後輩
調子が悪い、とは、思っていたのだ。
乙葉君のお母上にまずは簡単な挨拶をするだけの予定だったのが、図らずも夕ご飯までご馳走になって、そのまま会話を楽しんで、今日はそのまま泊まって行きなさいとの誘いを丁寧に断って、家まで送るとの乙葉君の申し出も断って、一人で帰路に就く中。
ポメラニアン化しそうになる心身を必死で抑え込んだ反動だろう。
おぼつかない足を必死に動かして、乙葉君の家から早く離れようとした。
流石は乙葉君のお母上だった。
手厚い歓迎を思い返して、失礼ながらも身震いしてしまった。
癒され、まくったのだ。
より癒されたい、強く甘えたいと、ポメラニアン化しそうになって、しまったのだ。
(息子の運命の相手だから大丈夫だと、全幅の信頼を寄せてくれていた。大丈夫か。あの家族は。詐欺に遭って被害を受けたりするのではないか?いや。そんな事は、しかし)
乙葉君のみならず、お母上の心配をしていた時だった。
背後から後輩に呼びかけられて振り返れば、何か甘い香りを嗅がされて、意識が急速に遠のいてしまったのだ。
「すみません。先輩。俺、もう、」
(2024.7.15)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます