第3話
「「ヴァイオレット⁉︎」」
突然帰ってきた私に両親は、とても驚いていた。
「ただいま帰りました。お父様、お母様、少々……いえ、かなりのトラブルが発生してしまいまして」
私は、両親に舞踏会でも出来事を話す。
「あのバカ第一王子‼︎‼︎うちの可愛い、可愛いヴァイオレットに婚約破棄など‼︎」
お父様の拳は、怒りのあまりプルプル震えていた。そこまで怒ってくれるのは嬉しいけれど、ちょっと落ち着いてくれないかな?ここで、悪女とまで言われたと伝えたら、そのままエドワードを殺しに行きかねない。
「まぁまぁ、アーノルド。そんな風に言わないの」
お母様がお父様を嗜める。お母様は冷静だ。舞踏会での出来事、もうちょっと話したい。
「うちのヴィーちゃんを傷付けたあの男を第一王子なんて敬称で呼べないわ」
……全然よくなかった。お母様も完全に怒っている。だって、微笑んでいるのに目が笑ってない。
「あぁ、そうだな。あの男は名を呼ぶ価値もない。…さぁて、これからどうしようか」
「そうですねぇ。……あ、いいことを思いついた。ヴィオちゃんを傷つけた報復として、明日王城に出仕しないとか?」
「おぉ、いいなそれ。絶対やろう」
「後は、嫌がらせとして…」
なんて物騒な話をしているのだ。この両親は。というかお母様、一切微笑みを崩しませんね、尊敬します。
「まぁ詳しいことは明日お話しますので、今日は休ませていただきます」
だって疲れた。それに両親を止める理由がない。エドワードには、すごくすごく腹が立ったし。むしろ明日が楽しみ。
(さぁ、どうなっているのかしら?)
☆ ☆ ☆
湯浴みをしてベットに入る。今日はよく眠れそう。
「ふぁ。おやすみなさい」
わたしは目を閉じた。
☆ ☆ ☆
夢を見た。1人の女性の夢だ。彼女の名前は、東田桜。小さい頃の記憶から始まり、どんどん成長していく。
13歳
「桜、写真撮ろう!」
友達と遊んでいる。
「ハイチーズ!」
パシャッ
15歳
「桜、好きだ」
ずっと片思いしていた彼に告白されていた。桜は目を見開いて固まって動けない。
「あ、えっと…こんなの困るよな。忘れてくれ」
彼がクルリと後ろを向く。
「あっ、待って!」
彼が行ってしまう。そう思った瞬間、桜が彼の服の袖口を掴んでいた。
「わっ、私も!好き。私でよければ……つ、付き合ってください」
顔が真っ赤。
17歳
「桜、一緒に帰ろう」
教室までさっきの彼が迎えにきていた。学校から帰る途中の様だ。生憎雨が降っていたが、とても幸せそう。相合傘をして、誰がどう見ても、ラブラブな空気を醸し出している。
………だが、横断歩道に差し掛かったその時、
キキー‼︎‼︎‼︎
「危ない‼︎」
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