第6話 発覚しました。
【おはようございます、天羽様】
おはよう、アンナさん。良い天気だね。
良い天気とか言っちゃったけど、何となくどんよりしている空模様。もしかしたら降るかもしれない。
【本日の降水確率は60%となっております】
凄いね、アンナさんはそんなことも分かるんだ。
【元より私は天羽様の補助担当ですので、何なりとお申し付け下さい】
うーん、でも今はボクのお嫁さんだし、何でもかんでも頼るのは夫としてどうなのかな、って。
【……え?】
え?
【天羽様が妻では?】
え????
【天羽様が私を支えて下さり、私が天羽様を守るのですから、私が夫で天羽様が妻では?】
待って、ボク、男。
【現状は女性ですよね? 天羽様が妻でも問題もない、というか、その方が問題がない、と思うのですが】
おーけー、ちょっと行儀悪いけど魔力は貯めたいから食べながら話そう。
口に入れていた葉っぱはもう魔力がないからぺっ、っと地面に吐き出して、新たな葉っぱを齧って心を落ち着かせようとするけど、現状がかなりヤバいことになっていると気づいてしまったのでどうしても焦る。
いやでもアンナさんだって女の子だよね?
【召喚されるまでに天羽様に相応しい身体を造ります】
良かったまだ間に合う! ボクは女の子が好きです!! 女の子でいて下さい!!!!
【畏まりました。しかしそうなると繁殖の際に不都合が】
アンナさんは子供、欲しい?
【天羽様のお子でしたら可愛いと思います。ただ繁殖相手が私以外の誰かだと思うと】
そんな予定はないけどね。
【その相手を可能な限り苦しめて痛めつけて嫐り殺しにしたくなるので】
うん、大丈夫、ボクはアンナさん一筋だから。使役も召喚も、アンナさんだけって決めたから。だからちょっと落ち着こうか。何だかよく分からないけど頭上に物騒な気配がするよ。
【……お見苦しいところをお見せしました。】
うん、落ち着いてくれてありがとう。で、話を元に戻すけど。
両方とも女の子ならアンナさんがお嫁さんでも問題ないと思うんだ。
【守る方が夫、守られる方が妻、という認識でおります】
……あのさ、もしボクが男のままだったとしても、アンナさんは自分が夫だって主張した?
【はい】
はい????????
【その場合は確実に雌性体を造りましたが、私が守ることに変わりはないので】
おっと、これはカルチャーショック的なアレかな? この世界ではその認識が普通なの?
【一般的には雄性が夫、雌性が妻ですが、守り守られという実態に都合が良いからかと】
それが世界とか文化とかの違いかは分からないけど、つまり前提がアンナさんは守るか守られるか、ボクは男か女の子か。なるほど、認識が根本から違う。
これは長期戦の予感。
【何があっても私が守りますので】
別の戦いが始まったんですよ、ボクとアンナさんの間で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます