第11話

コンコンコン


「お嬢様、お支度の時間です」


マリアが返事も聞かずに入ってきた。一応ノックはしていたけど…


「え、支度?何で?」


私は意味も分からず混乱する。今日、何か予定あったけ…?


「……本日は、ルピナス様のご招待を受けて、お茶会に参加する予定です」


また、呆れてる…いや、忘れていた私も悪いけれどね。


「あ、えぁそうだったわね。じゃあ支度を始めましょうか」


こうして私は少々強引に、マリアの呆れに溢れた目から逃げた。

☆ ☆ ☆


「ヴァイオレット、いらっしゃい!」


馬車から降りた私に1人の女の子が駆け寄ってきた。


「ルピナス、ご招待ありがとう。久しぶりね」


ルピナス・サマー公爵令嬢。私の親友。おしゃれが好きで、今日もベージュのドレスが、オレンジの髪色ととても合っている。

そこまで考えて私は、自分のドレスを見下ろしてみた。紫色の布に施された、銀色の鳥の刺繍が可愛らしいドレス。


(結構似合っているんじゃないかなと思ったんだけどなぁ)


ルピナスと比べたら、足元にも及ばない。

「さぁ、行きましょう。2人も待っているわ」

私は、ルピナスに手を引かれながら、お茶会の会場であるサマー公爵邸に入った。

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