第5話 初めて

「りさ、起きな!」


全く、こいつは、あたしの事、

ねーちゃんか、何かと、

勘違いしてるのかって程、段々、

妹みたいになって来た。。


まぁ、確かに、りさは、

子供っぽい顔してる。

しかも、生意気で、すぐ泣く。

朝も、起きないし。。。

「はぁ。」今日も、寝起きの

悪い、こいつを、

起こすのに、ため息が出る。

目覚まし時計買ったら、

こいつ起きんのか?

そんな事を、考えたが、

やめにした。


「馬鹿らしい。」


こいつの、寝顔を見ていたら、

あたしが、怒ってるのも、

馬鹿らしくなってきた。。。

寝顔は、子供にしか見えないからだ。

仕方ねぇから、朝飯の、

パンを焼いて、インスタントの、

珈琲を、入れる。。


「いたぁ!」


りさの、尻に、蹴りを入れ、

布団を剥ぐ。


「いたぁ、じぁねぇよ。

お前、たまには、早く起きろ。

たくっ。」


上半身を、起こして、何か、

言いたげに、こっちを見てるが、

テーブルの上の、パンと、

珈琲を見て、


「あけみ、

それ、あたしの分も、あるの?」


全く、こいつは。。


「あるから、起きな!」


ようやく、起きやがった。

こいつの分の、簡単な、

朝飯のしたくも、最近、あたしが、

やってやってる。

あたしだって、朝飯、

出して貰ったことねぇのに。


「いただきまーす。」


こいつ。。。

あたしより、先に食うのかよ。

唖然として、心のなかで、ぼやいた。


まぁ、こいつと、暮らした、

この半年、毎日これだから、

本当は、そんなに怒ってない

けど、必ず二度寝すっから、

ちょっと、腹立つ。。。

まぁ、はたからみれば、

絶対、あたしが、ねぇちゃん

なんだろうな。。

背も、あたしの方が、少し

でかいし。


まぁ、何だかんだ、言っても、

あたしは、りさと、暮らすのは

嫌いじゃないんだけど。


それに、あたしも、りさも、

前より、顔つきが、優しくなったって、しおりが、言ってたしな。


あいつ、初めてあった時、

あたしの目つきが、怖かった、

なんて、カミングアウトしやがって。

失礼するよ。

今月から、日曜日も、午前中

バイト入れて、車の免許、取りに行く。


勿論、りさと、一緒だ。

この前、二人で、高校卒業したらの、

話しをしたけど、

思い付く職業は、資格がいて、

また、金がかかる。

そんなんだから、中々、

答えが、出ない。。。


パンを、かじりながら、

色々、考えてたら、バイトの、

時間になった。


「鍵かけてけよ。」


あたしは、そう言って、

珈琲をのみ干して、

りさより、先に家を出た。




PM4時。。。

「あけみ、待った?」

いつも、学校近くの公園で、

りさと、待ち合わせしてから、

学校に通ってる。


「あたしも、今着いたとこ。

行こうか。」


今思えば、行きたくても、

行けなかった、りさと、

高校通ってたけど、

行けなくなったあたし。

ある意味、あたし達、

同じ境遇なのかも知れない。


あいつと、勉強してて、

わかった事だけど、

結構、真面目に、

勉強してたんだろうなって。

、義務教育レベルなら、

ほぼ完璧だったし、進学に

向けて、ちゃんと、やってた。。。


あたしには、言わないけど、

あんな、親じゃなきゃ、

ちゃんと、高校行って、

普通に、彼氏とか作って、

上手く

やってたんじゃねぇの?

何て、思うんだけどね。

ま、それは、あたしも、一緒か。


そう思うと、「ふっ。」と

何がおかしいのかわからない

けど、面白くないのに、

笑っちゃうんだよな。


「どうしたの?」


りさが、きょとんとして、

あたしを見てる。


「なんでもない。」


今更、ほんと、何でもない。


「そう言や、りさ、あたし、

今日、何だか、しおりの、

お母さんに、

呼ばれてんだけど、お前も来るか?」


「いや、あたしは、先に帰ってるよ。」


「わかった。あたしも、

なるべく、早く帰るから、

ちゃんと、鍵かけておけよ。」


「わかってるよ。ったく。」


まぁ、学校の授業つっても、

あたしらは、家でも、

それなりに、やってるから、

全然楽勝なんだけどね。


授業も終わって、しおりの家

行ったら、お母さんが、

使ってない食器を、

くれてさ、重いし、

女の子の、出歩く時間じゃ、

無いからって、

車で、送ってくれた。

しおりが、いなかったから、

変だなぁって、思ったんだよ。

何となくさ。雰囲気がさ。


玄関、開けたらさ、


「誕生日、おめでとう。」


なんて、言いやがってさ。

あたし、良く考えたら、

誕生日に、おめでとう。

とか、言われた事ないから、

馬鹿みたいに、感動して、

言葉が、

出なくなっちまって。

こういう時、何て、言ったら。

返事を返したら良いのか、

しらないって言うか、

わかんなくなって。。

言葉のかわりに、

涙がでたよ。

正直、何なんだろ、こう言うのって。。

あたしが、


「ありがとう。」


って、単語が、

出せるまでに、

結構時間、

掛かったと思うよ。

家には、しおりもいて、

りさは、あたしの反応見て、

ウケて、笑ってるし。

全く、頭にくる。


テーブルには、ケーキ。

貰って来た皿には、

色んな食べ物が、

乗せられて。。。

嬉しいんだと、思うけど、

やっぱり、心が、痛くてさ。

本当は、笑いたいんだけど、

全く笑えない。


「泣いてんじゃないよ。」


って、りさが言うんだけど、

良く見たら、あいつも泣いててさ、

意味わかんないつーの。

心が、びっくりした感じ。。


「あーひさしぶりに、涙が、出たわ。」


あたしも、19歳に、

なったんだなぁって。

初めての、誕生会。

あたしは、たぶん。。。

一生忘れない。




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