよ。
ありがとうね。」
しおりから、
タオルを受けとり、
残りを洗って、
先に、湯船に浸かる、
しおりと、合流。
しおりを、背中から、
抱き締める様に、座る。
「えへへ。お姉ちゃんの、
おっぱいが、やらかくて、
気持ち良い。」
「まったく。しおりは、
甘えん坊さんだねぇ。」
フワッと、しおりを、
抱き包む。
「暖かいね。」
「そうだね。」
少し身体が暖まった所で、
待っている、りさを、呼ぶ。
「しおり、りさ、呼んで。」
「お姉~ちゃん!」
部屋の方から、
「は~い。」
って聞こえると、
「カチャ」と、静かに、
扉が開き、りさが、
入って来た。
また、しおりと、
あたしを見ると。
「はぁ。」と、ため息。
でも、今回は、何も、
言わない。
りさが、座ると、
しおりが、りさの、
髪を洗ってあげて、
「痒い所、ありませんかぁ」
って、聞いてた。
「ふふっ。無いよ。
大丈夫。」
しおりが、
髪を流し終わると、
約束通り、あたしが、
背中を、洗ってあげる番。
「どう、こんなもんで、
いいかな。」
背中を、擦りながら
力加減を聞く。
「うん。」
凄い嬉しそうな、うん。
だった。
「りさお姉ちゃん、凄く、
嬉しそう。」
しおりが、呟いた。
「妹よ、あたしは、
嬉しそうじゃなくて、
嬉しいんだよ。」
背中を向けて、
りさが、変な、
イントネーションで、
しおりに、語った。
「ほら、洗えたよ。
りさちゃん。」と、笑う。
「ふふっ」と、りさも笑う。
タオルをりさに、渡すと、
あたしは、少し、しおりと、
お風呂に浸かってから、
先に上がった。
「あら。」
テーブルを片付けて、
布団が、敷いてあった。
風呂場に戻り、
「りさ、布団ありがと。」
と言うと。
まったり、しおりと、
仲良く湯船に浸かる、姿。
幸せそうに、目を閉じてる、
りさから、
「うん。」って、返事。
あたしは、風呂あがりに、
冷たい水をのみ干して、
布団に、ごろんと、
寝そべる。
「あ~、気持ち良い。」
布団に、大の字で、
手を広げると、
二人が、お風呂から、
上がるのを待った。
暫くすると、
お風呂から、出てきた、
しおりが、あたしの上に、
抱きついて来て、
その上に、りさが、
乗った。。
「ちょっと、重いって。」
しおりが、布団をタップ
している。
あたしの胸で、
息が吸えないらしい。
「りさ、しおりが、
死んじゃう。」
しおりが、身体を起こすと、
「ぷあっ」と、しおりが、
息を吸う。
「りさお姉ちゃん、
あけみお姉ちゃんで、
窒息死する所だったよ。」
ちょっと、怒っていた。
すると、しおりが、
退いた所で、今度は、
りさが、あたしの上に、
乗る。
「うん。やらかくて、
気持ち良い。」
「あ~、
私が先にしてたのに、
ズルい、ズルい。」
しおりは、りさの、
お尻を、ぽこぽこと、
叩いていた。
「もうちょっとだけ。」
あたしは、可笑しくなって、
「フフッ」と笑う。
「もう。本当に、
甘えん坊さんだね。」
りさの、頭を、優しく
何度も、撫でて言う。
しおりも、そのりさの、
雰囲気に、お尻を叩くのを、
辞めて、その場を、
見つめている。
りさの、目には、
涙が流れ落ちていた。
しおりも、心配になって、
「お姉ちゃん。。。
どうしたの?」
そう、声を掛ける。
「ううん。何でもない。」
そう言うと、涙を拭って、
起き上がる。
でも、あたしは、
わかったよ。
りさは、小さい時、
大好きな、お母さんの、
胸を枕に、寝るのが、
好きだったから、
それを、
思いだしたんだろうなって。
だから、あたしは、身体を
起こした、りさを、
もう一度、抱き締めた。
「大丈夫、あたしは、
いなくならないからね。」
りさが、落ち着くまで、
あたしは、りさを、
抱き締めて、背中を、
撫でた。
その姿を見ていた、
しおりは、目に、涙が、
溢れていた。
「お姉ちゃん、
寂しかったんだね。」
と、ポツリ。
「うん。もう、大丈夫。
ありがと、あけみ。」
「いいよ。いつでも、
抱き締めてあげるから。」
りさは、
へへ。と嬉しそうに、笑う。
「ごめんね、しおり。
お姉ちゃん、昔を、
思い出すと、ちょっと、
おかしくなるから、
気にしないで。」
それを聞いて、しおりは、
「お姉ちゃんは、
おかしくなんかない。」
そう、ハッキリと言った。
あたしは、りさと、
しおりを、横目に、
涙で、
グショグショのシャツを、
着替えて、
ほら、しおりも、おいで。
うつ向いて、涙目の、
しおりを、抱き締めた。
しおりが、口を開く。。
「なんで、お姉ちゃん達、
ばっかり、そんな目に、
合わなきゃ、
いけなかったの、
おかしいのは、
そっちじゃん!」
そう言って、嗚咽をあげて、
泣き出した。
そんな、しおりを、見て、
りさが、しおりを、
後ろから、抱き締めて、
「しおりは、本当に、
優しいね。こんな、
あたしのために、
ごめん。」
そう言うと、
しおりが、
「なんで、なんで、なんで、
謝るの。お姉ちゃんは、
悪くないのに!」
呼吸が、苦しくなるほど、
泣いていた。
あたしも、しおりの、
頭を、撫でて、
「しおりが、あたし達の、
事を、思って、怒って、
泣いてくれるのは、
素直に、嬉しいよ。
でもさ、あたし達は、
泣いたり、怒ったり、
出来ない環境が、あって、
こうなっちまって、
今は、その壊れた心の、
修復中なんだよ。
たまに、あたしも、
りさも、
過去の、痛みで、
おかしくなるかも、
知れないけど、
それでもいいなら、
ずっと側にいて欲しい。」
そう言った。。
しおりは、
「お姉ちゃん達の事、
大好きだもん、
一緒にいるに、
決まってるじゃん。
変な事、言うと、
私も、怒るよ!」
そう、
強く言われてしまった。
「うん。ずっと一緒だよ。
しおりが、居てくれたら、
もっと、あたし達も、
強くなれるから。」
「うん。ずっと一緒。」
しおりの、抱き締める力が、
強くなる。。
あたしは。あたしは、
気づいて無かった。
しおりが、あたし達の事、
ずっと見ていて、
あたし達の、生まれ育った、
環境、境遇に、真剣に、
怒っていた事を。
こんなに、怒っていたんだ。
こんなに、
怒ってくれていたんだって。
あたしも、りさも、
何だろう、どう、表現、
したらいいのか?
この目の前の、しおりが、
本当に、妹に見えた瞬間。
それほどに、しおりの、
気持ちが、あたし達には、
伝わってきて、
知らない間に、
あたしも、目から、
大粒の涙が、落ちていた。
暫く、3人で、泣いて。
暫くすると、落ち着いて。
深呼吸。
「ふぅ。」と吐いて、
大きく吸う。
あたしは、自分に、
大丈夫と、言い聞かせて。
りさと、しおりの、
頭を撫でる。
「お姉ちゃん、
こんなに、優しい、
妹がいて、嬉しいよ。」
そう、話し掛けた。
あたしは、
二人に、抱き締められて、
あたしの、妹は、
最高だって、そう思った。
「ほら、もう、泣かないよ
あんまり、泣いてると、
お姉ちゃん、
困っちゃうから。。」
「うん。」
しおりも、りさも、
頷くと、涙を拭って、
できる限りの、笑顔を、
見せてくれた。
あたしは、後ろも、前も、
二人の涙で、濡れた、
シャツを、また、着替えて、
冷蔵庫から、プリンを、
出した。
「泣きやんだら、
一緒に、プリン食べよ。
泣いてると、プリン、
しょっぱくなっちゃうから」
そう言うと、しおりは、
「うん。わかった。」
と、目尻を、押さえながら、
そう答えた。
りさは、鼻をずっと、
すすって、
「プリン、いいね。」
と言って、洗面所に、
顔を洗いに行った。
あたしも、しおりも、
りさの、後に、
付いていき、
結局、3人とも、
顔を洗ってから、
プリンを、食べた。
その後、あたし達は、
すぐに、歯磨きを済ませ、
3人で、いつもより、
くっついて、眠った。
姉妹仲良く。。
今日は、しおりの、
生まれた、誕生日。
あたし達にとって、
本当に、妹が、生まれた
そんな日だった。。。
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