第7話 目指すことにしました。
こんにちは、お昼になって降り出しました。早朝に勃発した争いはアンナさんを守る手段もなく、男に戻れない現在、敗色濃厚な気がしますが知らん振りです。
知らん振りしつつ、濡れないように葉っぱの影で葉っぱをもぐもぐしています。
あれだね、一齢幼虫って本当に胃袋が小さい、葉っぱが入らない。魔力だけ効率的に吸えないかな。
【口に含めば良いだけなら、噛り付いたままになさっていは如何でしょう】
お腹一杯だし、やってみようか。齧った場所の葉っぱに再び噛りついて、そのまま吸い取る感じにしてみる。
吸う、という気概があるとただ口に入れているだけよりは吸える。そうなると気になるのはボクは何処まで魔力を貯められるのか、ということ。
【余剰分は私が貯めておきます】
アンナさんは本当に何でも出来るんだね、凄い。
【安心してお嫁にいらして下さっても良いのですよ】
それとこれとは話が別です、寧ろお嫁に来て下さい。
こうなったら魔力の貯蓄量を上げまくってアンナさんを養うしかないか。
【そうなったとしても、守るのは私ですよ】
どう足掻いても詰みですかそうですか、ボクは諦めないから!
さて、埒の明かない争いはともかく。というかその埒の明かない争いを納得のいく形で終わらせる為にも。
アンナさん、ボクの天敵になり得る生物について教えて。
【検索中──、結果を表示します。若齢幼虫期は魔物か動物かを問わず肉食の虫が一般的な外敵になります。終齢幼虫になりますと更に鳥や寄生目的の虫が加わり、成体になれば虫は動物であれば脅威にならないと思いますが、大きさによっては鳥は動物であっても脅威のままかと】
そっか、地球とそんなに変わらないんだね。
【転生が可能になる程度には近い世界ですから】
じゃあボクがやることもそんなに変えずに済むかな。
アンナさん、近くに魔力がこの植物より豊富で毒のある植物ってある?
【検索中──、結果を表示します】
魔魅夢酩妄毒草
植物型魔物の一種、地球産の現生植物とは異なる性質を持つ。
魔力と毒素を多量に含み、霊薬や妙薬の材料として重宝されるが、その扱いは困難である。
状態:良好
その植物のところに移動したいんだけど。
【検証中──、移動も困難ですが、1~2日以内に脱皮が始まると思われます。地上での脱皮は大変に危険です】
じゃあそれが終わったらにするけど、移動はする。
【……どうしても、ですか?】
うん、ナミアゲハやキアゲハじゃ不安だから、ボクはジャコウアゲハを目指す。
【許す限りで時間を下さい、何とかします】
脱皮が終わるまで、ね。一齢、もしかしたら二齢幼虫期も毒の貯蓄に当てられないかもしれないから、なるべく急ぎたい。
【承知しました】
さて、移動中は補給が出来ないかもしれないから、とにかく魔力を貯めないと。
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