第22話 嬉しくなって
初詣の帰り、
混雑した駅までの道を、
人混みを、かき分けながら、
歩き、家に戻ったのは、
薄暗くなる頃だった。
あたし達は、くたくたで、
帰るなり、疲れて、
眠ってしまっていた。。
どのくらい、時間が、
たったのだろう。。。
ふと、目が覚めて。
スマホの画面を、見る。
「7時10分かぁ。」
帰ってきて、すぐに、
寝てしまったので、
3時間近く、眠っていた、
計算になる。。。
布団を敷かず、毛布だけで、
寝ていたので、少し、
肌寒い。りさも、しおりも、
寒いのか、丸まって、
寝ている。
風邪でも引いたら、
困るので、二人を、
起こす。
順番は、しおりから。
しおりの、毛布を、
めくって、抱きつく。
しおりが、
もぞもぞしながら。。。
「うん。今、何時?」
「7時だよ。
毛布だけじゃ、風邪引くよ
起きて。」
そう言うと、
「ふぁい。」
と、眠そうに、上半身を、
起こした。
しおりが、丸まってる、
りさを、見つけると、
のそのそと、りさに、
にじり寄る。
「お姉ちゃん。」
と、抱きつくと、
りさが、
しおりを、抱き締め返す。
暫くすると、二人は、
また、眠ってしまった。。
「あらら。」
それを見てる、あたし。。
「仕方ないなぁ。」
と呟くと、押し入れから、
掛け布団を、持ってきて、
二人に掛ける。。
あたしは、そのまま、
湯船を作り、ゆっくり、
お風呂に入る事にした。
二人が、寝ているので、
部屋は暗いままにして、
お湯が貯まるまで、
スマホを眺めて。
「そろそろかなぁ?」
独り言を言って、
お風呂に入る。
りさが、編み込んでくれた、
髪をほどいて、シャワーを、
浴びて、お風呂に浸かる。
「はぁ。気持ちいい。」
また、独り言。
ここに来て、こんなに、
静かなのは、初めてかも。
少しぬるめの、お湯に、
長く浸かっていると、
「ガチャ」
お風呂の扉が、ちょっと、
開く。
「お姉ちゃん、
はいっていい?」
しおりが、起きてきた。
「おいで、
湯船を作ったから、
しおりも、ゆっくり入りな」
「うん。」
湯船の中から、しおりの、
頭を、洗ってあげる。
「えへへ。なんか、
お姉ちゃんに、
洗って貰うの、気持ちいい」
「そっかぁ。じゃあ、
また、一緒に入ろうね。」
「うん。」
身体を流し終わると、
しおりと、一緒に、湯船に、
浸かる。
「なんか、いいなぁ。
こう言うの。」
「うん。」
しおりと、まったり、
湯船に浸かる。。。
「ガチャ」
扉が開くと、ひょこっと、
りさが、覗き込む。
「起きたら、
誰もいないから、
ビックリしたよ。。。」
「りさも、入る?」
「え、三人、入れるかな?」
「あたしは、りさが、
湯船に浸かるまでには、
出るよ。」
「そっか、じゃあ、入る。」
一緒に暮らして、
初めて、三人で入る、
お風呂。
しおりと、あたしが、
湯船に入ってるのを、
見ると、
「しおり、そのポジション、
なんか、ズルい。
あたしじゃ、出来ない事してる。」
「だって、私、小さいもん。」
しおりは、私の胸に、寄りかかって、
体育座りの様に、
すっぽりと、収まって、
あたしが、しおりを、ハグしてる形で、
湯船に浸かっていた。
「あたしも、ひとまわり小さかったら、あけみに、それ、
やってもらえたのになぁ。」
「えへへ。いいでしょ。」
「なんか、悔しい感じ。」
そう言って、床を見る。
「じゃあ、りさは、お風呂から出たら、やってあげるから、いいだろ。」
「うん。じゃあ、それでいいよ。」
「あー、りさお姉ちゃん、
ズルいんだ。」
「だって、あたし、それ無理だもん。
仕方ないじゃん。」
しおりと、りさで、
あたしの、ポジション争い。。。
「何を、言ってんだよ、おまえ達は。」
可愛い二人に、苦笑い。
「ほら、りさは、早く、
身体を洗っちゃいな。冷えるよ。」
りさが、髪を洗い出すと、しおりが、
手を浴槽から、出して、参加する。
その手を、触ると、
「しおりが、洗ってくれるの?」
と、嬉しそうに、言った。
「うん。洗ってあげたい」
「じゃあ、お願い。」
あたしは、それを、ずっと、
眺めていた。
ああ、きっと、家族って、
こんな感じなんだろうな。
いいなぁ。。。
こう言うの。。。
「ふぅ。」と、一つ、
息を吐き。
髪を洗い流し終わった、
タイミングで、
あたしは、お風呂を出た。
着替え終わり、
髪を乾かして、
また、おせちを出す。
「ずいぶん、長風呂だな。」
と、また、独り言。
お風呂の、ドアを開けると、
さっきの、あたしと、
同じ姿勢で、
二人でまったりと、
入っていた。
「んー。しおりの、そのポジション、
私も、なんか、羨ましいなぁ。。。」
チラッと、しおりが、
こっちを見る。
「えへへ。」
と、嬉しそうに笑う。
「まぁ、
あたしも、それ、やろうとしても、
確かに無理あるね。。。」
そこで、あたしは、
旅行雑誌で、
思い付いた。
「今度、みんなで、温泉行こうよ。」
りさが、あたしを見て、
「あたし、絶対行って、あけみに、
これ、やって貰う!」
と、嬉しそうに言った。
「みんなで、温泉。。」
そう、しおりが、呟くと、
「ザバっ」と、しおりが、
立ち上がると、
「温泉、行きたいです!」
と、鼻息を、荒くした。
「じゃあ、予定表に、
書き込まなくちゃね。」
「バイトの、シフト、
調整しないと駄目だね。」
二人とも、メチャクチャ、
乗り気で、テンション、
高いのが、あたしにも、
伝わって来た。。。
「取り合えずさぁ、
そろそろ、
上がりな、ご飯に、するよ~!」
「は~い!」
元気な返事が、帰ってきて、
なんだか、嬉しくなった。
おせちを、つつきながら、
話題は、さっきの、温泉の話し。
あたしの、持ってる、
旅行雑誌、何冊かと、
スマホを、参考に、
貸し切りって、ワードに、
注目して、探す事にした。
「あ、箱根とかなら、
日帰りも、出来るね。」
「そうだね。」
「日帰りなら、結構、安く済むね。」
「凄く、現実的です。」
「じゃあ、来月で、貸し切り出来る所、
予約取って、
それに、合わせて、シフト組もう」
「明日、電話しておくよ。」
「うわぁ、楽しみ~。」
思いつきだけど、
温泉。。。
嬉しくなって、
「あたしも、楽しみ~!」
と、浮かれちゃう。
「あ、あけみ、なんか、忘れてない?」
「忘れてないよ。ほら、
こっちおいで。」
りさを、後ろから、
優しく、ハグする。
「あ~。落ち着く。」
「ふふっ。いつから、
りさは、そんなに、甘えん坊に、
なったんだよ。」
「あけみと、しおりにしか、
甘えてないよ。」
「それも、そうだね。
あたしも、りさと、
しおりにしか、甘えてない」
そう言うと、すんと、
りさの、匂いを嗅ぐ。
「なんかさぁ、あたし、
あけみと、しおりが、
いれば、もう、何もいらないかも。」
あたしも、と、言いそうに、
なったけど、
ここで、満足したら、
駄目だと、
あたしの、心が、そう、
言っている。。。
「あたしも、正直、
そうなんだけど、
高校卒業して、就職も、
ちゃんとしてさ。
満足するのは、まだ、早いよ、りさ。」
「うん。そうだね、あけみ。」
「でも、あたしは、ずっと、りさと、
しおりの、お姉ちゃん、
やってあげるから、心配すんなよ。」
「うん。」
その雰囲気を、じっと、
見ていた、しおりが、
「お姉ちゃん、
あたしも、くっつきたい。」
あたしは、りさとの間に、
隙間を、開けてあげる。
そうすると、しおりは、
「スポッ」と入ると、
「えへへ。」っと笑って、
りさを。抱き締めた。
そんな、二人を、
後ろから、あたしは、抱き締めずには、
いられなかった。。。
あたし達は、
血は繋がってないけど、
誰かに、関係を聞かれたら、
迷わず、
こう答えると思う。姉妹ですって。。。
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