生きるって難しい
キオク
本当の自分
私には、心の底から笑い合える人がいるのだろうか。
私には過去の会話を過剰に覚えてしまう癖がある。
それは友達と会話をしている時。
「○○って前に話した内容よく覚えてるよね〜」
確かに。
今まで気にしていなかったが言われて始めて気にした。
突然、自分が自分じゃないような感覚に。
リアルな一人称ゲームをやっているかのような感覚に陥った。
その日の夜、友達の一言に前頭葉を掴まれた私は早速自分という人間の理解に時間を割いた。
まず、何故会話に対して覚えがいいのか。
私はお世辞にも記憶力がいいとは言えないほどの人間だったはずだ。
もし良かったのなら小中高校生と点数がよく
赤点ばかり取っていなかっただろう。
嫌な思い出ばかりが蘇ってくる。
だがそんなことなどどうでも良くなるほどに気になって仕方がない。
これは何なのか。
ひとつ仮説を立てるとしたら、これだと言うのがある。
それは「会話のデッキ」だ。
私は会話の間にある沈黙が苦手だ。
誰でもそれはあるよ。と思うかもしれないがこれは対象は他人などでは無い。
友人はともかく、家族でもだ。
会話というコミュニケーションをしている人間には全員平等にそう思ってしまうのだ。
家族も友達も大好きだ。他人であっても少しばかりは仲良くなりたいと思うくらいだ。
だが話をしていてやはり沈黙が訪れてしまうともうダメだ。
相手の感情を探り当てようとしているかと
疑われるほどに考えてしまう。
さっきの会話は大丈夫だっただろうか。
もっとこう言ってればよかったな。
次話しかけられたらどう反応しよう。
この反応の仕方しすぎかな?
会話に詰まったら面白くないと思われないだろうか。
数多くの不安と恐怖が襲いかかる。
当然相手はそこまで考えていないだろう。
むしろ私の何十倍も気楽に会話を楽しんでいるだろう。
いや、楽しんでいるかどうかは分からない。
だが楽な状態なのは確かだろう。
そう考えると合点が行く。
人の会話を覚えている
会話が苦手
図書館が好きなところ
できるだけセルフレジに向かう
有線イヤホンをして服屋に入る
「そうなんだ」「へぇ〜」「なるほどね〜」
が常套句なのもすべて。
全てのピースがハマる。
そして今までの会話という会話に疑問が出てくる。
私は本心で話していたのか。
しっかり自分という人間が話していたのか。
自分という人間を主張しながら生きてきたか
急に考えることへの嫌気が差す。
あぁ、私という人間はこんなにも面倒くさいのか。
なんて人生に向いてないのか。
これに気づいた今、今後はどうしていけばいいのだろうか。
考えるのが億劫で仕方がない。
もう思考など辞めてしまいたい。
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はぁ
大きなため息とともに
私は重い瞼を閉じた。
生きるって難しい キオク @yumenokioku
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