第10話 二つ名
【この女性!取扱い注意!!】の二つ名を付けられたことは、明菜は知らない。
「ノーマンさん!生活費を稼ぐ為、仕事を受けたいと思います。」
「そうですか、ぜひそうして下さい。夕暮れには宿舎に戻ってきて下さい。それまでには部屋の準備も済んでいますし、夕食も楽しみにしていて下さい。」
ノーマンの言葉で、すっかり気分がよくなった。
ノーマンとバックスは2人揃ってまた2階に上がっていった。
「改めて挨拶をさせていただきます。私くし受付嬢のミラと申します。アキナ様の担当をさせていただきますので、わからないことがありましたら、なんなりとお尋ね下さい。」
「ミラさんね、よろしくお願いします。」
大人の色気がある綺麗な女性ね。でも勝也の好みではないわね、気に入ったわ!
「さっそくクエストを受けたいんですけど、先ほどの説明で教えてもらった薬草採取をお願いします。」
ミラは慣れた手付きでカウンターの下から分厚い本を出し、薬草の絵のページを広げて見せてくれた。
「こちらが薬草の絵になります。雑草と似ていますので間違えないように採取して下さい。」
「薬草の他にお金になる物はありますか?」
「他に、毒消し草・眠り草・魔力草・火炎草があり、こちらがその絵になります。」
ミラは草の絵を丁寧に教えてくれた。
「ミラさん、さっそく採取に行きたいので群生地の場所を教えてもらえますか!」
「薬草が取れる場所は、城壁の門を出て魔の森の手前に広がる草原地帯で見つけられると思いますが、くれぐれも魔の森には入らないで下さい。」
ミラがスコップをカウンターに置いて、私がぶら下げている布地のバックを指さした。
「アキナ様がぶら下げているバックは、見たところアイテムバックとお見受けします。」
「アイテムバック?」
私のハンドバックの事かしら?たしか下着を入れたままだったはず!
「アイテムバックは持ち主の魔力量に相当する空間を有しますので、採取した薬草や討伐した魔物等何でもアイテムバックに入れて置くことができます。」
「そんなに便利なバックなの?」
「アイテムバックは登録された持ち主しか使えません。一般の冒険者では高価すぎて中々手にすることができない貴重な魔道具です。」
「エッ~このバックは魔道具なの?」
「はいその通りです。レベルの高い錬金術師が作成された物で、今では作れる錬金術師は存在しないといわれていますので、国宝級に相当する魔道具ですね。」
「作れる人がいないアイテムバック!」
「きっとアキナ様は高貴な出のお嬢様なんでしょう!」
間違っているわ!私は一般庶民よ!普通の会社員の娘で、ただの平民です。
これ以上ここにいたら、私は女神に認定されそうだわ!
「アハハハ・・・ミラさん薬草採取にいってきます。」
「アキナ様~このスコップをお持ち下さい。」
ミラから渡されたスコップをアイテムバックにしまい込み、周りの冒険者の目から逃れるようにギルドを出発した。
ギルドから町の中を勝也と歩く。
町の中は平和そうで街並みも綺麗に整備されている。
すれ違う人々からは驚かれているが、そんな事は気にしない。
今は就職先が決まったので、仕事をこなすだけだ。
町の城門で門番に呼び止められたが、ギルドカードを見せるとすんなり通してもらえた。
「ギルドカードって、便利なカードだわ!」
町の城門から農業区域を通って城壁の門まで来た。
先程の門番が声を掛けてきたが、同じくギルドカードを見せると周りにいた衛兵が近寄ってきた、
「ホントにお嬢さんの従魔だったんだ!」
「さっきは驚いたが、お嬢さんが冒険者なら安心だ!」
「今から冒険に出かけるのかい?」
衛兵の人達は私達を見て、優しい言葉を掛けてくれた。
「はい!今から初仕事に出かけます。」
「気お付けて行きな!困ったことがあればいつでもおいで!」
衛兵の人達から優しい言葉を掛けてもらい、魔の森の方角を目指して歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます