第11話 初仕事
城壁の門から魔の森までの道のりは、自然豊かな場所をハイキングしているように感じた。
ミラに教えてもらった場所にきた。
「広い~この中から薬草をさがすのね~」
明菜は足元に生えてる草を探し始めた。
「見つからないわね~勝也も探してね~」
暫く探していると勝也が私を呼んでいるような唸り声が聞こえた。
「何か呼んだ!」
勝也がいる場所に行くと、勝也の前足の先に図鑑と同じ絵の草があった。
「アッ~これだ!これ薬草よ!勝也凄いわね~」
「勝也この調子よ!これがお金になるんだからドンドン探そう!」
一つ見つけるとその場所にはまとまって群生しているけど、小さい薬草は摘まないようにしておかないとね。
ある程度摘むと、次の場所を探して移動した。
自分では気が付かないうちに、魔の森の方に足を踏み入れていたみたいだ。
「アッ!見つけたよ!!」
木々が多い茂っていて辺りが薄暗くなっていた為、薬草が光っているみたいに私でも見つけられた。
「ここはたくさん生えているわね?誰も摘みに来てないみたいだわ。」
辺りは人が足を踏み入れた形跡はなく物静かだ。
かすかに水の音が遠くから聞こえる。
「近くに川があるんだわ!」
「勝也!川がありそうよ~行ってみよう!」
勝也にそう言いながら、足は川の音がする方に走っていた。
森の中を走り抜けると、川辺に出れた。
「やった~川だ!」
「勝也・・・私、川の水で汚れた手足を洗った来るから、ここで待っててね!」
勝也にそう伝えると、靴を脱ぎ捨てて川の中に入った。
手足を洗いながら、勝也にバレないようにバックからハンカチと下着を取り出し綺麗に洗う。
濡れた下着を一度バックにしまってから再度取り出すと、新品のように乾いている。
「このバックの仕組みはどうなっているんだろう~まるでコンビニみたいで便利だわ。」
下着を握りしめていると、急に尿意に襲われた。
当然、公衆トイレなどない。
我慢が出来なくなったので、草むらに走ってそのまましゃがむ。
「フッ~」
今にも出そうとした瞬間に、目の前に一匹のイノシシみたいな動物がこちらを見ているのに気が付いた。
「キャ~」
私の悲鳴と同時に、突進してくるイノシシ!
驚きのあまり、しゃがんだまま後ろに尻もちをついて動けなくなった私。
イノシシが私をめがけて飛びかかってくる!
恐怖を感じた瞬間、手で顔を覆いながら下半身は漏らしていた。
「ガォ~・・・バキバキ~」
フェンリルの雄たけびと、イノシシが飛ばされて木々にぶつかる音がした。
覆った手の間から見た光景は、フェンリルが前足の爪でイノシシを吹き飛ばし瞬殺した後だった。
「助かったの?勝也が助けてくれたのね♡~怖かったよ~」
勝也に助けられたけど、尻もちを付いたまま動けない!
それに恥ずかしいけど下半身は濡れていて冷たい。
漏らした姿を見られて恥ずかしいけど勝也なら別にいいかなとスカートが濡れないように足を広げたままでいると、私の後ろ襟を加えてそのまま川辺まで運んでくれた。
まるで親猫が子猫を口にくわえて運ぶように!
私はスカートがまくり上がらない様に両手で抑えて、重たくないよねと心配していた。
再度川で足を洗い、濡れた下半身をハンカチで拭いた。
勝也は恥かしいのか、背中を向けて見ない様にしている。
子供の時は一緒にお風呂に入った仲なのに!見てても構わないのにね♡
「ゴメンね勝也、初めての仕事でヘマしちゃて迷惑を掛けてしまったわ。」
少しだけ反省していると、勝也が真横に座り頭を垂れる。
私は勝也に抱きついて、気持ちを切り替えた。
「仕事はまだ終わってなかったわ!戻りましょう!!」
勝也の背中にまたがると、ゆっくり立ち上がり走り出した。
下着は履いてあるので、気兼ねなく勝也にしがみ付いた。
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