第6話 こんなもんか

久しぶりに、夢をみた。

学校から、帰ったら、

誰も帰ってこない家。。。

それは、前からだったけど。

2ヶ月帰って来てないのは、

初めてだった。


暫くすると、

電気や、ガスも止まり。

自分が、捨てられたことに、

現実的に、気づいた。

家賃も、払われてなく、

そこを、追い出された。

バイトは、していたが、

ひとつきを、過ごせるほど、

収入は、無くて、

学校も、行けなくなって。

住んでいた場所を離れた。

何処か、違う場所に

行きたくて。


母親からの、理不尽な暴力。

暴言。それから解放されたけど。

なんかさ。。。

もう、どうでも、良くなっていた。。


そこからは、生きてく為に、

胸を締め付けられる様な、

そんな事を、続けた。


でも、それも、

暫くすると、


「こんなもんか。」


そう言って、諦めた。

上っ面じゃあ、強がってた。

そうしないと、

いつもギリギリだったのに、

それさえも、維持できなく

なるから。丁度、そんな時、

りさと、出会った。


始めてあった時、

絶対に、自分より、

少し年下に見えた。

あたしと、同じ、

何かを諦めた様な目をして。

まぁ、こんな生活してるから

最初から、声を掛けたり、

しなかったけど、

何となくさ、

気になったんだ。。


雨の降ってる日に、

いつも、通る駅のベンチに、

調子悪そうに、

りさが、座っていたのを、

見かけた時、初めて、

声を掛けた。


「あたしに、構わないで。」


そう言われたのが、

あたし達の最初の会話。


「お前が、元気なら、

かまわねぇーよ。」


そう返した。

りさは、猫背になって、

腹を押さえて、汗びっしょり

まぁ、そん時、あたしは、

まぁまあ、金もあったから、

りさを、何とか説得して、

適当に、市販薬買って、

駅前の、ホテルに、

りさと、泊まった。

あたしも、りさも、

最初、会話もなくて。

そりゃ、そうだよな、

何を話すって言うんだよ。

楽しい事なんて、何も、

ないのに。


たぶん。。。

りさに、手を差し伸べたのは

擦りきれそうな、

あたしの、最後の気持ち。

流石に、ひねくれるって

言うか、おかしくもなるよ。


まぁ、りさ、あいつも、

あたしと、同じか。

りさは、たまたま、

買った薬が、良かったのか、

すぐに、調子が戻り、

次の日には、普通に、

歩ける様になった。

ホテルを、出る時、


「飯でも、行くか?」


そう、声を掛けた。

最初、断られるかなぁ。

なんて、駄目元で、聞いたんだけど。


「お腹すいたね。」


腹を、擦りながら、りさが、

照れながら、笑顔で言ったんだ。


そっから、あたしと、

りさは、わりと良く、

会えば、何かしら、だべったりして、

仲良くなっていった。


そんな昔の事が、

走馬灯の様に、頭を巡って

フッと起き上がる。


まだ、部屋には昨日の、

食いもんの、匂いと、

ケーキの甘い匂い。

横には、子供みたいな

顔して寝てる、りさがいる。


「色々、あったなぁ。」


ぼそっと、呟く。

喉が、乾いていて、

静かに起き上がると、

流しで、コップに、水をくんで、

少しづつ、静かに飲み干す。


「どうしたの?」


あたしに、気付いたりさが、

寝ぼけた顔で、聞いてきて、

あたしも、


「いや、変な夢を見てさ、

起きちまっただけ。」


目を擦りながら、


「そっか。変な夢。あたしも、

たまに、見るよ。」


そっから、珍しく、りさも、

起きて、あの時の話しを、

二人で、ぼーっとして、話した。


そのまま、お互い、

布団の中で、話しを、

続けてたら、

珍しく、あたしの、布団に、

りさが、入って来て、

あたしに、抱きついて、


「色々、ありがとう。」


そう言って、照れていた。


「別に、あたしが、好きで、

やった事なんだから、

やめろよ、気持ち悪い。」


そう言ってやると、

りさは、あたしの、胸に、

顔を押し付けて、


「やっぱ、あたし、

あけみの事、大好きだ。」


。。。少し沈黙して。


「馬鹿、あたしに、そっちの、

趣味は、無いよ。たぶん。」


「あたしだって、無いよ。」

りさが、クスクス笑う。


「あー。あけみが、

男だったら、絶対、

付き合ってって、

言うのになぁ。あたしの、

恋愛事の、ハードル、

上げてるの、絶対、あけみだよぉ。」


あたしも、「ふっ。」と笑い。


「あたしは、あんたみたいな、

世話のかかる、ヤローは、

願い下げだけど。」


。。。また、沈黙して。


「じゃあ、あたしの、

おねーちゃんに、なってよ。

妹だと思えば、ありじゃない?」


「同い年の、妹って、

どう言う設定なんだよ。」


「こう言う設定だよ。」


「はぁ。」


あたしは、ため息をつくと、


「まぁ、あんたが、

どう思おうと、好きにすりゃ

いいんじゃね。」


そう言ってやると、りさは、

嬉しそうに、


「うん。勝手に、そう思ってる。。。」


そう言うと、りさは、

暫く、あたしに、くっついて

そのまま、寝てしまった。


「あったかいね。」


ぽそっと、呟く。


狭い布団に、二人で、眠る。


お互いの、寂しさとか、

色々な事もあると思う。

でも、ここまで、頑張れたのは。。

あたしも、りさが、

いたからだと、思ってる。

こいつが、いなければ、

家を借りたり、学校行くとか、

あの時、考えてたかが、

わからない。

本当は、りさは、

凄く、甘ったれな、

性格なんだってのも、あたしは、

知ってる。


だからこそ、こいつには、

前の環境は、地獄だったと思う。 


だから、あたしは、思う。

あたしには、甘えても、

いいかな。と。

めんどくさいやつだけど、

あたしは、あたしで、

こいつに、救われてる。

どっちも、どっち。

そんな、感じだ。

良くわからないけど、

姉妹とかって、


まぁ、こんなもんなのかね。


そう思って、りさの、

寝息を聞いていると、

眠気がしてきて、

結局、狭い布団で、そのまま眠った。。


次の日、お互い、体が

痛くてさ、アホだとか、

馬鹿だとか、言ったりして、

それでも、

あたし達は、前より、

他人じゃなくなった気がして。。。

今まで、以上に、仲良くなった。


























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る