第8話 気持ち

東京から、離れて、一年経った。

この生活も、馴染んで、

あたし達は、あたし達なりの、

普通を、手に入れた。

この、高校生活の間に、

卒業してからを、

考えていかないと、

いけない。

このまま、フリーターで、

いいとは、あたしは、

思ってない。


そんな時、しおりから、

聞いたんだけど、

しおりは、親から、

大学への、進学を、

進められてるらしい。


あたしは、そうなんだと、

気付いたんだよね。。

親って言うのは、

子供の、進路も、

考えたりするらしいって。

まぁ、あたしからすれば、

余計な世話って事だけど、

実際は、そんな事を、

親に言われた事ないから、

言われたら、言われたで、

めんどくせぇよ。って、

思うんじゃないかと、思う。


それでも、親って奴は、

子供の事を、

心配したりして、

口を出すもんなんだろう。


色々、りさとも、これから

ってのを、話し合って、

いるけど、いまいち、

答えを、出せずにいる。


「コンコン」、と、ドアを

ノックする音。


たぶん、しおりだ。

あたしが、立ち上がろうと

すると、りさが、


「あたしが、見てくるよ」


って、先に玄関に、

「ぱたぱた」と、向かう。

りさが、用心して、

玄関のドアスコープを

覗くと、やっぱり、

しおりだった。


「しおり、上がりな。」


鍵と、チェーンを、外して、

ドアを開けると、

しおりは、学生服のまま、


「おじゃましまーす。」


って入って来た。

しおりは、あたしらを、

チラッと見ると。

何か言いたげだった。

そんな、しおりを、座った

状態で、見上げて


「どうした、その格好は。

こんな時間に、家出じゃ

ないよな。」


まぁ、こんなに

ニコニコして、

家出する奴なんか、

いるわけないかとは、

思ったたが、つい口ばしった。


何時もなら、夜、家に、

来るときは、普段着で、

お泊まりしに、来るから、

制服姿の、しおりは、

珍しい。

しおりは、あたしに、

目線を向けて、


「あけみさん。実は、

私も、バイト始めたんです」


「なんで?」


家も有る。小遣いも有る。

だからの、何で。あたしの中じゃ、

生きていくのに必要だから

バイトを、してるって、

感覚があったから、不思議だった。


「あけみさんと、りささん、

二人を見てて、私も、

やってみたいと言うか。。

それに、この先、進学

するか、就職するか、

働いたこともないのに、

答えなんか、出ないかなぁって、

思ったんです。」


しおりの、目が、

あまりにも、真っ直ぐだったから。。


「なるほど。。

そう言う考えも、あるんだね。」


あたしが、そう、呟くと、

りさは、あたしと、しおり

を、チラッと見て、


「それは、それで、良いと

あたしは、思うな。」


ニコッと笑い、そう言った。


「まぁ、立ってないで、座りなよ。」


「はーい。」


初めてのバイトをして、

しおりは、テンション、

高めだった。


りさが、あたしらに、

珈琲を入れてくれて、

三人の、最近を、共有をした。


あたしが、色々と、

二人に、これからの事の

話しをすると、


「あけみさんって、色々、

考えてて、話しを聞いてて

何時も、

わたしも、考えさせられて、

思うんですけど、

お姉ちゃん見たい。。」


「そうかぁ。あたしは、

普通に、話してる、だけだけどね。

それに、一人で、

何でも決めたりするより、

こうやって、お前らと、

会話すんのも、

大事だと、思ってるから。」


そんな、あたしを、二人とも

ぽかんと、見ていた。


そして、あたしの方を、

真っ直ぐ見て、

しおりが、モジモジすると、


「あけみさんの事、

お姉ちゃんって、呼んでも、

良いですか?」


だってさ。

何だか、最近、誰かも、

言ってたよな。。

それを聞いてた、

りさが、


「しおり、それは、駄目。

あたしが、先に、

あけみに、許可貰ってるんだから。」


と、真顔で言ってる。


「あのよぅ。お前ら

二人、何で妹設定なんだよ。

あたしが、妹でも、良くね?」


りさも、しおりも、

きょとんとして、

二人で顔を、見合わせる。


「それは、無い。」と、即答のしおり。


「あけみが、妹ってのは、

考えられない。」

と、答えた、りさ。


「何でだよ?」


「何でって、あけみが、

妹って言うのは、

無理つーか。おかしいから

だよ。結局、なんだ。その。。

今の事が、結局、あけみがいて、

成り立ってるから。

あたしの、前をいつも、

歩いてくれてるって、

感じで、安心すんだよ。

だからの、お姉ちゃん。

お姉ちゃんみたいだなって

思うんだ。」


「ふーん。まぁ、

良くわかんねぇけど。あたしは、別に、

前をあるいてやろうって

つもりは、ないんだけど。。

いままでが、

普通とは縁が、遠いつーか、

普通じゃなかったって、

この一年思った訳で、

何にせよ、只、普通なら?

とか、普通は?ってのに、

色々と、思う所が、あるだけ。

あたしは、

お前らが、一緒に、

いてくれるだけで、心強いんだよ。

まぁ、

だから、その、

お姉ちゃんだと思うなら、

お前らの、

勝手にすればいいんじゃないの?」


りさが、胸を張って、


「まぁ、最初から、

あたしは、心のなかで、

勝手に姉貴だと、思ってたけどな。」


「なにそれ、ずるい。」


りさと、しおりで、

あたしの、腕に、

くっついて、そんな事を、

言い合って笑う。


まぁ、悪い気持ちは、

しなかったけどね。


あたしは、しおりが、

わざわさ、制服姿で、

バイトの報告だけを、

しに来たとは、思えず、


「で、しおりは、本当は、

何の様で、来たんだ?」


と、訪ねてみた。


しおりは、カバンから、

チラシ見たいな物を出して、


「学園祭、来れたら、

二人に来て欲しいと、思って。。

駄目かな。」


丁度、りさと、教習所に、

行こうと、話してた日と、

かぶって、たけど。。


りさが、こっちを見て、

行ってやれと、目線を、

送ってくる。


「うーん。その日かぁ。。

ま、いいや、予定ずらして、

しおりの、文化祭行くよ。」


「やったぁ。でも、なんか、

用事あったの、ごめん。」


「いや、車の教習所、

行く日と、被ってただけ。」


「あ、この前言ってたね。」


「しおりの、誘いを、

お姉ちゃんが、断るわけ、

ないじゃん。」


「りさ、お前、調子いいな。」


「そんな事ないよ。どうせ、

断らなかっただろ。」


「まぁ、そうだね。」


「私にとっては、二人とも

お姉ちゃんだから、

来て欲しかったんだよね。」


しおりが、そう言うと、

りさは、珈琲の、スプーン

を、ぐるぐる回して、

照れてた。


「ま、後の話しは、布団に、

入ってに、しようぜ。

しおりは、風呂入って来いよ。

布団敷いとくから。」


「はーい。お姉ちゃん。」


「バイトの報告に、

学園祭の、誘いかぁ。。

可愛いじゃん。」


りさが、少し遠い目をして、


「本当に、しおりを、

助けてやれて良かったね。」


「ああ。」

あたしらと、違って、

免疫のない、普通の家庭で

育った、しおりが、

家出して、頭のいかれた

男に、乱暴されてたら、

今の、しおりは、

いなかったと、

あたしも、思う。。


布団を敷いている、りさが、自分の、

布団と、あたしの布団を、べったりと、

くっつけて敷いている。。。


「おい、何で、そんなに、

あたしの、布団と、

くっつけて、敷いてんだよ。」


「だって、一緒の布団で、

寝ると、身体痛くなるじゃん

だから、最初から、

二枚くっつけて寝れば、

大丈夫だと思って。」


「なんだよ。また、あたしに、

くっついて、寝るきなのか?」


「駄目なの?」


なんて返していいか。

言葉に詰まったけど、

しょんぼりした、顔すっから、


「わかったよ。」


って、言っちまった。


風呂から、出てきた、

しおりが、うちらの、

布団の敷きかたを見て、


「なんか、ずるい。」


そう呟いて、しおりに、

敷いてやった布団を、

あたしの、反対側に、

敷き直した。


あたしは、もう、

それを見て、

何も、言わなかったけど、

結局、あたしを、挟んで、

川の字に、なって、寝る事になった。


「なんか、いい匂い。」


しおりが、あたしに、

くっついて、すんと、

鼻先をくっつける。


「昨日、あたしは、

抱き締めてもらったけどな。」


「え。ずるーい。私も、

お願いします。」


「なんだよ。お前ら。。」


「だって。。。」


「あーわかったよ。ほら。」


「わー。おっぱい大きくて

あったかい。」


「あほか。」


「そんなに、おっぱい、

好きなら、りさにも、

ハグしてもらえば。

あいつ、以外に、でかいんだぜ。」


「え。」


しおりは、りさの布団に、

潜り込むと、りさの、

胸に、顔を擦り付けた。


「ばっか、止めろ、

くすぐったいからぁ。」


「ほんとだぁ。おっきい。」


「ばか、

揉むんじゃねぇよ。」


「や、あたしのは、小さいからぁ。」


「おめぇら、何時だと、

思ってんだ。近所迷惑だろが。」


「ほら、りさお姉ちゃんが、

へんな事するから、

あけみおねぇちゃんに、

おこられちゃったよ。」


「お前が、先に。。。」


と言って、りさは、口を結んだ。


これも、さっきの、

おねぇちゃんと、

言われた効果なのかも、知れない。。


あたしは、くすくすと、

笑っちまった。


あー、こんな楽しい事が、

あるなんてなぁ。

なんて思って、

今が、今までで、一番楽しくて、

幸せなんだなって、思った。


「怒られちゃったから、

おねぇちゃんの、隣にもどろ。」


そう言うと、また、

あたしの側に、

ぴとっと、くっつくと、

すんすんと、あたしの、

匂いを嗅いでる。


「あのさ、そんなに、

嗅ぐなよ。何か、恥ずかしいだろ。」


「だって。いい匂いが、

するんだもん。」


「わーった。でも、止めろ。」


そう言ってる側から、

りさも、すんと、

あたしの、身体の、匂いを嗅いで、


「でもなぁ、いい匂い。

落ち着くんだよなぁ。。マジで。」


「はぁ。」


と、ため息をついて、


「もう、寝るよ。明日も、

はやいんだからね。」


二人を、たしなめると。


あたしは、仰向けになって、

うーん。と手足を伸ばした。


結局、二人は、あたしに、

ベッタリくっついて寝る

ので、あたしは、身動き

を、封じられ、棒の様に、

なって、寝る羽目に、

なってしまった。


でも、そんな、二人を、

眠いながらに、見ていると、

窮屈だけど、こう言うのも、

悪くないね。そう思った。。














































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