第21話 はつもうで

「ん。あれ。」


うっすらと、明るい朝。


あたしの、お腹の横に、

丸まった、しおり。


足元に、りさが、寝てる。


そっか。昨日は、

眠くなるまで、

起きてたんだった。


「ふわぁっ。」


大きくあくびをしながら、

伸びをする。


りさは、お腹を出して、

布団が、半分しか、

掛かってない。。


起きあがって、

布団を掛けてあげる。。


表情が、幸せそう。

きっと、

いい夢みてるんだね。


あたしは、一人先に起きて、

眠気覚ましの、シャワーを、

浴びる。


「寒っ。」


お風呂場の、朝の冷気に、

全身に鳥肌が立つ。

熱めの、シャワーを頭から、

浴びると、今日が、

始まる実感がわく。


お風呂から、出ると、

しおりが、丁度起きた所。


タオルに、パンツ一枚って、

格好で、しおりと、

目が合う。


「おはよ。」


「あ、おはよう。。。

お姉ちゃんの、身体綺麗。」


ぼーっと、あたしを眺める。


「いいなぁ。

スタイル良くて。」


「ふふっ。

しおりも、まだ、成長

するから、大丈夫だよ。」


「そうかなぁ。私、

背も小さいし。」


「お母さんと、

同じくらいには、

なるんじゃない?」


「だと、いいんだけど。」


話し声で、りさが、

起きた。


「ん。あけみ、寒いのに、

シャワーしたの?

お風呂、寒かったでしょ」


「うん。凄く寒かった。

けど、いい、眠気覚ましに、

なったよ。」


「そっかぁ。あたしも、

入ろうかなぁ。でも、

寒いの、いやだしなぁ。」


「今入れば、そこまで、

寒くないよ。」


「じゃあ、ちょっと、

シャワー浴びようかな。」


「私は、お姉ちゃんと、

はいろうかなぁ。」


「ん。」

きょとんとする、りさ。


「駄目かなぁ。」


「ふふっ。いいよ。

一緒に、入ろ。」


二人が、仲良く、お風呂

してる間に、あたしは、

布団を片付けて、

おせちの重箱を、

冷蔵庫から、出しておいた。


お風呂から、あがった、

しおりは、


「うーん。りさお姉ちゃん、

見てると、何か、

出るとこ出てて、

同じ、女として、

自信なくす。。。」


後ろから、しおりの、頭を、

タオルで、ごしごしする、

りさ。


「あははっ、今だけだって、

あたしも、あけみも、

歳とったら、オッパイ、

垂れたりすんだぞ。

だったら、しおりの、

方が、特じゃない?」


「うー。何ですか、

りさお姉ちゃんの、

その、励まし方。」


「励ますってか、本当の、

事じゃん。なぁ、あけみ。」


「まぁ、そのうち、

重力に負けるからな。」


「そう言う

もんなんですか?」


「だって、これですよ。」


しおりの、小さな手には、

とても、収まりきれない、

張りのいい、

りさの、胸に、手を被せる。


「あれ、昨日納得

したんじゃなかった?」


「現実を、リアルに、

みちゃいましたから。」


「あらら。」


「半分、やれるなら、

あげるんだけど。」


「もう。意地悪。」


「ははっ。もう、

そのくらいにして、

ご飯にしようよ。」


「うん。わかった。」


りさに、ドライヤーで、

髪を乾かして貰い、

可愛く、まとめてもらった、

しおりは、機嫌良く、

戻ってきた。


「あけみお姉ちゃん、

似合う?」


「めっちゃ、可愛い。」


「えへへ。私も、

そう思う。りさお姉ちゃん、

髪をまとめるの、

凄くうまいの。」


「良かったね。」

嬉しそうに、してる、

しおりに、あたしは、

微笑む。


「お、りさも、めちゃ、

可愛いじゃん。」


髪をまとめあげた、

りさは、普段の、

あどけない表情とは、

違う、大人っぽさが、

出ていた。


「あけみも、後で、

やってあげようか?」


「え、じゃあ、格好

良いの頼むよ。」


「あたしの、センスで、

良いなら!」


「じゃあ、お願いね。」


重箱を、並べて、

みんなで、おせち。


だけど、味見と称して、

全部、食べてるから、

どんな味かは、

わかっていた。。


「冷蔵庫で、冷えてるけど、

味が染みてて、美味しいね」


「うん。美味しい。」


「栗きんとん、冷たくて、

美味しい。」


あたし達は、おせちも、

そこそこに、初詣の、

支度をする。


「あけみー。こっち来て。」


「はいよ。」


洗面所に呼ばれ、

りさが、髪を、

整えてくれる。。


理容師見たいな、手つきで、

あたしの、髪は、

あっという間に、

編み込まれ、

綺麗に、整えられた。


「わぁ。綺麗だね。」


鏡に、顔を、左右に、

振り、髪を見るあたし。


「りさ、天才じゃね?」


「あははっ。大袈裟。」


「でも、りさ。

普段は、髪やらないよね。」


「ああ、あたしの、髪、

編み込むと、癖になって、

暫く戻んないからさ、

滅多にやんないんだ。

練習みたいに、ほんと、

たまに、風呂上がりに、

やってはいたけど。」


「そうなんだぁ。

知らなかった。」


支度を整えて、お化粧を、

始めると、横に、

ちょこんと、しおりが、

座る。


「どうしたの?」


鏡に映る、しおりに、

話し掛ける。


「お姉ちゃん、私も。」


「ふふっ。はい、はい。」

あたしの、横に座り、

眼をつぶる、しおりが、

可愛くて、つい、

笑ってしまった。


軽い、お化粧で、しおりは、

一段と、可愛くなった。


「出来たよ、しおり。」


「わぁ、あけみお姉ちゃん、

お化粧、やっぱり、上手。」


嬉しくなって、りさに、

見せに行く。


りさが、着替えが、

終わると、お化粧してる、

あたしの、横に、

眼をつぶって

ちょこんと、座る。。。


鏡で、チラッと見て。。。


あたしは、何も言わず、

りさに、お化粧を、した。


「りさ、出来たよ。」


「うん、いいね。

あけみの、癖のない、

お化粧好き。」


「どういたしまして。」


支度を整え終わると、

あたし達は、

電車で、初詣に向かった。。


電車は、思ってたより、

混雑は少なかった。


座れなかったけど。


無事、神社に着くと、


参拝ルートの、立て札に、

従って、行列を歩く。


周りを見回し、

それに習って、お賽銭を、

投げ込む。


手を合わせて、

あたしは、月並みかも

知れないけど、

あたし達が、ずっと、

一緒に、

仲良くいられる事を、

祈った。。。


混雑しているので、

手短に、済ませて、

二人を見ると、

しおりも、りさも、

まだ、何かを。祈っていた。


あたしは、それを待って、

二人と、手を繋ぎ、

混雑の輪から、抜け出した。


「お守り買いたいな。」


「交通安全とか?」


「うん。それも、

欲しいけど、学業のお守り

も、欲しい。」


「じゃあ、みんなで、

買おうか。」


お守りの、売り場?に、

並び、三人で、

同じお守りを、買った。


直ぐ様、しおりが、

パタパタと、今度は、

おみくじを、引きたがる。


あたし達は、しおりの、

後を、保護者の様に、

着いて回る。


あたし達の顔は、たぶん、

にこにこと、していた。。。


「わぁ。大吉。」


しおりが、おみくじを、

広げると確かに大吉。


あたし達も、それに続く。


「お。」


「あ。」


こんな事もあるのかって、

感じで、あたしも、りさも、


大吉だった。


「ここの、おみくじ、

全部、大吉なんじゃね。」


「そんな事、ないよ、

お姉ちゃん。私、

ここで、違うの引いた時の、

方が、多いもん。」


「そっかぁ。じゃあ、

三人揃ってなんて、

奇跡だね。」


「なんか、周りを見てると、

あちこち、

結わえてあるけど、

あたしは、これ、

記念に、持って帰るわ。」


「お姉ちゃんが、

そうするなら、私も、

そうする。」


「新年早々、なんか、

縁起よさそうだな。」


あたし達は、おみくじを、

しまって、しおりの、

後ろについて、出店を、

見て回った。


家族連れや、恋人同士、

友達、そんな中でも、

あたしも、りさも、

しおりに、連れられて、

歩いていると、

こう言うのが、

家族で、出歩くって、

事なのかなぁ。。。

と、何だか、心が、

暖かく感じた。


あたしも、りさも、

別に、出店で、欲しい物は、

無かったけど、

しおりと、同じ物は、

全部、一緒に買いに行った。


「お姉ちゃん達は、

何か、食べたい物は、

ないの?」


あたし達が、しおりと、

同じ物しか、買わないから、

ちょっと、困った顔で、

そう、聞かれた。


「んー。そうだね。

あ、わたあめって、

そう言えば、食べた事、

無いね。」


「あたしも。」


そう言うと、しおりが、

また、パタパタと、

小走りに、


わたあめを、あたし達に、

買ってくれた。


「はい、お姉ちゃん。」

満面の笑みで、わたあめの、

袋を、あたし達に、

差し出す。。


「ありがとう。

なんかなぁ、しおりに、

買って貰っちゃうと、

勿体なくて、

食べれないよ。」


「そんな事言ってると、

溶けて、

固くなっちゃいますよ。」


「え、あんな、ふわふわな、

感じなのに、

固くなるのか?」


「うん。私も、小さい時、

大事に、とっておいたら、

ふわふわじゃ、

無くなったもん。」


それを聞いて、少し、

開けた場所を探し、

りさと、二人、

しおりが、見てる前で、

わたあめを、ちぎって、

口に、入れる。。


「甘。口の中で、

一瞬で、溶けたよ。」


「あたしは、こう言うの、

好きだなぁ。」


「お姉ちゃん、私も、

一口頂戴。」


そう言うと、しおりは、

口を開けて待っている。


あたしも、りさも、


一口分づつ、

しおりの、小さな口に、

わたあめを、

そっと、食べさせた。


「ふふっ。あまーい。」


なんて、可愛いんだろう。

あたしも、りさも、

妹に、萌えた。


暫く、神社の周りを見て

歩いてから。


「そろそろ、帰ろうか?」


あたしは、頃合いだと、

思って、二人に声を掛けた。


「うん。帰ろ。」


そう言った、

りさを真ん中に、

あたし達は、手を繋ぎ、

ゆっくりと、歩いて、

家族の様に、

神社を、後にした。。。


初めての、初詣。


しおりに、癒された、

1日だった。。。
















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