【SAN値!】ちょっと計画見直そっか【ピンチ!】

 ◾️◾️は己の記憶の破片をかき集め浮かび上がった場所へとやって来た。

 

 そこには幾人もの武器を持ついかにも野蛮そうな男達が屯している。

 

 己がその光景をぼぉっと眺めていると、どうやら自身のことを知っているらしい人間が話しかけてきた。

 

 その話を聞く限りでは、◾️◾️は元々此処で集うもの達と同じく傭兵を生業としていたらしい。

 

 ◾️◾️はそれを聞いた瞬間、またも自身の中で強い使命感が働いたことを感じ取る。

 

 

 ———ここに、いずれ運命がやって来る。

 

 

 そんな確信に従って、◾️◾️はその建物の中へと歩を進めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

15:名無しの悪党@荒らし活動中

というわけで、計画の見直しが必要だと思うんですよワイは

 

16:名無しの悪党@荒らし活動中

どうした急に

 

17:名無しの悪党@荒らし活動中

どしたん話聞こか

 

18:名無しの悪党@荒らし活動中

唐突なntrに脳の破壊を禁じ得ない

 

19:名無しの悪党@荒らし活動中

聞いてくれ

 

20:名無しの悪党@荒らし活動中

なんじゃい

 

21:名無しの悪党@荒らし活動中

計画の見直しねぇ…

 

22:名無しの悪党@荒らし活動中

言ってみそ

 

23:名無しの悪党@荒らし活動中

今更やろ

 

24:名無しの悪党@荒らし活動中

今の状況を整理したい

まず今回のシナリオでは何だかんだで引きニキが退場する予定でした

 

25:名無しの悪党@荒らし活動中

うん

 

26:名無しの悪党@荒らし活動中

そうやな

 

27:名無しの悪党@荒らし活動中

序盤やしまあ主人公組の覚醒とか何やかんや噛ませ的な感じで死ぬ予定やったな

 

28:名無しの悪党@荒らし活動中

そだね

 

29:名無しの悪党@荒らし活動中

噛ませ…?引きニキが…?

 

30:名無しの悪党@荒らし活動中

 

31:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶっちゃけ無理あるよな

 

32:名無しの悪党@荒らし活動中

で、今王子くんはともかく勇者ちゃんは覚醒の予兆もありません

 

33:名無しの悪党@荒らし活動中

おいおい主人公…

 

34:名無しの悪党@荒らし活動中

覚醒してけ〜?

 

35:名無しの悪党@荒らし活動中

頼むで

 

36:名無しの悪党@荒らし活動中

もしかして遠慮とかしてる?

 

37:名無しの悪党@荒らし活動中

引きニキは見えんって言っとるけどイッチが期待しとる時点でなんかあると思うんよな

 

38:名無しの悪党@荒らし活動中

引きニキ程確実性はないけど謎の信憑性はあるイッチの勘

 

39:名無しの悪党@荒らし活動中

実際勇者殺した時イッチに突っかかったけど、あん時剣光っとったしな

 

40:名無しの悪党@荒らし活動中

覚醒はよ

 

41:名無しの悪党@荒らし活動中

というわけで何とかして覚醒の予兆くらいは生みたいです

 

42:名無しの悪党@荒らし活動中

えぇ〜

 

43:名無しの悪党@荒らし活動中

めんど

 

44:名無しの悪党@荒らし活動中

もう今回は負けイベってことでよくね?

 

45:名無しの悪党@荒らし活動中

最初やしええやん?

 

46:名無しの悪党@荒らし活動中

えーワイは引きニキワンチャン殺れると思うけどなぁ…

 

47:名無しの悪党@荒らし活動中

いや無理やろ

 

48:名無しの悪党@荒らし活動中

今の勇者ちゃんも王子くんも隊長にすら勝てそうにないんですが?

 

49:名無しの悪党@荒らし活動中

隊長はあんま基準にならん

 

50:名無しの悪党@荒らし活動中

そもそも対英雄組の幹部を序盤で討伐とか無理ゲーやろがい

 

51:名無しの悪党@荒らし活動中

そこはほら…主人公パワーで…

 

52:名無しの悪党@荒らし活動中

殺さずに情報吐かせるためとはいえモブ戦闘員のワイらすら逃す勇者ちゃんじゃちょっと…

 

53:名無しの悪党@荒らし活動中

むしろ本格的に王子くんの方が良さそうな可能性さえ浮上してきたんだが?

 

54:名無しの悪党@荒らし活動中

交代か〜?

 

55:名無しの悪党@荒らし活動中

うーん、この

 

56:名無しの悪党@荒らし活動中

マジでどうするよ

 

57:名無しの悪党@荒らし活動中

いや、でも二人とも覚醒さえすればギリいけると思うんやけどな〜

 

58:名無しの悪党@荒らし活動中

まあ引きニキは実際非戦闘員枠からな。なんとかして削りきれれば…

 

59:名無しの悪党@荒らし活動中

あの攻撃も言うて初見殺しなとこあるし、同格かそれに近いと通用せんやろ

それはそれとしてベースが化け物なんやが

 

60:名無しの悪党@荒らし活動中

あれなぁ…統括とか隊長なら封じれるんやけど…

 

61:名無しの悪党@荒らし活動中

あれホンマクソ技やんな

 

62:名無しの悪党@荒らし活動中

格下殺し

 

63:名無しの悪党@荒らし活動中

なんか勘違いしとるかも知らんが、引きニキは「戦闘」は苦手でも「殺し」は誰よりも慣れとるし得意やぞ

 

64:名無しの悪党@荒らし活動中

非戦闘員(殺戮者)

 

65:名無しの悪党@荒らし活動中

 

66:名無しの悪党@荒らし活動中

十分なんだよなぁ

 

67:名無しの悪党@荒らし活動中

しかもアレ破壊するのは別にギフトの能力ってわけじゃないんやろ?

 

68:名無しの悪党@荒らし活動中

応用やな

 

69:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶち込まれた時「はっ?」ってなったわ

 

70:名無しの悪党@荒らし活動中

結果的にギフトの名前通りになっとるの笑う

 

71:名無しの悪党@荒らし活動中

王子くんは理論的に、勇者ちゃんは感覚で克服しそうではある

 

72:名無しの悪党@荒らし活動中

そういえばあの子魔術半日もかからずに覚えたんやった(愕然)

 

73:名無しの悪党@荒らし活動中

イかれてんで…

 

74:名無しの悪党@荒らし活動中

いまだに信じられんわ

 

75:名無しの悪党@荒らし活動中

そう考えると行ける…か?

 

76:名無しの悪党@荒らし活動中

王子くんも聖魔術即興で組み立てましてよ

 

77:名無しの悪党@荒らし活動中

っぱワイらの主人公は違いますネェ!

 

78:名無しの悪党@荒らし活動中

これが主人公補正…?

 

79:名無しの悪党@荒らし活動中

凡人にはできないことを平然とやってのける主人公の鑑

 

80:名無しの悪党@荒らし活動中

うーん、なら希望はあるんか?

 

81:名無しの悪党@荒らし活動中

微妙

 

82:名無しの悪党@荒らし活動中

なんとなく王子くんはこう言う時覚醒しやすそう

 

83:名無しの悪党@荒らし活動中

わかる

 

84:名無しの悪党@荒らし活動中

まぁ既に結果で始めてるし

 

85:名無しの悪党@荒らし活動中

引きニキの力技

 

86:名無しの悪党@荒らし活動中

逆境を覚醒で越えるのは主人公組の嗜み()

 

87:名無しの悪党@荒らし活動中

脚破壊→引きニキコール→習得

 

 

88:名無しの悪党@荒らし活動中

草なんよ

 

89:名無しの悪党@荒らし活動中

そやなぽんぽん覚えんでもろて…

 

90:名無しの悪党@荒らし活動中

なら勇者ちゃんは何がトリガーなんやろ

 

91:名無しの悪党@荒らし活動中

あの子前向きな気持ちとかよりはネガティブな方で覚醒しやすそう

 

92:名無しの悪党@荒らし活動中

何?また誰か殺す?

 

93:名無しの悪党@荒らし活動中

喜怒哀楽の怒哀やな

 

94:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ん時もそうやったし

 

95:名無しの悪党@荒らし活動中

ほな殺すかぁ

 

96:名無しの悪党@荒らし活動中

エネルギー供給しないと(使命感)

 

97:名無しの悪党@荒らし活動中

人の死はガソリンです()

 

98:名無しの悪党@荒らし活動中

燃費悪るぅ…

 

99:名無しの悪党@荒らし活動中

なんか今ちょっと前向きやしちょっとぐらい殺しても大丈夫そうやし

 

100:名無しの悪党@荒らし活動中

じゃあ誰殺すって話

 

101:名無しの悪党@荒らし活動中

正直近しい人間は序盤で殺しすぎるとなぁ

 

102:名無しの悪党@荒らし活動中

もうちょっと使い所あると思う

 

103:名無しの悪党@荒らし活動中

まだ早いよなぁ?

 

104:名無しの悪党@荒らし活動中

でも関係ない奴殺しても今更やで

 

105:名無しの悪党@荒らし活動中

それくらいじゃ揺れん

 

106:名無しの悪党@荒らし活動中

変わっちまったなぁ…(´;ω;`)

 

107:名無しの悪党@荒らし活動中

人の死を慈しむ勇者ちゃんはおらんのや

 

108:名無しの悪党@荒らし活動中

枯れたのはワイらやぞ

 

109:名無しの悪党@荒らし活動中

心捨ててからがダークファンタジーの始まりってそれ一番言われてるから

 

110:名無しの悪党@荒らし活動中

いつからダークファンタジーになったのか

 

111:名無しの悪党@荒らし活動中

そもそも勝手に勇者ちゃんの人間性を捨てるな

 

112:名無しの悪党@荒らし活動中

でもそれやったらもう殺すやつおらんくね?

 

113:名無しの悪党@荒らし活動中

いやおるやん

 

114:名無しの悪党@荒らし活動中

 

115:名無しの悪党@荒らし活動中

あー

 

116:名無しの悪党@荒らし活動中

うんまあちょうどいいかも

 

117:名無しの悪党@荒らし活動中

ほなワイらが手出さんくてええやろ

 

118:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんにやらせる感じぇ?

 

119:名無しの悪党@荒らし活動中

ぐう鬼畜で草

 

120:名無しの悪党@荒らし活動中

とりあえず引きニキに弄ってもらうかぁ…

 

121:名無しの悪党@荒らし活動中

あれそんな都合よくできたっけ?

 

122:名無しの悪党@荒らし活動中

割と融通利かんかった希ガス

 

123:名無しの悪党@荒らし活動中

それはほっぽり出しとるからやろ

引きニキもガバったら消せばええくらいにしか思ってないし

 

124:名無しの悪党@荒らし活動中

それが今回かぁ…

 

125:名無しの悪党@荒らし活動中

まあ良いんでね?

どうせ使い捨てやし

 

126:名無しの悪党@荒らし活動中

これ以上やっててもそのうちガバりそうや

 

127:名無しの悪党@荒らし活動中

じゃあ引きニキに連絡しときます

 

128:名無しの悪党@荒らし活動中

よろ

 

129:名無しの悪党@荒らし活動中

頼んだ

 

130:名無しの悪党@荒らし活動中

あの人今すげーエキサイトしてるけど見てくれるかな

 

131:名無しの悪党@荒らし活動中

wktkしとるわ

 

132:名無しの悪党@荒らし活動中

見てくれんと困るんだが…

 

133:名無しの悪党@荒らし活動中

まあこまめに確認しといてって言っとるし大丈夫大丈夫

 

134:名無しの悪党@荒らし活動中

でもこれ時間的にどうなんや?

 

135:名無しの悪党@荒らし活動中

王都の方は副隊長がなんとかしとるぞ

 

136:名無しの悪党@荒らし活動中

なんとか()

 

137:名無しの悪党@荒らし活動中

頑張ってんなー(他人事)

 

138:名無しの悪党@荒らし活動中

付き人ちゃんも統括が止めとるし

 

139:名無しの悪党@荒らし活動中

邪魔は入らんよ

 

140:名無しの悪党@荒らし活動中

ほなええか

 

141:名無しの悪党@荒らし活動中

あとは勇者ちゃん次第よ

 

142:名無しの悪党@荒らし活動中

これで無理ならもういよいよ引きニキにお願いするしかない

 

143:名無しの悪党@荒らし活動中

えーここまでやってきたのに?

 

144:名無しの悪党@荒らし活動中

ここまでやってきたからやろ

 

145:名無しの悪党@荒らし活動中

それはホンマの最終手段な

 

146:名無しの悪党@荒らし活動中

とりまワイらはワイらで動こう

 

147:名無しの悪党@荒らし活動中

王都はいい具合に荒れてまっせ

 

148:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶっちゃけ放り込んだの人間ベースだけじゃないし無限に湧くぞ

 

149:名無しの悪党@荒らし活動中

すぐ溶けるけどな

 

150:名無しの悪党@荒らし活動中

よーし張り切っちゃうぞー

 

151:名無しの悪党@荒らし活動中

おー副隊長もよー戦っとるわ

 

152:名無しの悪党@荒らし活動中

すげー

 

153:名無しの悪党@荒らし活動中

丸く収めるぞー!

 

154:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんファイト!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「———せやァッ!!」

 

 

 肉と金属の擦れる鋭い音と共にゴブリンの肉体に十字の銀線が走る。

 

 囲う木々の幹に駆けるような血飛沫が細く伸び、肉肉しい臓物が断末魔と共に溢れ落ちた。

 

 

「…魔物、多いね」

 

「異変の中心だしね…」

 

 

 剣にべっとりとこびり付いた血を振り払い、抜き身のまま剣を下ろすアリア。

 

 馬車への襲撃者をユラに任せ異変の只中にある森へと突入した二人であったが、その魔物の出現率は異常というしかなかった。

 

 個々の強さは大したものではないものの、倒しても倒してもすぐに現れる実質的な連戦を強制されるのは体力の消耗を余儀なくされる。

 

 

「これから面倒なのが残ってるかもしれないっていうのに———ねっ!」

 

 

 カローナは気怠そうに愚痴りつつ背後へ振り返り腕を振るう。

 

 同時に放たれる炎は弧を描きながら奥の茂みへと吸い込まれるように飛び、暗い闇の中で弾けた。

 

 

「グギャアァァ———!!」

 

 

 途端に着弾点から獣の叫び声が鳴り響く。

 奥から現れたのは全身を轟々と盛る炎に包まれたゴブリンであった。

 

 ゴブリンは最後の力を振り絞るように彼女達から遠ざからんとその体を引き摺るが、次第に動きは鈍くなり、遂には動かなくなる。

 

 やがて炎がフッ、と消え去れば、そこには五体を放り出した炭の塊が転がっていた。

 

 カローナはソレを冷めた目で一瞥し、アリアは顔を顰める。

 

 

「…魔術って怖いね」

 

「四分割しといてソレ言う?」

 

「ぅ…」

 

 

 中々に凄惨な一撃を披露した自身を棚に上げ、あたかも魔術が残酷なもののように言うアリアに、カローナは心外だと言わんばかりに目を細める。

 

 その視線に居た堪れなくなったアリアは目を逸らした。

 

 

「そ、それにしても、やっぱりこの森って結構深いよね」

 

「…まあ、大陸の中でも屈指の規模だしそりゃあね」

 

 

 あまりにも無理やりな話題転換にカローナは呆れつつも特に触れず、大人しくその話になってやることにする。

 

 北の森は非常に広大であり、致し方無かったとはいえたった二人での攻略というのは前代未聞である。

 

 しかし背に腹は変えられない。

 カローナが言うように、可能性がある限りアリアにデュークを見捨てるなどと言う選択肢はありはしないのだ。

 

 アリアはカローナから外した視線を森の奥へと向ける。

 

 その時だった。

 

 

「ッ」

 

 

 ほんの一瞬、ふと暗闇の遥か先、質感さえ思わせるほどに濃い黒の向こう側に何か小さく揺らぐものが見えた。

 

 遠くにあるからだろうか、種火のようにも見えるソレは小さく映れども溢れ出るように激しく揺らいでいる。

 

 そして、それは確かに彼女には見覚えのあるものだった。

 

 

「———デューク…!」

 

 

 生まれてから幾度となく目にした彼の魔力。

 彼女の視界に仄光るものは間違いなく彼の魔力であった。

 

 アリアは思わず彼の名を口にした。

 カローナは彼女の豹変した様子に戸惑いを見せる。

 

 

「どうしたの?」

 

「…今、向こうにデュークの魔力が見えたんだ」

 

「殿下の…?」

 

 

 訝しむカローナはアリアの目線を辿り、その先に目を向ける。

 

 そうして瞑想するように目を閉じ、その感覚を樹々の隙間を縫うように遠くへと飛ばす。

 

 

「…アレが殿下かな?」

 

 

 するとアリアの言う通り魔術を行使しているかのような激しい魔力の流れがその感覚網に引っ掛かる。

 

 生命の奮闘とリンクしているかのような弱々しくも熱を感じさせる魔力はとても穏やかな状況にあるとは思えない。

 

 

「…まずいね。結構弱ってるかも」

 

「なら急がないと…!」

 

「そうだね、かなり離れてるけど…」

 

 

 彼女の見解にアリアは焦燥を露わに走り出す。

 カローナも彼女に続かんと追従する。

 

 

「…?」

 

 

 しかしその時、カローナは自身の身に強い違和感を覚える。

 

 

「…何…?」

 

 

 まるで自身の中で何かが蠢いているような、痒みや痛みとは違う、むしろ感覚が薄くなっているかのような、そんな感覚。

 

 彼女はつい足を鈍らせ、そちらへと意識を向けた。

 

 

「…カローナさん…?」

 

 

 そんな彼女の様子にアリアも異変を感じたのか、着いてこない彼女に振り返る。

 

 

 

 ———瞬間、彼女の目の前に火球が現れる。

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 突然のことに反応が遅れるも、アリアは咄嗟に身を捻りそれを翻す。

 

 肌を焼くような熱が掠れるような距離を通過する。

 

 

「何が———」

 

 

 アリアは戸惑いと驚愕をその顔に浮かべ、弾かれたように火球の飛んできた方へと顔を向ける。

 

 

 そこには———

 

 

 

 

 

「———カローナ…さん…?」

 

 

 

 

 

 ———顔を蒼白にし、掌をアリアへと翻すカローナが居た。

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