第58話 極秘報告

 キャンター達が率いる回収部隊が無事町まで戻って来て、アンダーソンは報告の為ギルド長室の部屋に来ていた。

 

「大変な事になった様だな!」

 バッカスは今回の回収作業の事をギルドの職員から大まかな報告は知らされていたが、現場にいたアンダーソンからの報告を重要視していた。

「今日はノーマン様はいないのか~しかし御二人の情報には恐れ入る。」

「私もノーマンも、この国の為に働いているからな、当然の事だ!」

 バッカスはアンダーソンに労いの言葉を掛け、真剣な表情を見せてソファーに座り報告を待った。

「先ずはアキナ殿が発見した群生地は本物だった。ただ回収作業を行っていた場所に大蛇が出現し、回収部隊が襲われ職員達を逃がす為にキャンター達冒険者がおとりになり戦闘になったが、歯が立たず全員が重傷を負った事は知っているよな!」

「その報告は伝書バトで報告は受けているが、ギルド職員とキャンターが怪我をしていなかったのが腑に落ちないのだが?」

「そうだろうな~・・・本来ならギルド職員もキャンターはその場から動けない程の怪我を覆っていた。それにパーティーメンバーの1人は内蔵も破裂して助からない程の怪我をしていたが、アキナが全員を回復した。」

 アンダーソンの報告に、バッカスは驚きを隠せない程興奮して立ち上がった。

「彼女が1人で治療したのか?」

「表向きは工房から支給されたポーションと、ギルドから支給された傷薬で治療された事になっている。」

「実際はどうなんだ?」

「ギルド職員達は支給された低級傷薬をアキナ殿が塗っただけで治った為、上級傷薬と勘違いされたそうだ。またキャンター達冒険者も工房のポーションを飲んだだけで命が救われたと証言している。」

「アキナ殿は魔法が使えないと聞いているが、そんな事が可能なのか?」

「彼女は魔法を理解していないので無意識に聖魔法を使い、治療したと考えるのが妥当だな!」

「現場では、ポーションや薬を使用しているから彼女が魔法を使った事は誰も分からないので問題はないかもしれないが!」

 バッカスは、アキナが聖魔法の使い手である事が明るみに出る事を危惧していた。

「問題があるとすれば・・・」

 アンダーソンは言葉を詰まらせた。

「彼女の能力に気がついた者がいるのか?」

 バッカスはアンダーソンの表情を見て問いかけた。

「キャンターとリンダは直接彼女から治療を受けている。彼らはB ランクの冒険者だ~自分達の怪我が回復ポーションを飲んだだけで治るとは思っていないはずだ!」

「それでは彼女の正体を知っているのか?」

「本人達は、工房のポーションのお陰で命拾いしたと感謝の言葉しか言わず、彼女の事は名前も出さなかった。」

「そういう事であれば、アキナ殿が困る発言はしないと見て良いな!」

「間違いはないだろう~聖魔法の使い手は貴重な人物だ、それに命を助けてもらって恩義がある。彼女を悪用する事はないと見ていいだろうな!」

 バッカスとアンダーソンは、改めて彼女の存在を認識していた。


 一息入れた2人は、もう一つの依頼についてアンダーソンから報告が始まった。

「今回出現した大蛇の後をつけて調べた結果を報告すると、ギルド長が睨んだ通り隣国の仕業の可能性が大きい!」

「やはりそうか!隣国にあるギルドの報告に疑問があったので、そうではないかと予想はしていたが!」

「ギルドの報告による冒険者達が、魔物を追い払うのが精一杯とあったが、その村には住人がいなかった。しかし人間がいた痕跡があったが魔物に襲われた感じは全くせず、大蛇は村の広場に置かれていたエサらしき動物を食べていた。」

「動物のエサを置いてあったという事は、飼いならしているという事だな!」

 バッカスの予想は当たっていたが、これは大変な事態になったと内心穏やかではなかった。

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異世界で大聖女は克服したい! 鬼瓦 @sazanka84

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