第2話 異世界
私はどれぐらい気を失っていたんだろう。
その間に思い出した記憶は、何故か勝也と一緒にいる出来事とお漏らしをした場面ばかりが思い出される。
次に生まれ変わる時は、お漏らしをしない自分になって勝也と出会いたいな~
目の回りが白く見えだし、だんだん光に変わってゆく。
瞼が開いた瞬間、目の中は青色一面になっていた。
「ここはどこ?天国?私、死んだのかな?」
今の状態を確認していると、目に映る青色は空の景色だと認識できた。
「私、生きているの?」
地面に仰向けの状態で手足が動くのを確認できた。
「イタタ・・・勝也は!」
上半身だけ体を起こし、周りを見渡したが勝也の姿はいない。
自分の体を確認するが、変な違和感に感じた。
「たしか黒のリクルートスーツにカバンを持っていたはずが、この服装は何だろう!それにレザーのハンドバックではなく布のバックに変わっている!」
勝也がこの姿を見たら大笑いするんだろうな!
たしか勝也と一緒に乗っていたバスが・・・崖から落ちたはずでは?
勝也に抱きついたまま・・・・・何かを思い出す。
「アッ!」
下半身が、それも太もも辺りが冷たい。
スカートをめくって確信した。
「やっぱり~」
しばらくボッーとしていたが、このままの状態もマズイと思い起き上がり下着を脱いでバックに中にしまい込んだ。
「あとで下着は洗おう。」
ハンカチで濡れた箇所をふき取り、何事も無かった様に地面を靴でかき消した。
「勝也はどこにいるの!」
心細くてどうしていいかがわからず、無意識に歩き始めていた。
ひたすら歩いていると段々気が落ち着いてきたのか、周りの景色が理解できるようになった。
「ここはジャングル?」
周りは木や草が生い茂っていて薄暗い。
怖い!恐怖が体を支配する。
「誰かいないかな?」
独り言を言いながらも心細くなる。
「ガサガサ・・・・・」
「なに!・・・今、変な音がしたよね!」
音がした方を見ながら、後ずさりして木の枝を拾って構える。
「ガサガサガサ・・・」
だんだん近づいてくる。
茂みの間から銀色したキツネみたいな顔がこちらを覗いている。
「動物?」
じっと見ていると、銀色の毛を覆ったキツネみたいな動物が姿を現わしゆっくりこちらに近づいてくる。
食べられるかも?
襲われたら命を落とすかもしれない・・逃げないと・・・
足が動かない!
目の前まで近づいてきて、私の手前で止まった。
襲う気配はない。
不思議と怖くない。
どちらかと言うと懐かしい感じがする。
自然と手が出て、頭を撫でてしまう。
「あっ~」
見覚えがあるネックレスが首にかかっている。
「勝也!」
忘れる訳がない!私がプレゼントしたお揃いのペンダント。
「勝也なの!」
私はフサフサした勝也に抱きついた。
勝也も私を理解してくれてる様子だ。
勝也のフサフサした体に顔を埋めて、しばらく泣き続けた。
時間が経つに連れて落ち着いてきた。
「ネェ~勝也!なんで動物の姿なの?言葉は喋れないの?」
勝也は私の言葉は分るみたいだが、首を横に振るだけで喋れないみたいだ。
「ここは何処なの?どうして勝也は動物に変わっているの?」
「お父さん・お母さんは心配してないかな~勝也のご両親も心配しているよね!」
「朝出掛けてまだ時間が経っていないはずだから、みんなが気付くのはまだ後だね!」
「日が変わっても帰らなければ、捜索願いが出されるかも!それとも勝也といっしょだから、どこか2人で泊まっているんだろうと思われたらどうしょう!」
「お互いの両親は、私達が何していても当たり前のようにみているんだよね~」
独り言の様に一方的に話すが、勝也は答えてくれない。
「大丈夫よ!私が勝也を元の人間に戻してあげる。そして2人で帰ろうね♡」
不思議な出来事に頭が混乱していたが、姿が変わっても勝也が側にいるとわかったので不安はなくなっていた。
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