第17話 おせち料理
クリスマスも、終わると、
一瞬で、どこも、かしこも、
お正月一色だ。
あたしの、働いてる、
バイト先も、世話しなく、
正月の準備の品を、
並べたりしてる。
年末は、りさと、しおりと、
遊ぶ予定なので、
バイトは、少なめに、
シフトを、調整している。
家に、帰る途中。
おせち料理の、張り紙を、
見ていた。
まぁ、この時期には、
そこらじゅうに、
張ってあるんだけど、
重箱に、ぎっしり
詰まった、料理を、
見ていたら、あたしも、
作ってみたくなった。
ヨシ、りさを、誘おう。
パーっと、足早に、
家に戻る。
家に着くと、りさは、
先に、家に戻っていた。
「あけみ。お疲れ様。
何か、飲むか?」
「うん。珈琲飲みたい。」
あたしは、りさが、
立ててくれる、珈琲が、
好きなのだ。
結構、色んな豆を、
りさが、バイト先から、
買ってきてくれる。
自分が、入れるのと、
りさが、いれるのとじゃ、
少し、美味しさが、
違う気がして。
「トン。」と、りさが、
優しくあたしの前に、
珈琲カップを置く。
お待ちかねの、
りさの、珈琲。
とても、香りがいい。
数回、息を吹き掛け、
最初の一口。
「美味しい。」
「それ、最近、あたしが、
作ったブレンド。
美味しいなら、良かった。」
「うん。美味しいよ。
香りも、良いし。」
「あっ。そうだ、りさ、
おせち料理、作ろうよ。」
またか。見たいな反応。
りさは、寝そべっていた、
体を起こす。
「んー。おせち?」
「そう、おせち料理、
重箱に、入ったやつ。」
「うち、重箱ないよ。」
「知ってる。」
「なるほど。」
「わかってくれたか。」
「買い物に、行こうって、
事だよね。」
「その通り。」
「はぁ。ま、なんとなく、
わかるよ。おせち料理って、
あちこちはってあるもんな。」
「だろ。」
「で、何作るんだ?」
「うん。良く知らないから
何とも言えない。」
「なるほど。これから、
調べて作るんだね。」
「その通り。」
「なんかさぁ、でも、
色々、好きなもの、
入れればいいかなぁとも、
思うんだよね。」
「あけみ、それじゃ、
多分だけど、おせち料理に、
ならないと思うよ。」
「なんでさ。」
「だって、あたしの、
見てきた限り、海老とか、
栗きんとん、とか、
豆煮たやつとか、
かまぼこなんてのは、
どの写真にも、入ってる。
あれは、そう言う物を、
食べる料理
なんじゃないか?」
「なるほど。ちょっと、
スマホで、調べるわ。」
「そうして。」
「おせち料理とは。。。
季節の節目に食べる料理。。
なるほど。。
縁起とかも、
関係してるんだね。」
「りさ、知ってたね?」
「まぁね。昨日調べた。」
「じゃあ、話し早くて
いいや。」
「しおりも、呼ばないとね」
「声掛けておかないと、
あいつに、
むくれられちゃうからな。
りさ、しおりに、連絡
頼めるか?」
「わかったよ。」
あたしは、その後、
スマホを頼りに、
黙々と、料理と、材料を、
書き出した。
「結構あるなぁ。
ちょっと、なめてたね。
おせち料理。」
「しおり、やっぱり、
参加したいってよ。」
「良かった。これは、
買い出しも、大変そうだ。」
「どう?あけみ。作れそう?」
「煮るとか、多いから、
時間がかかるね。これ。」
「じゃあ、30日から、
作れば良いじゃん。」
「なるほど。丸々、1日、
料理すれば、作れるね。」
あたしも、りさも、
料理は、嫌いじゃないけど、
流石に、1日料理してた事
なんてない。
おせち料理を、
言い出したのは、あたし。
だけど、この流れは、
思いもよらなかった。
でも、まぁ、料理も、
三人で、作ったら、
楽しそうだなぁとも、
思ったら、なんか、
やる気が出てきた。
「あけみ、その、
書き出したやつ、
あたしに、見せてよ。」
「ああ。」
「こんなに、あるの?」
「まぁね。今年、出来るだけ
作ってみて、あたし達に、
合わない物は、来年は、
削ろう。」
「まぁ、それもありだね。」
「あっ。そうだ。
しおりも、来るんだし、
何を作るか、三人で、
決めようか?」
「それが、一番いいかもね」
しおりが、家に着くと、
あたし達は、書き出した、
メモの中から、
食べたい物と、食べて
見たいものを、
ピックアップした。
「うん。だいぶ、
まとまったね。」
「最初のだと、
材料も、お金も、
かかるしな」
「私、おせち料理、
お手伝い程度しか、
やってなかったので、
みんなで、作るの楽しみ。」
「これだけ、買うんなら、
車借りるか?」
「それも、ありだなぁ。」
なんだか、話しが、
大きくなって、
おせち料理の材料を、
集める、ドライブに、
発展する事になった。
なるべく、家から近い場所に
ある、レンタカー屋さんを、
探して借りて、まずは、
野菜関係から、
買いに行く事にした。
あたしらも、ここに、
住んで、暫く立つので、
どこのスーパーが、
野菜、肉、魚が、
良いとか、安いとか、
知ってる。
だから、今回は、
三店舗回って、
材料を、仕入れる事にした。
「野菜って、結構、
かさ張るね。重いし。」
スーパーの、かごは、
あっという間に、
野菜で、埋まった。
普段は、二人分なので、
カット野菜ばかり、
使っていた。
原型のままの、野菜なんて、
滅多に買わないし、
買ったとしても、
半分に切れた物だから、
かごに対して、余計に、
収まりが悪い。
「お、そう言えば、
餅も、食べたいね。」
「良いねぇ。焼いても
いいし、あ、雑煮も、
食べてみたいなぁ。」
「お雑煮なら、私も、
作れます。」
「お、じゃあ、しおりに、
作って貰おうかなぁ。」
「はい。頑張ります。」
その、しおりの表情が、
とても、可愛くて、
あたしも、りさも、
しおりは、本当に
「可愛いなぁ。」って、
二人で、肩を、
ぶつけ合って、萌えた。
海鮮物が、品揃えの多い、
お店に、移動して、
海老、鯛、数の子、タコ
などを、買い集めて、少し、
一息つく。
「ちょっと、休憩しよっか」
精肉店に、行く途中にある、
ファーストフードに、
ちょっと寄り道。。
季節限定の、ジュースを、
飲んで。ポテトを、
つまむ。
「いやぁ。結構買ったね。」
「そうだね、
買ったからには、
もう、後には引けないね。」
「気合い入ります。」
そう、言ったしおりは、
胸の前で、こぶしを、
握っている。
そんな、しおりを、
二人で、見つめる。。。
「どうしたんですか?」
「可愛いなぁ。しおりは。」
あたし達が、頬杖をついて、
あんまり、見つめるから、
しおりは、耳まで、
真っ赤っか。
「お姉ちゃん達、
からかわないで、
怒りますよ。」
あたし達は、そんな、
しおりに、また、萌えた。
「ごめん、ごめん。」
「よし、最後のお肉、
買いに行くか。」
精肉店に、到着。
ここでは、鶏肉を、
少し多めに、仕入れて、
さぁ、帰ろうかって、
時に、あたしは。。
「はっ!」と、気づいた。
「重箱って、買ってないね」
「そうじゃん。重箱。」
すっかり、重箱を、
買い忘れていた事に、
気付いた。。
「それなら、うちに、
使ってないの、あったと、
思います。
お母さんに、聞いてみます」
そこから、しおりの家に、
重箱借りに行って、
それ意外にも、
食器とか、調理器具とか、
お母さんに、貰った。
「重箱は、貰って行って。
しまう場所に、
困ってたのよ。」
そう言って、お母さんの、
好意で、重箱も、食器も、
調理器具も、結局頂いた。
「なんか、悪いね。」
「大丈夫です。お母さん、
嬉しそうだったから。」
帰りの車で、そんな、
話しを、しながら、
帰宅した。
「はぁ。重い。」
「これ、
ここでいいですか?」
「あ、適当に置いちゃって」
三人で、せっせと、運ぶ。
「駅からじゃ、
無理だったね。」
「そうだね。野菜が、
重すぎる。」
段ボール箱に、入れてきた、
野菜。持ち歩くには、
まぁまぁの、重さだ。。
「これで、全部。」
最後に、りさが、
海鮮と、肉の入った、
発泡スチロールの、
箱を、玄関の、入り口に、
置くと、
「あたし、車、
返してくるよ。」
「わりぃ。じゃあ、
頼むね。」
その間、あたしと、
しおりで、冷蔵庫に、
テトリスの様に、食材を、
積み上げた。
「よし、これでおしまい。」
「パタン」と、冷蔵庫を、
閉めた。
そして、寒い中、車を、
返しに行ってくれた、
りさに、珈琲を立てて、
帰りを待つ。
珈琲を立てていると、
じーっと、視線を感じる。
振り向くと、しおりが、
あたしを、見つめていた。
「どうした?」
「いやぁ、お姉ちゃんかぁ。
と思って、ボーッと、
見ちゃってました。」
「なんだよそれ。」
「私、兄弟とか、
憧れていたので、
あけみさんと、りささん、
がいてくれて、嬉しくて。」
「ふふっ。そうなんだぁ。」
「そうですよ。」
そこに、りさが、帰ってきて、
「何、何?楽しそうだね。
どうしたの?」
「しおりが、あたしと、
りさが、お姉ちゃんだと、
嬉しいって、言ってただけ。」
「しおり~。」
帰ってきて、一番に、
しおりを、押し倒し、
抱きつく。
「お姉ちゃん、くるし~。」
「もう、一生離さないっ。」
「何やってんだか。。
ほらほら、ふざけてないで、
珈琲、入れといたぞ。」
ムクッと、起き上がると、
「また、お姉ちゃんに、
怒られちゃったね。」
だってさ。
「はい、はい。」
また、この展開かと、
呆れ顔のあたし。
「今日は、しおり、
泊まって行くのか?」
「今日は、帰ります、
明日から、元旦まで、
泊まりたいから、
準備して、また、来ますね」
「お父さんと、お母さん、
寂しくないのか?」
「大丈夫です。
寂しかったら、来ますから、
ここに。」
「ふっ」と、笑うと、
「それも、そうだね。」
そう言って、明日からの、
動きを、
三人で、話しあった。
しおりを、夕方、
歩いて、駅まで送り。
家までの、帰り道。
「なんかさぁ。」
「ん。」
「こんな日が、来るなんて、
信じられないよ。」
「まぁな。」
「あのまま、あけみと、
知り合わなかったら、
あたし、何してんだろ?」
「それはさぁ、あたしも、
同じだよ。」
冬の、暗い道。
街灯を、見つめながら、
ぼんやりと、話す。
「でもさ、もしも?とか、
あの時とか、そう言うの。
そろそろ、卒業した方が、
いいと、思ってる。
だってさ。
どうにも、
ならない事じゃん」
「あたし達は、
逢うべくして逢った。
それが、全てじゃん。」
「うん。そうだね。」
「妹まで、出来てさ、
そんな事、予測不可能だよ」
「そうだね。あけみの、
言うとおりだよ。」
「まぁ、あたしも、
そうだけど、
過去の、悪い事は、
思い出すのは、
どうしようもない事。
無理に、しまい込むのは、
もっと無理。
だけどさ。。。
今のこの生活でさ、
こんなに、楽しいとか、
幸せだって、
感じてさぁ、
あたしは、これでいいって、
思ってるよ。」
「これで、いいかぁ。。。
うん。そうだね。あけみの、
言うとおりだね。」
「そうだよ。お姉ちゃんが、
言うんだから、
間違いなし!」
「ほんと、そうだと、
思うよ、お姉ちゃん。。」
「そうそう、りさ、
来年、しおりの誕生日、
すぐじゃん。」
「1月生まれだもんな。」
「サプライズ、考えようぜ」
「いいねぇ。」
楽しい事を、一つ考える。
幸せの時間が、一つ増える。
それの、繰り返しが、
出来たら、あたしも、
りさも、余計な事を、
考える時間が、
少しづつ、減っていく。
そのうち、
辛い記憶も、
ただの、記憶になって、
この、苦しさを、
無くしてくれたら、
いいのにと、そう思った。。
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