第4話 交渉
見知らぬ場所に来て、情報がほしい時に偶然出会ったノーマン達と町まで一緒に行くことになった私達。
私は、この状況はチャンスだと感じていたが、勝也はどう思っているかしら?
ノーマンからは馬車は如何ですかと勧められたが、男の人と隣同士に座るのは抵抗があったので丁重にお断りした。(勝也の背中に乗るのは別に良いのよ♡)
ノーマン達の荷馬車は、結構大きく御者の後ろに荷台とキャビンが合体した造りで、馬2頭て引かせている。
御者が2人にキャビンにノーマン1人、荷台には少量の荷物と冒険者風の護衛が3名で、王都から戻る途中らしい。
私達に出会う前までは、いつもは遭遇しない魔物が幾度も街道に現れて手を焼いていたのが、今は全く遭遇しなくなっている。
ノーマン曰く、私達(フェンリル)がいるから恐れて隠れているんだろうと言う事らしい。
「銀色の毛並み、間違いなくフェンリルだよな!」
「伝説だと思っていたが、神獣フェンリル・・本当に存在したんだ。」
「襲ってこないよな!本当に彼女の従魔かよ?」
護衛の男達3人はチラチラ私を見ては、すぐ目を背ける。
こちらを見る度に、私は下半身が気になり俯き下弦にスカートを抑える。
(勝也以外の男の人に見つめられると照れてしまう。)
「アキナ様、ここで休息を取りたいと思います。」
ノーマンが荷馬車を止めて、キャビンから降りてきて私達に伝える。
「レイフォースの町まであと3時間程で到着します。」
御者の人から飲み物の頂いて、ノーマンが興味津々な様子で私に話しかけてくる。
「アキナ様はこれからどちらに行かれるご予定ですか?」
「こちらに知り合いがいませんので、衣食住が確保できる場所を探そうと思います。」
勝也はみんなと少し離れた場所に座り、顔を埋めて休息をとっている。
勝也を見てみんなが怖がっているから、勝也なりに気を使って小さくなっているんだろう。(いつも周りの目を気にするよね♡)
「アキナ様、宿泊先が決まったいないのであれば、今日は私の屋敷に泊まって行かれたらどうでしょうか?」
願っても無い申し出にどうしたらいいのか決断に困り、勝也の姿に目をやる。
「チョットすみません~彼と相談してきます。」
うずくまって休憩している勝也の側に行き、ノーマンの言葉を伝える。
話をした後はジット勝也の目を見ていると、首を横に振った。
「分かったわ勝也!」
私はそのまま勝也の首に抱きつき、ノーマンのいる場所に戻って返事をした。
「ノーマンさん、お言葉は大変嬉しいですが、そこまで甘えるつもりはありません。私達は野宿でも構いませんので気にしないで下さい。」
「アキナ様、従魔と会話が出来るんですか?」
「アッハ、彼は喋れないけど何となくそう思ったからです。」
ノーマンは明菜と勝也の関係が不思議でならなかったが、ここで彼女達と出会ったのは偶然なのか神のお導きかはわからないが、このチャンスをものにしなければと頭を巡らせていた。
護衛の冒険者達は、神獣フェンリルの首に抱きつく彼女をみて心底怯えていた。
ノーマンには何が何でも彼女を手元に置いておきたい理由があった。
彼には鑑定のスキルがある。
彼女にバレない様に鑑定をした際、その内容を見て腰が抜けるほどの衝撃を受けている。
彼女は聖女だ!それも一般の人間では絶対持ち合わせない超魔力を持っていることだ。
彼の鑑定能力では全ては把握できないが、この大陸には数える程しかいない聖女が目の前にいて記憶と行く当てがないと言う。
彼女を保護できれば、自分には莫大な利益が生まれると判断していた。
ただ問題なのは彼女の従魔と言う神獣フェンリルの存在だ。
伝説の神獣フェンリルの力は、一国を滅ぼすと言われている。
鑑定では、従魔の表示は無かった。
それではフェンリルは彼女の何なのか?
従魔でもないフェンリルがなぜ彼女になついているのかが、不思議でならなかった。
彼女の従魔でなければ、フェンリルの気まぐれで彼女に付いて来ているのでは・・・ならばいつ牙をむいてもおかしくはない。
こちらも機嫌を損ねない様に注意しなければ、我々は一瞬で窮地に追い込まれてしまう。
町まで戻るキャビンの中で1人考え込むノーマであった。
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