【熱き戦いが】御前試合観戦スレ【今始まる】

1:名無しの悪党@荒らし活動中

さぁ今年も始まりました第一回御前試合観戦スレでございます!

 

2:名無しの悪党@荒らし活動中

第一回で草

 

3:名無しの悪党@荒らし活動中

何を恒例のように言っているのか

 

4:名無しの悪党@荒らし活動中

毎年恒例(なお開催回数は一回)

 

5:名無しの悪党@荒らし活動中

 

6:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんがんばえー!

 

7:名無しの悪党@荒らし活動中

負けるなー!

 

8:名無しの悪党@荒らし活動中

イケメン潰せー!

 

9:名無しの悪党@荒らし活動中

王子くんガンバ

 

10:名無しの悪党@荒らし活動中

期待してんで

 

11:名無しの悪党@荒らし活動中

ワイは王子くんに賭けてるから勝ってもらわんとちょっと…

 

12:名無しの悪党@荒らし活動中

お前そこは我らが主人公信じるとこやろがい!

 

13:名無しの悪党@荒らし活動中

ワイは勇者ちゃんに賭けてるからよろ

 

14:名無しの悪党@荒らし活動中

負けたら目の前で親父挽肉にして焼いて食べちゃうゾ〜

 

15:名無しの悪党@荒らし活動中

勝てー!

 

16:名無しの悪党@荒らし活動中

>>14

口では何とでも言えるんだよなぁ

 

17:名無しの悪党@荒らし活動中

イマジナリー勇者

 

18:名無しの悪党@荒らし活動中

マジで賭けに負けたら今月キツいからお願い!

 

19:名無しの悪党@荒らし活動中

当然のように成立するギャンブル

 

20:名無しの悪党@荒らし活動中

割と半々なん笑う

 

21:名無しの悪党@荒らし活動中

みんな案外勇者ちゃんのこと信じてないんよなぁ

 

22:名無しの悪党@荒らし活動中

だって王子くん強いし…

 

23:名無しの悪党@荒らし活動中

四節詠唱できんとは言えあの歳で五種三節使えるんはおかしいんよ

 

24:名無しの悪党@荒らし活動中

何歳?15?

 

25:名無しの悪党@荒らし活動中

はぁー(呆れ)

 

26:名無しの悪党@荒らし活動中

やる気無くしますわ

 

27:名無しの悪党@荒らし活動中

ワイ氏、三十年氷魔術鍛えてやっと第四節使えたナリ

 

28:名無しの悪党@荒らし活動中

これが才能って奴ですかそうですか

 

29:名無しの悪党@荒らし活動中

中庭でも使ってたよな三節

あれ多分出力自体はそのままやけど効果範囲は操作してるっぽいんよな…

 

30:名無しの悪党@荒らし活動中

才能の暴力

 

31:名無しの悪党@荒らし活動中

イケメンで天才とかラノベかいて

 

32:名無しの悪党@荒らし活動中

でも魔術極めたって言えば聞こえはええけど使い所無いで?

 

33:名無しの悪党@荒らし活動中

それな

ワイ三節二重詠唱使えるが規模デカすぎてマジで開けたとこじゃ無いと使えんし

 

34:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶっちゃけ戦わんのやったら戦式極めてもしゃーない

 

35:名無しの悪党@荒らし活動中

>>33

四節詠唱単発でも余裕で地形変わるんやから当たり前

 

36:名無しの悪党@荒らし活動中

っぱ日用魔術よな

 

37:名無しの悪党@荒らし活動中

てか真面目な話これ勇者ちゃん勝てる?

正直出力の問題云々関係なく手数で負けそうでは?

 

38:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんは勇者ちゃんで割と身体能力お化けやからええ勝負なると思う

 

39:名無しの悪党@荒らし活動中

中庭でビビっとったけど多分実際に対戦したら五分

 

40:名無しの悪党@荒らし活動中

そもそも魔術VS剣は基本剣が有利なんよ

 

41:名無しの悪党@荒らし活動中

使う魔術にもよるけどな

王子くんの得意な雷なんかは発動から着弾までが速いから怖いゾ

 

42:名無しの悪党@荒らし活動中

>>38

この二年で磨きが掛かってる希ガス

 

43:名無しの悪党@荒らし活動中

これが例えば剣聖ちゃんVS王子くんやったら初手居合で終了やと思う

 

44:名無しの悪党@荒らし活動中

剣聖ちゃんは威力ってよりかは早さと速さやからな

 

45:名無しの悪党@荒らし活動中

>>43

王子くんは純魔術ではあるけど近接並みに反射神経と身体能力が高いから普通に凌ぐと思う

ホンマやったら詠唱があるからスピードタイプには弱いんやけど王子くんは二節までなら脳内の術式構築だけでも行使できるからそのデメリットも打ち消してる感

ただ詠唱あった方が集中度合いが違うから楽なんは楽なんやけどな

 

46:名無しの悪党@荒らし活動中

こう見ると王子くん割とチートなんよな

 

47:名無しの悪党@荒らし活動中

やっぱラノベ主人公

 

48:名無しの悪党@荒らし活動中

妬ましすぎてハゲそう(怒)

 

49:名無しの悪党@荒らし活動中

ワイらの主人公は勇者ちゃんだけダルォ!?

 

50:名無しの悪党@荒らし活動中

当たり前だよなぁ!

 

51:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんは可愛い

それだけでもう既に優勝

 

52:名無しの悪党@荒らし活動中

あの顔を絶望に歪ませたいんじゃあ

 

53:名無しの悪党@荒らし活動中

大丈夫、多分もう直ぐ見れるから^^

 

54:名無しの悪党@荒らし活動中

wktk

 

55:名無しの悪党@荒らし活動中

あームラムラしてきた

 

56:名無しの悪党@荒らし活動中

変態は帰って、どうぞ

 

57:名無しの悪党@荒らし活動中

ここに変態以外がいるとでも?

 

58:名無しの悪党@荒らし活動中

悪性腫瘍の総本山

 

59:名無しの悪党@荒らし活動中

でも正直王子くんの方が主人公っぽくはあるよな

 

60:名無しの悪党@荒らし活動中

魔術は華があっていい

 

61:名無しの悪党@荒らし活動中

オレ様系主人公、アリだと思います

 

62:名無しの悪党@荒らし活動中

ちな引きニキは準備できとるって言っとったけどホンマなん?

 

63:名無しの悪党@荒らし活動中

大丈夫やで

確認はした

 

64:名無しの悪党@荒らし活動中

引きニキはその辺ワイらより上手いから

 

65:名無しの悪党@荒らし活動中

とりあえず勇者父にもバレて無いっぽいのは重畳

 

66:名無しの悪党@荒らし活動中

引きニキ偽装上手スギィ

 

67:名無しの悪党@荒らし活動中

まー多分ネキが手加えとるんやと思うわ

引きニキでも流石に勇者にバレんのはおかしいもん

 

68:名無しの悪党@荒らし活動中

それな

 

69:名無しの悪党@荒らし活動中

多分 宝具

 

70:名無しの悪党@荒らし活動中

ネキが万能すぎて草

 

71:名無しの悪党@荒らし活動中

困ったらネキ

 

72:名無しの悪党@荒らし活動中

絶対敵に回したく無い奴ではあるよなぁ

 

73:名無しの悪党@荒らし活動中

あまりにも気分屋過ぎるから味方としても扱いづらいけどな

 

74:名無しの悪党@荒らし活動中

今日もまたネキに感謝

 

75:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶっちゃけ他国におる幹部は直ぐ呼び出せへんからコレクターネキか引きニキに頼るしか無いんよな

 

76:名無しの悪党@荒らし活動中

ワイらの幹部が優秀過ぎて怖い件について

 

77:名無しの悪党@荒らし活動中

一生ついて行きます

 

78:名無しの悪党@荒らし活動中

悪の組織バンザーイ!

 

79:名無しの悪党@荒らし活動中

心臓を捧げよ!(物理)

 

80:名無しの悪党@荒らし活動中

とりあえず準備は万端ってことでおけ?

 

81:名無しの悪党@荒らし活動中

おうよ

 

82:名無しの悪党@荒らし活動中

おけおけ

 

83:名無しの悪党@荒らし活動中

ばっちこい

 

84:名無しの悪党@荒らし活動中

特等席でござる

 

85:名無しの悪党@荒らし活動中

ここ眺めいいわ〜

 

86:名無しの悪党@荒らし活動中

客に紛れてるが不自然じゃないよな?

 

87:名無しの悪党@荒らし活動中

待機中の勇者ちゃんが目の前におるわ

 

88:名無しの悪党@荒らし活動中

はえー王子くんの髪綺麗やなー(小並感)

 

89:名無しの悪党@荒らし活動中

食べたい

 

90:名無しの悪党@荒らし活動中

こうやってみるとマジで作画の違いを疑うレベルで美形やな

 

91:名無しの悪党@荒らし活動中

>>89

キッッッッッッ

 

92:名無しの悪党@荒らし活動中

刃は潰してあるんかね

 

93:名無しの悪党@荒らし活動中

っぽいな

 

94:名無しの悪党@荒らし活動中

流石にそうやろ

 

95:名無しの悪党@荒らし活動中

模擬剣とはいえ木製じゃなくてちゃんと軽い金属な辺り結構実戦に近いよな

 

96:名無しの悪党@荒らし活動中

王子くんはあの腕輪で出力制限されてるっぽい

 

97:名無しの悪党@荒らし活動中

はぇー便利

 

98:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃんの方にはつけへんの?

 

99:名無しの悪党@荒らし活動中

ちゃんと付いてるで

でも勇者ちゃんはそこまで魔力ブッパではないと思うからあんま意味ないけど

 

100:名無しの悪党@荒らし活動中

てか上流階級の頂点同士が殴り合うのを民衆が眺めるって冷静に考えると結構ヤバいのでは…

 

101:名無しの悪党@荒らし活動中

娯楽です()

 

102:名無しの悪党@荒らし活動中

風習です()

 

103:名無しの悪党@荒らし活動中

王侯貴族様は民衆のために体痛めつけてまで楽しみを与えとんやぞ

 

104:名無しの悪党@荒らし活動中

まあどんだけ痛めつけられても結局治るからええんやろ

 

105:名無しの悪党@荒らし活動中

なに?聖魔術?

 

106:名無しの悪党@荒らし活動中

死んだらどうすんねんて言う話

 

107:名無しの悪党@荒らし活動中

いや違う

 

108:名無しの悪党@荒らし活動中

この舞台自体が宝具なんよ

 

109:名無しの悪党@荒らし活動中

デッッッッッッ

 

110:名無しの悪党@荒らし活動中

宝具ってあの宝具?

 

111:名無しの悪党@荒らし活動中

そー

 

112:名無しの悪党@荒らし活動中

正確に言うと宝具+儀式

 

113:名無しの悪党@荒らし活動中

詳しく説明すると

 

宝具【闘神の円庭】

円庭の結界内にいる間、どれだけの致命傷を受けようとも死ぬことはなく最終的には全ての傷が無かったことになる。

ちな結界は乱闘でも想定されていたのか外から入ることはできるが中から出ることできない

なお、発動には特定の儀式と莫大な魔力が必要なため燃費はくっっっそ悪い模様

 

114:名無しの悪党@荒らし活動中

説明サンクス

 

115:名無しの悪党@荒らし活動中

ガチで宝具やん

 

116:名無しの悪党@荒らし活動中

やっぱ宝具ってお菓子

 

117:名無しの悪党@荒らし活動中

ネキは宝具持ってるけど厳密にはこの世界の宝具とは違うっぽいしな

 

118:名無しの悪党@荒らし活動中

王室におけよ()

 

119:名無しの悪党@荒らし活動中

王室にあったら謀殺とか無理では?

 

120:名無しの悪党@荒らし活動中

説明にあるけど燃費が悪過ぎるからそう言う運用は難しいっぽい

昔おんなじような計画があったけど頓挫したみたいやし

 

121:名無しの悪党@荒らし活動中

なお宝具とは言うものの世界各地に何個かある

 

122:名無しの悪党@荒らし活動中

帝国の大闘技場とかまんまやろ

 

123:名無しの悪党@荒らし活動中

>>120

どこまで行っても娯楽用なんよな

 

124:名無しの悪党@荒らし活動中

とりあえず楽しめればよかったんやろ

 

125:名無しの悪党@荒らし活動中

ほな安心か

 

126:名無しの悪党@荒らし活動中

民衆もわかっとるから楽しめるんやろ

勇者ちゃんも王子くんも死ぬかもしれんならそもそも開催されん

 

127:名無しの悪党@荒らし活動中

間違いない

 

128:名無しの悪党@荒らし活動中

でも一応刃は潰して出力も抑えると

 

129:名無しの悪党@荒らし活動中

念には念をね

 

130:名無しの悪党@荒らし活動中

仕方ない

 

131:名無しの悪党@荒らし活動中

女の子の四肢飛ぶような光景見て楽しめるんは一部の奴らだけです

 

132:名無しの悪党@荒らし活動中

ふーん(ワイのこととは言えんな)

 

133:名無しの悪党@荒らし活動中

だよなぁ(まさかワイがその一部とはバレてへんやろ)

 

134:名無しの悪党@荒らし活動中

いや普通にあり得んし(むしろ捥ぎたい)

 

135:名無しの悪党@荒らし活動中

塵屑ワラワラで草

 

136:名無しの悪党@荒らし活動中

殺虫しなきゃ!(使命感)

 

137:名無しの悪党@荒らし活動中

ゴミクズホイホイ

 

138:名無しの悪党@荒らし活動中

おや、勇者ちゃん達の様子が…

 

139:名無しの悪党@荒らし活動中

ホンマワイらってどうしようもないよな

 

140:名無しの悪党@荒らし活動中

準備できたっぽい?

 

141:名無しの悪党@荒らし活動中

来たか

 

142:名無しの悪党@荒らし活動中

キタァ!

 

143:名無しの悪党@荒らし活動中

始まるぜ!

 

144:名無しの悪党@荒らし活動中

はよはよ

 

145:名無しの悪党@荒らし活動中

うおぉぉ五万!勝て!

 

146:名無しの悪党@荒らし活動中

勇者ちゃん勝ってくれワイらのために!

 

147:名無しの悪党@荒らし活動中

王子くんファイ・オー!

 

148:名無しの悪党@荒らし活動中

ぶっ飛ばしちまえ!

 

149:名無しの悪党@荒らし活動中

さあ盛り上がってまいりました!

 

150:名無しの悪党@荒らし活動中

>>145

そこそこ少額で草

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうとうか…。」

 

 

 これから始まる戦いを前に、デュークは一人そう呟いた。

 

 思えば過去に様々なことで競ったことはあれど、アリアと真正面からこうして戦うと言うのは初めてのことかもしれない、と感慨深そうに耽る。

 

 デュークにとってアリアという少女は理不尽な程に天から才を与えられた存在であった。

 

 何をするにしても恐ろしい程に物覚えがよく、苦手と称することでさえ数日あればモノにしてしまう。

 

 聞けば使えるようになったと言う魔術もたった数日の内に覚えたと言うではないか。

 自身も幼い頃同じ様なことがあったとは言え、ある程度成長してもなおその吸収能力を遺憾なく発揮するのは嫉妬を通り越して呆れてしまう。

 

 

「まあ、まだオレの方が上だがな…」

 

 

 だがそれでもこちらが卑屈になれないのは単に彼女の直向きさにあるのだろう。

 

 どんなことでも全力で取り組み、己の足りない部分を必死に補おうと努力する。

 疑問を感じたなら誰が相手であろうと教えを乞う。

 

 例え殆どの能力で優っていたとしても、一つでも己より優れた面があれば敬意を持って接する。

 そしてそれは相手が平民であろうと変わらない。

 

 デュークはそう言った部分も彼女を天才たらしめる一面であると思っている。

 

 人として、英雄として殆ど完成されている様な人間。

 それが彼にとってのアリア・アルブレイズなのだ。

 

 

「…せめて魔術はな…」

 

 

 しかしだからこそ、己に与えられた才を持って彼女を超えたい…否、追いつきたい・・・・・・

 

 天才が相手だからこそ、負けたくない。

 

 

「———デューク様、魔力が漏れ出していますよ」

 

「ッ!」

 

 

 グッと拳を握り込み、昂る感情に任せて魔力を滾らせていた彼の背後からヌッ、と顔を出す人物がいた。

 

 

「…ユラか」

 

「ええ、ユラです」

 

「客席に居ろと言ったはずだが?」

 

 

 ユラと呼ぶその女性に咎める様な鋭い視線を送るデューク。

 しかし当の彼女はどこ吹く風であった。

 

 

「大変申し訳ございません。しかしどうにもデューク様が緊張なされている様に見えましたので…」

 

「御前試合なんだ、緊張くらいするだろう」

 

「ええ、ですから私が居ないと駄目なのかなぁ…と」

 

「命令だ、客席に戻れ」

 

 

 ふざけたことを抜かす彼女にノータイムで退却命令を下す。

 

 

「全く…そんなに楽しみだったんですね、アリア様との試合」

 

「白黒ハッキリつけるいい機会だからな。前々からあの馬鹿には灸を据えてやりたいと思っていたところなんだ」

 

「最近会えてませんでしたからね、寂しかったんですね」

 

「帰れ」

 

 

 無表情でそう言う彼女はこちらを揶揄っているのか本心で言っているのかイマイチわからない。

 

 ただデュークはその立場や才能の高さから同年代の友人と呼べるものもそう多くはないのもまた事実であり、対等に話せる存在といえば真っ先に上がるのはアリアである。

 

 決して孤独に安らぎを覚える様な感性をしているわけでもないデュークにとって、数少ない友人とのコミュニケーションは確かに憩いの時間とも言えるかもしれない。

 

 そう言った意味では彼女の言うこともあながち間違いではない。

 

 本人は絶対に認めないが。

 

 

「まあまあ落ち着いて下さいデューク様。ほら、私のリラクゼーション効果で緊張も解れてきたでしょう?」

 

「むしろ変に力が篭りそうなくらいには調子が崩れた気がするな」

 

「…そうですか」

 

「…なんだその眼は。まさかよりにもよってオレが悪いと言いたいのか?」

 

「…まあ…」

 

「そうか、よし打首だ」

 

「お待ち下さいデューク様、部下の戯れに付き合うのも立派な上司の勤めではないでしょうか?」

 

「それはオレが言うことであって決してお前が言うことではない」

 

 

 とても王子と部下のするとは思えない会話に周囲の衛兵達も思わず苦笑いする。

 

 これでユラが咎められない辺、どうやら茶飯事な光景である様である。

 

 

「はぁ…もういい。さっさと元居た場所に戻れ」

 

「私が居なくても———」

 

「衛兵」

 

「はッ!」

 

「あ、ちょっと———デューク様、御健闘を———!」

 

 

 そう言い残し衛兵に両腕を掴まれ引き摺られてゆく付き人に目もくれず、しかし気疲れからため息を吐くデューク。

 

 

「…試合が始まってもいないのに何故こんなに疲れるんだ」

 

 

 割と本気で彼奴をクビにすべきか悩んだ。

 

 

「それではこれよりアリア・アルブレイズ様とデューク・クラディアス殿下による御前試合を開始する!」

 

 

 そうこうしているうちに審判による開催の声明が会場に響き渡る。

 

 同時に会場内の喧騒が一瞬にして引き、まるで人っこ一人いなくなったかの様に静まり返る。

 

 デュークは審判の合図と共に目の前の舞台へと足を踏み出した。

 

 一歩一歩と進む度、彼女との戦いがもう直ぐ目の前にまでやって来ていることを自覚する。

 

 

「…ハハッ」

 

 

 自然と口角が上がる。

 どうやらユラの言っていた通り、己は思った以上に今日という日を楽しみにしていた様らしい。

 

 石階段を登り切り円庭へと踏み込む。

 向かいを見ればアリアも同様にこちらを見ていた。

 

 

「ッ」

 

 

 闘志に満ちた視線がデュークを射抜く。

 

 中庭では己の魔術に慄いた様子を見せており期待を削がれたものの、どうやら杞憂だったようだ。

 

 今目の前にいるのは、いつもの陽気な少女ではなく一人の戦士であるということを理解させられる。

 

 

「両者前へ!」

 

 

 端から聞こえてくる審判の掛け声に合わせて両者が数は前へと進み、その距離を詰める。

 

 お互いの間合いスレスレの、そんな絶妙な距離。

 

 

「…やっとだな」

 

「そうだね」

 

 

 そしてお互いの声が拾える距離でもある。

 

 二人は視線を絡ませる。

 その瞳に映り込むモノに緊張はあれど不安はない。

 

 つまり両者の戦気やる気は十分ということでもある。

 

 

「両者、一人の戦士としての誇りを胸に…構え!」

 

 

 二人は各々の構えを取る。

 

 剣士アリアは自然体で柄に手をかけ、魔術師デュークは脳内で術式を組み立てる。

 

 会場は未だ沈黙に支配されている。

 

 まるで火のついた導火線が短くなって行くのをただ待つように。

 

 審判がゆっくりと手を掲げる。

 

 

「…」

 

「…」

 

 

 そうして———

 

 

 

 

 

「———始め!!」

 

 

 

 

 

 ——— 戦いの幕は切って落とされた。

 

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