第24話 こんなことって
お正月は、二日目だけは、
しおりが、親戚が、
来るとかで、帰っただけで、
それ以外は、ずっと、
三人で、過ごした。
しおりは、うちに来る時は、
基本的には、勉強を
している。
成績が、悪くなければ、
ここに来ることを、
反対しないと、お父さんに、
言われてるらしい。
あたし達も、それに、
引きずられるように、
一緒に、勉強してる。
だから、あたし達は、
定時の四年制の、
内容を、遥か先まで、
勉強しているから、
学校の授業は
しおり先生に、
とっくに教わっていた。
こればかりは、しおりには、
かなわない。
しおりは、勉強が、
出来る子なのだ。
教え方も、上手く、
とても、わかりやすい。
「お姉ちゃん、覚えるの、
早いよね。」
そんな事を言って、
褒められながら、
あたし達の、学力は、
どんどん上がって行った。
しおりは、
塾も行ってないのに、
その先まで、予習していて、
本当に、感心する。
少し前までは、週末の、
土日に、うちに来ていた、
しおりだったけど、
今は、あたしらが、
高校から、帰る10時
くらいには、
先に、うちにいて、
ご飯を作って
置いてくれる。
それは、あたし達が、
高校に行く時間、
ギリギリまで、バイトを、
していて、夜遅くに、
夕食を取っている事を、
しおりが、気付いて、
自主的に、始めた事だった。
家に帰ると、
「お姉ちゃん、
お帰りなさい。」
そう言われる生活。
最初は、りさと、
二人で、
何が何だか、わからなくて、
戸惑って、ビックリして、
ちょっとだけ。
泣いた。
しおりの、気持ちは、
とても、嬉しかったけど、
あたしは、しおりの、
両親に、
心配させたくなくて。
しおりに、
内緒で、電話で、
お父さんと、お母さんに、
話をする事にした。
そうしたら、お父さんが、
逆に、あたし達が、
迷惑してなかったら、
しおりの、好きに
させてあげて下さいって。
だから、あたしは、
やっぱり、しおりが、
心配だから、学校から、
うちに来る時は、
連絡だけは、ちゃんとして
と、約束をした。
それからは、ほぼ、
毎日、しおりが、家に、
いるようになり、
あたし達は、本当に、
家族になった。
そこで、学校で、
りさと、二人で、
しおりの、
17歳の誕生日を、
どうするかを、
話し合っていた。
プレゼントは、
スマホを見ながら、
二人で、決めて、
注文した。
そこまでは、良かったけど。
あたし達も、しおりが、
大切だけど、
しおりの、両親も、
同じはずなんだって。
あたし達は、そんな事を、
考えれば、考えるほど、
心の中の、何とも言えない、
色んな、
モヤモヤと、戦っていた。
学校からの、帰り道、
りさが、あたしに、
提案をして、
「あたしは、誕生日、
二通り考えたんだけど。」
「ん。あたしも。
りさ、言ってみて。」
「日にちを、1日ずらす。
それか、しおりの、
両親と、一緒に祝う。」
「ははっ。あたしも、
同じ事を、考えてた。」
「だよな。」
「どっちが、いいかな。」
「どっちが、いいかと、
言うより、どっちが、
しおりが、喜ぶか?
そこが、大切だよね。」
「うん。そうだね。
あたしも、そう思う。」
「これって、考えても、
答えが、無いんじゃない?
だってさ、あたし達も、
しおりの、両親も、
しおりが、大切なんだから」
「そうだね。。。」
「明日、しおりの、
お父さんと、お母さんに、
連絡して、聞いてみるよ」
「そうだね。そうしよう。
そうしたら、答えが、
出るもんね。」
「頼んである、プレゼント、
いつ、取りに行く?」
「郵便局留めだから、
明日、バイトの合間に、
あたし、取りに行くよ。」
「うん。じゃあ、お願いね」
灯りのついた 家に帰ると、
「お姉ちゃん、お帰り~。」
と、笑顔のしおり。
「ただいま~。」
あたし達も、笑顔になる。
「いい匂い。」
「シチュー、作って見た。」
あたし達は、しおりを、
思わず抱き締めて、
「ありがとうね。」
そう言うと、
「えへへ。」と、
しおりは、本当に、
嬉しそうに笑った。
「ほら、お姉ちゃん、
疲れてるんだから、
座ってて。」
そう言われて、キョトンと
して、あたし達は、
「あ、はい。」と、答えた。
しおりに、席に着く様に、
うながされ、すぐに、
しおりの、手料理が、
テーブルに、並べられた。
「こんなに、作ったの?」
「実は、今日は、
お母さん、手伝ってくれて、
夕方まで、一緒に、
作ってたの。」
「え、そうなの?」
「品数が、多いと思った。」
「勝手に、お母さん、
着いてきちゃって。」
「ふふっ。
あたし達からすれば、
羨ましいくらいだよ。」
「材料高かったでしょ。
いくらかかったの?
払うよ。」
そう言うと、
「大丈夫、お父さんが、
お姉ちゃん達に、
お世話になってるからって、
お母さんに、頼んで、
今日来たらしいから。
お金も、お父さんが、
出してくれたの。」
「あ。そう言う事なの。
でも、悪いじゃん。」
「お父さんが、お金の、
心配をもし、してたら、
自分の娘が、お姉ちゃん
だって、言ってるなら、
うちの、家族と変わらない
んだから、遠慮しないで、
って、伝えてくれって。」
あたしも、りさも、
その話しに感動して、
「そんな事って。。」
そう思うと、眼から涙が、
出た。。。
「あはは、じゃあ、
遠慮無く、食べるよ。」
そう言って、一口。
シチューを、すする。
でも、何だか、
わかんないけど、
この、涙の止め方が、
わかんなくて。
あたしも、りさも、
人から貰う、優しさに、
どうも、馴れてない。。。
この、シチューが、
美味しいのは、
間違いないけど、
胸が苦しくて、
それどころじゃなくって。
嬉しくて、胸が痛くなる。
そんな、事もあるんだと、
初めて知った。
しおりは、私達の、
喜ぶ顔が見たかったはず
なのに、私達は、
ぽろぽろ、泣いちゃって。
しおりを見ると、
しおりも、一緒に、
泣いていた。
でも、それは、
しおりの、顔が本当に
優しくて、あたし達の、
妹として、泣いてるんだ、
本当にそう思った。
「お姉ちゃん達、
シチュー、冷めちゃうよ。」
「しおりも、進んで、
ないじゃん。」
あたし達は、
三人とも、鼻の頭を、
真っ赤にして、
ご飯を食べた。
こんなに、姉思いの、
妹に、あたしは、
やっぱり、誕生日の事を、
直接聞く事にした。
「りさ、さっきの、聞いて
いい?」
りさとは、一応サプライズを
考えていたから。
聞いてしまっては、
サプライズに、ならない。
それでも、あたしは、
しおりに、聞きくなった。
りさも、
「そうだね。それが、
一番いいと思う。」
って、言ってくれた。
「しおりの、誕生日、
なんだけどさ。」
そう切り出した。
「うん。私の誕生日、
もうすぐだよ。」
「その、誕生日なんだけど、
1日ずらして、ここで、
あたし達と、過ごすのと、
しおりの、両親を、
誘って一緒にするのと、
しおりは、どっちが、
嬉しいのかなって。。」
「あ、そう言う事ですか。」
「一応、私、お父さんと、
お母さんに、
誕生日、誘えって、
言われてるんです。
お姉ちゃん達が、
嫌じゃなければ、ですけど」
「でも、あたし達って、
学校終わってからだと、
結局、10時くらいに、
なっちゃうからさ。
そこも、問題なんだよね。」
「うん。だから、
お父さんが、土曜日か、
日曜日に、しようって。」
「あ、なるほど。
そう言う事なのね。」
「じゃあ、誕生日の日は?」
「私、普通通り、ここに、
来ますけど。」
「あ、なんだ、そうだよね。」
「あ~、って事は、
また、私を、のけ者にして
二人で、イチャイチャ、
してたんですか?」
「イチャイチャって、」
あたし達は、大笑い。
知らない間に、涙も、
ちゃんと、止まってくれた。
美味しいご飯には、
楽しい話しが、
良く合う。
そこから、土曜日の、
午後に、誕生日に、
参加させて貰う事にした。
ご飯が、終わって、
お風呂に入って、
あたし達は、いつも通り、
仲良く、くっついて、
眠りについた。。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます