第16話 手に届くもの

朝、目が覚めて、金縛り。


そんな、感覚だった。


冬なのに、とても、

暖かい。。。

右には、りさ、

左には、しおり、

二人して、あたしに、

抱きついて、寝てる。。。


どうしたもんかね。


この状況に、

「はぁ。」と、ため息。


二人の足が、あたしの、

下半身の上で交差して、

両肩に、ふたりのおでこが、

くっついて、胸の上には、

二人の手が乗っている。


マジで、動けない。。


また、「はぁ。」と、ため息。


でも、もう少しだけは、

我慢する。。。


2人は、とても、気持ち

良さそうに、寝ている。


この、真ん中で、

寝るの。。。

結構キツイな。


あたしは、蛇の様に、

身体をくねり、

二人の腕をくぐり抜け、

体を抜く様に、脱出する。


頭の上には、プレゼント。


なるほど。こんな、

感じなんだねぇ。

暫く、じーっと、眺めて。

これは、二人が、

起きてから、開けようか?

先に、開けようか?

と、考える。


おのおのが、選んだ、

プレゼント。

何が入ってるかは、

開けるまでわからない。


手を伸ばせば届くそれを、

触れずに、

あたしは、何が入ってるか、

予想する。


多分、大きな袋は、服とかだな。


小さな袋は、何だろう?

アクセサリーとか?


あたしは、暫く考えて、

意外に、そう言う事が、

それは、それで、

楽しい事に気がついた。。


「ふふっ」まぁ、

開ければすぐに、

わかる事なんだけど、

それを、しないで、

予想する楽しみを、

あたしは、今、感じてる。


そうしてる間に、


「おはようございます。」


寝ぼけ顔で、しおりが、

あたしに、声をかけた。


「おはよ。」


「どうしたんですか?あけみさん。。」


「ん。何入ってるのか、

考えてたんだよ。」


「開けても、いいんですよ」


「まぁ、そうなんだけど、

開けないで、予想すんのも、

楽しくてな。」


ムクッと、身体を起こして、

しおりも、あたしの、

真似をする。


「うーん。この、

大きなのは、服か、

カバン?いや、ポーチ?」


「な、わかんないだろ。」


「そうですね。。。

小さな袋は、何かしら、

アクセサリーかなぁ。。」


暫く眺めていて、チラリと、

しおりは、りさに、目線を

移す。


「それにしても、

りささんの、寝顔可愛い

ですね。」


「ん、コイツか。

そうなんだよ。可愛いよな。

元が、いい顔してるから、

寝てても、怒ってても、

可愛いんだよ。」


「あははっ、わかります。」


「でも、しおりの、寝顔も、

可愛いぞ。」


そう言ってやると、

しおりは、そのまま、

顔を、真っ赤にして


「あけみさんの、意地悪。」

と、小さな声で、

呟いた。


あたしは、少し移動して、

りさの、髪を撫でると、

モゾモゾと、りさが、

布団に潜る。。。

そんな、りさに、苦笑い。


「りささん、寝起き悪い

見たいですね。」


「しおり、りさを、

起こしてやってくれ。

あたしは、朝飯、用意

するわ。」


「うん。わかりました。」


あたしが、台所に立つと、

しおりが、りさを、

優しくゆする。


「お姉ちゃん、起きて。」


その一言で、ぱっと、

起きるりさ。。。


「おはよ。しおり。」


「ん。」

後ろから、聞こえた、

りさの、声。


「なんだよ、りさ。

あたしが、起こしても、

そんなに、すぐに、

起きないくせに。」


「いやぁ、お姉ちゃんって、

反則だろ。可愛いくて、

起きちゃったよ。」


「じゃあ、あしたから、

お姉ちゃんって、起こすよ」


「あけみのじゃ、無理。」


「なんだそれ。」


「アハハ、面白いの。」


しおりが、手を叩いて、

笑う。


朝食を取り、三人揃った

所で、プレゼントを、

開封する。。


あたしの、大きな袋は、

プチプチで、包んであった、

ショルダーバッグ。


小さな袋には、手袋が、

入っていた。


りさも、袋を開ける。

大きな袋は、あたしが、

買った、セーター。


小さな袋は、手袋だった。


しおりの袋は、

大きなのが、あたしで、

小さめのリュック。


小さな袋は、洒落た

髪止めが、入っていた。


「こう言うのって、

楽しいと言うか、

嬉しいと言うか。

二人ともありがと。

大切に使うね。」


「私も、こう言う、

リュックとか、

髪止め欲しかったんです。」


あたしと、りさは、

ちょっと、照れて、

笑って見てた。。


りさは、いきなり、

寝巻きを脱ぐと、

セーターを被り

手袋をはめる。


「どう?似合う?」


「んー。やっぱり、

似合う。可愛いよ。

りさに、着て欲しくて、

買ったんだ。」


「手袋、大人っぽいです。」


りさが、立ち上がって、

ポーズを取る。


「下が、スウェットでも、

可愛いな。」


視線を、替えると、

隣で、寝巻き姿で、

リュックを背負い、

洒落た髪止めをしてる、

しおり、がいた。


りさが、すかさず、

しおりに、抱きつく。


「うぁーっ。可愛いい。

寝巻きリュック。」


そんなんだから、

あたしも、寝巻きに、

ショルダーバッグを掛け、

手袋をはめる。


「あけみさん、スタイル、

いいから、その格好でも、

街中歩けますよ。」


「あははっ。そんなわけ、

あるかよ。」


りさも、しおりも、

「プッ」と吹き出して、

あたしら、朝から、

テンション高かった。


今日は、土曜日で、

みんな、午前中だけ、

バイト入れてる。


午後に、また、集まって、

残りのケーキ食べようって、

約束した。


本当に、楽しかった、

クリスマス。

なんだか、

普通ってのじゃくて、

それ以上の、楽しいとか、

幸せな気持ちが、

手に届くものだって、

実感出来た。。。


あたしは、サッと、

スリムなジーンズと、

薄手の、

ダウンを羽織って。


そ、れ、と、

今日からは、

ショルダーバッグと、

手袋も、はめる。


午前中の、バイトに、

玄関を出るあたしは、

足も、軽やかに、

外に、飛んでった。。。





















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