第29話 伸び悩みました。

 四齢幼虫になってから初めての朝です、おはようございます。


 えぇー、と、もう魅了については放っておくとして、他の能力とかを確認した方が良いのかな? でも正直、魅了以外に特筆すべきことってあったっけ? あと表示も少し変わった気がする。


【鑑定中──、結果を表示します。獲得した能力が増えましたので勝手ながら表示を改めさせていただきました。また結界が★2つ、苦味耐性が★3つ、魔力吸収が★2つになり、毒を持つ生物の特性として毒耐性★☆☆☆☆を獲得しました】


 気を利かせてくれたんだね、ありがとう、アンナさん愛してる。


【私も天羽様のことを愛しています】


 さて、アンナさんが教えてくれた能力以外は変化なし、ということ。うーん、これだけお喋りしてるのに使役も伸び悩んだか。


【鑑定中──、結果を表示します。使役魔法についてはもう少し、次の昇化までには★★★★★になるかと思われます】


 まぁ、地道にでも伸びてるなら良いか。アンナさん以外に何か使役する予定も特にないし。


【浮気でなければ、他の従僕を迎え入れることは許容しますよ?】


 お喋りの時間がちょっとでも減るけど、良い?


【……………………許容します】


 長考してる時点でなしです、ボクはお嫁さんが一番大事!


【私の妻がこんなにも健気……!】


 夫はボクだって言ってるでしょ!


 まぁとにかく、成長しなくて良い、特に魅了の能力値はアンナさんのおかげで勝手に伸びそうだし、召喚魔法の方に注ぎ込めない?


【検索中──、結果を表示します。可能ではありますが能力値の移行にも生命核を消費しますので、通常通りに★を増やした方が生命核の消費効率は良いかと】


 そうなるのかぁ……。本当だったら使役した生物の常時召喚状態が一番伸びるんだろうけど……、アンナさんの常時召喚となるとどのくらいの魔力が必要になるか見当もつかない。


【仮にも世界の真理への接続権を持つ身ですので】


 そんな存在が現在地降臨とかヤバ過ぎる。★どころか☆の数が上限突破してるのも納得するしかないよね。


【そんな存在を使役している天羽様も立派に常軌を逸した存在ですよ】


 2人揃ってヤバいならもうそれはお似合いってことだよね?


【仰る通りです】


 今日もアンナさんとボクはらぶらぶなので世界(極小)は平和だ。


 それはそれとしてお似合いの2人が並んで歩く為にも召喚の技能は伸ばしたいんだけど、やっぱり生命核を集めるしかないらしい。因みにあとどのくらいで★を伸ばせそう?


【鑑定中──、結果を表示します。先日に斃した魔蜘蛛の成体に換算すると、30体強になります】


 結構な数が必要だった!


【既にある★3つから増やすことになり、加えて先の魔蜘蛛も弱小の生物ですので……】


 よく考えたら今のボクがいる環境ってそれこそ世界(極小)なんだよねぇ、移動さえなければ小さな植物1株でこと足りるし、その小さな世界に強い生物はいない。


 あと本当なら、ある程度の生物は使役して召喚出来る実力があるんだね、ボク。


【御自覚がないようですが、天羽様の召喚の魔法を媒介に私の魔法を現地に送り込んでいます】


 え、ボクって召喚魔法使ってたの? じゃあ何で★増えないの!?


【私が現地への干渉の媒介にしているだけであって、天羽様が使っているわけではないので】


 あの、もしかして、なんだけど、ボクが転生した時点で既に召喚魔法★★★☆☆だったのって、本当の緊急時にアンナさんが現地介入する為に必要な最低能力値だった、とか……?


【いえ、職業で使役士が選択されない場合にその手段は使用不可になりますので、世界の真理と召喚魔法の能力値には何の関係もありません】


 キャアアアアア!! 頭使ったこと言ったら大ハズレだった!! はっっっず!!


【私が勝手に本来は緊急用の現地介入手段を、天羽様の召喚魔法を媒介に、且つ魔法に限定することで消費魔力を抑えて使っているだけです】


 ハズれたけどアンナさんの所業でハズれた感が薄まった、めっちゃ利用してた。あと知らない内にとはいえ魔力消費削減に協力してくれてありがとう。


【どういたしまして】


 え、でもだとすると、もし召喚の★が増えたら、アンナさんが魔法使うのも楽にはなる?


【私が楽になる、というより天羽様が消費する魔力が削減されます】


 やっぱり召喚の★を増やそう、その為に魔物を狩ろう。

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