第19話  思い返して

朝、起きると、誰もいない。


あたしの親。


お父さんは、

単身赴任で、殆ど、

家にいない。。。

お母さんは、

帰って来ない日が、多い。


特に、イベントの日は、

家に、居たことが無い。


どのくらいの時だったか、

あたしが、小学生の

時には、あたしは、

家で、一人ぼっちで、

お留守番。


母親は、家にいれば、

あたしに、あなたさえ、

いなければとか、

生まなければとか、

そう言う事を、

言う人だった。


外で、遊ぶ事は、禁止。

友達を、家に呼ぶのも、

禁止。


約束を、守れないと、

暴力を振るわれた。


学校以外は、外出を、

制限されてて。


お小遣いとして、

月に、3万円渡されてて、

それで、学校帰りに、

買い物をして、帰る。


友達に、聞いた事も、ある。

親が、共働きだと、

そう言う事もある。

そう言う答え。。。


これが、普通なんだと、

納得する。


そこから、あたしは、

どんどん、友達も減り、

学年が、上がれば、

上がるほど、独りになった。


中学生卒業する時くらいに、

珍しく、お母さんが、

家の電話で、誰かと、

口論していた。


多分、相手は、お父さん。

声が、あんまり大きいから、

話してる、内容は、

私にも、わかる。


ああ、この人達、

離婚するんだって。

そうなると、あたしは、

どっちに、

引き取られるんだろう?


そんな事を、考えながら、

高校に、進学は、出来た。

学校の費用は、

毎月の、3万円を、

節約して、毎月残して、

貯めて置いた、

あたしの、貯金から、

払った。


あたしは、親に相談とか、

したことなんて、一度も

ない。


そのくらい、うちの中は、

バラバラだった。


あたしの存在は、空気と、

おんなじなんだ。


中学を卒業した後は、

お母さんも、

ほとんど、

帰って来なくなり、

内緒で、

あたしは、アルバイトを、

初めた。


学費と、生活費を、

手に入れるため。

月の、3万円は、

卒業と、同時に、

打ち切られた。


そこから、2ヶ月過ぎると、

管理会社の人が、

家の前で、待っていた。


家賃が、払われてないって、

言われた。


あたしは、暫く、

呆然として、一月分の、

家賃だけ、お金を払って、

その場をしのいだ。。


その後、すぐに、電気が、

止まって。

ガスも、止まった。

使えるのは、水道だけ。。


バイトも、掛け持ちした。。

高校は、

卒業したかったけど、

学校に、行く余裕が、

無くなり。。。


そんな、中、

家に、借金取りが、

来るようになった。

流石に、怖いから、

隠れて過ごす。


ポストの中には、

母親の名前で、

かなりの金額が、

記入されていた。


あたしは、アルバイトの、

入金を待って、

そこから、家を抜け出した。


あんな、家でも、安心して、

夜眠れただけ、マシだった。


外に出るとわかる。

安心出来る場所なんて、

何処にもない。


取り敢えずで、家から、

離れて、人の多い場所を、

目指した。


なんとなく来た。

東京の駅。


声を掛けてくる、

優しさを、気取った大人達。

そんな、気取った優しさを、

利用する、あたし。


そのうち、それは、

利害関係が、一致すれば、

そんなに、

気にならなくなった。


あたしは、元々、

色んな事に、

無関心だったのかもね。


色々思い出して、

目を覚ます。。。


そのまま、横になって、


「はぁ」とため息。


それと、同時に、


「大丈夫だよ。」


横に寝ている、りさが、

あたしに、小さな声で、

声を掛ける。


りさの、優しい顔。


そんな、りさの顔を見て、

「わかってるよ。」


あたしも、小さな声で、

返した。


あたしも、りさも、

何とも思って無い様で、

結構、心の傷が、

たまに、疼く。。。


スッと、起きあがり、

水を飲みに、立つ。

時間は、夜中の3時。


気持ちを、落ち着けて、

布団に戻ると、

りさが、あたしの、

布団に、入って来て、

あたしの手を握る。


何も言わない。


でも、その暖かさに、

あたしは、もう一度、

眠りにつく事が、出来た。。



「重い。」


しおりが、あたし達の上に、

覆い被さっていた。


「お姉ちゃん達、ずるい。」


二人で寝ている事に、

気がついた、しおりが、

拗ねて、布団の上で、

あたし達を、抱き締める。


あたしと、りさで、

しおりを、真ん中に入れて、

抱き締め返す。


「ほんと、しおりは、

可愛いね。」


「やぁ、やめてっ」


あたしら、二人で、

しおりを、もみくちゃに

して、構う。


その後、みんなで、

大はしゃぎ。


暫く、下らない事して、

起きあがると、

いつも通り、みんなで、

朝ご飯。


「あけみさん、りささん。」


「なんだ?」


しおりの、顔が真剣になる。


「どうしたら、

オッパイって、大きく、

なるんですか?」


あたし達は、暫く沈黙。


「誰かに、揉んでもらうと、

大きくなるんじゃないか?」


そう答える。


りさも、


「確かになぁ。

あたしも、しおりの歳の、

時には、もう少し、

小さかったかも。」


そう言うと、

しおりは、想像したのか、

顔を真っ赤にしていた。


「そんなに、

気にしてんのか?」


「うん。ちょっと。」


「大丈夫だよ、しおり、

そう言うのが、

好きなやつも、いっぱい

いるから。」


しおりは、ムッとした、

膨れっ面で、

あたしの、肩を、叩いた。


「どうせ、そう言うの、

ですよ。」


「わかった、わかった。」


そう言うと、りさは、

しおりの、胸を、

もみしだいた。


「やめてっ。お姉ちゃん」


収拾つかなくなって、

しおりは、りさから、

逃げ出した。


「お前ら、何してんだか。」

あたしは、呆れて、

苦笑い。


「はっきり、言ってやる、

しおりの、全部含めて、

好きに、なってくれる人、

そう言う人を、

しおりが、見つければ、

何の問題も、ないよ。」


しおりは、ポカーンとして、


「そうですね。私、

オッパイ出して、

歩いてるわけじゃないし。」

うん。うん。と頷くと、

妙に、納得してた。。


ああ、本当に可愛い。

そんな、しおりが、

あたしは、大好きだ。


ご飯を、食べ終わると、

みんなで、散歩がてら、

近くのスーパーに、

蕎麦を買いに行った。


結構、朝から、買い忘れの、

お客さんか?

人が、溢れていて、レジも、

混雑していた。


「蕎麦買うのも、大変だね」


正月間際の、普段なら、

絶対近づかない、

そんな、雰囲気を、

味わいながら、

そのまま、近所の公園まで、

歩いた。


冷えた、

ベンチに腰をかけると、

溶けかけた、霜柱を、

潰す、りさと、しおり。


「あんまり、やると、

靴が泥だらけに、なるよ!」


「はーい。」


しおりと、りさが、

返事を返す。


寒い外の空気を、

胸いっぱいに、

吸い込みながら、

あたしは、

自由な、今を噛み締めた。


思い返してみれば、


「あんな、家でも、

もう少し、歩み寄れば、

あたしも、

空気じゃなかったのかな?」


そんな事を、小さく、

呟いて。


すっと、立ち上がる。


そんな事が、言える

雰囲気じゃなかったのに、

何考えてんだろ。。


そう、思い直して、

気持ちを切り替える。


「そろそろ、帰って、

ご飯にしよ。」


そう声を掛けて、

公園を、三人で、

ふざけあいながら、

後にした。。。


























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