第7話 あけみ
あけみは、あたしが、困ってると
面倒臭そうに、心配して、
寄ってくる、変な奴だった。
たまに、目が合うと、
何かを言いたげにして。
私は、私。
他人は、他人。
あたし自身、自分の事で、
精一杯だし、あいつは、
どうして、私に構いたいのか
全く、理解出来なかった。。
あいつの事は、
何ヵ月か、前から知ってたけど、
どうせ、すぐに、
居なくなる。
きっと、私とは、
違うんだと思っていた。
雨の、しとしと降る、
そんな日。。
あたしは、腹痛が凄くて、
雨を避けるために、
駅の近くのベンチで、
うずくまっていた。
まぁ、周りはみんな、
知らん顔。知ってるよ。
そんなの。
病院とか、保険証ないから、
なかなか、行けないし。
ちょっと、悲観的に、
なんかの病気とかで、
このまま、死んじゃったり
するのかな。
何て、思っていた時、
声を掛けてきた。
あいつだけが。。
まぁ、あたしもさ、
ひねくれるから、
構うなって言ったんだけど。
あいつ、しつこくて。。
世話焼きで。
うるさくて。
会うたびに、
声を掛けてきて。
でも、繋がりを、持つのが、
怖いから、素っ気無い態度。
それでも、あいつは、
声をかけてくれた。
あたしが、酷い目にあって、
絶望仕掛けた時も。
あたしを、探して、
見つけてくれた。
病院も、連れて行って
くれて。
大事にならない様に、
検査も受けさせてくれた。
あけみは、頭が良い。
あたしみたいに、
ただ、徘徊してるわけじゃ
なくて、そう言う生きる
ってことの、最低限の、
繋がりは、作っていた。
その事があって、
流石に、あたしも、
あいつの事が、
気になったんだ。
本当に、友達と言うか、
お姉ちゃんみたいな、
あけみ。
わたしは、馬鹿だから、
そんなに、色々考えてない。
少しすると、あけみが、
家を借りれそうだから、
借りたら、
一緒に来ないかって、
誘ってくれた。
その時、あけみと、18歳までに、
家を借りたいねって話しは、
していたけど、本当に、急に決まって、
でも、あけみの知り合いから、
借りれるって聞いて、
あたしも、深くは聞かなかった。
居場所がないから、
やってた事も、しなくて
良くなるし。正直、あたしは、
あの事があってから、寝る時の、
震えが止まらなくなる時がある。
バイトしてても、あけみには、
言ってないけど、怖い時があるし、
泊まる場所を、毎日探すのも、
大変だったから、
即答で、着いて行くって、返事をした。
それに、
一緒に暮らし出すと、
高校に、行こうって、
誘ってくれたのも、あけみ。
考えてもなかった。
と言うか、諦めてた高校。
勉強は、嫌いじゃなかった。
でも、進学なんて、
普通だと、思ってたのに、
高校の話しをしたら、
暴力を振るわれた。
すぐに、暴力。
そんな、家だった。
母親は、いなかった。
父親の暴力に耐えられず、
あたしを、残して、
消えた。
それから、あたしは、
父親の、好きにされて、
暴力を受けて。
挙げ句の果てに、
言うこと聞けないなら、出てけってさ。
あたしは、父親が、仕事に、
出てる間に、家を出て、それきり。
まぁ、最低限のお金は、
手切れ金程度に、
父親の所から、貰ったけど。
そんな、環境だったから、
宿借りも、駅で徘徊
するのも、普通に出来た。
逆に言えば、
普通に出来ちゃうから、
危機感が、薄かった。。
だって、最初から
あたしには、当たり前、過ぎて。
そんな、ふざけてる生活
から、あけみが、救ってくれた。
あたしが、知らなかった、
普通に、戻してくれた。
だから、一緒に暮らして、
初めての、あけみの
誕生日は、あたしが、
祝いたかった。
感謝したかった。
あけみが、いなかったら、
駄目になってた、あたし。
でも、誕生日って、
どうしたらいいのか、
わからなくて、しおりに、
聞いて、手伝って貰った。
あけみが、最初、
動きを止めたとき、
あたしには、わかったよ。
あけみも、誕生日って、
知らない人なんだって。
それでも、
「ありがとう。」
って言ってくれて。。
そんな事を言われたら、
流石に、泣いちゃった。
あけみといると、心が、暖かくなる。
勘違いじゃなくて、本当の、本気で、
あたしは、あけみが、大好きだ。
夜中に、目が覚めて、
偶然起きてたあけみに、
声をかけて、色々話して
たら、あけみと、くっ付き
たくなって。一緒の布団に入った。
あけみは、同じシャンプーとか、
使ってるとは、
思えない程、いい匂い。
そして、暖かい。。
そして、あたしの、気持ち、
あけみに、伝えて。
あたしの、勝手に、
あけみは、付き合ってくれる。
あたしの、お姉ちゃん。
勝手に思うのは、自由。
そう思ったら、
気持ちが、凄く軽くなって。
あけみの、柔らかい胸に、
くっついてたら、
寝てしまった。。。
好きな人と、
くっついたり、眠るのって、
幸せなんだなと、感じながら。。
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