第15話 世紀の大発表
報道各社に通達していた時刻となり、エディとエインは舞台に上がった。
「レディース&ジェントルメン!! ようこそ、世紀の大発表会へ!! 諸君たちは、今日、歴史の目撃者となる!!」
用意されていたマイクとスピーカーを通して、エディの口上が一帯に広がる。
「Mrトンプソン!! いったい何なのですか!? その世紀の大発明というのは!?」
最前列にいた報道員の問いに、エディは威勢よく答える。
「御託は無用だ!! さっそくお目にかけよう!! これが俺たちE&Eの一世一代の大発明だ!!」
エディが合図し、裏方の作業員が計器から突き出た大きなレバーをガシャンと下ろす。
全ての機械類が重々しい駆動音を上げ、円環の中に光の粒子が集まり始める。
やがて粒子は渦となって加速し、円環からはみ出るように蒼い光の半球となった。
「なんだ?」
「あれは……いったい?」
「御両名!! ご説明を!!」
見たこともない現象に、報道員たちは口々に叫ぶ。
「いつの頃からかこの世界には“転生者”と呼ばれる人間達が現れるようになった」
エディは厳かな声で語り始めた。
「この世界よりもはるかに科学技術の進んだ“
エインが続ける。
「その世界の在りように大きく影響を与えた偉人達の記憶が次元を超えてこの世界の在りようにも大きな影響を与えてきた」
エディとエインは交互に、この世界に起きるようになったその不可思議な事象について語っていく。
「“偉人の記憶”は一国の国力を大きく増大させる」
「諸君もご存知のとおり、各国は“転生者”を見つけだし、技術供与させることに躍起になってきた。だが……」
そこで一拍置き、エディは不敵な笑みを浮かべて聴衆に問いかけた。
「もし、転生者の記憶などというまどろっこしいことなどせず、“彼の世界”に直接行くことができたとしたら?」
その場にいた聴衆の全てが、その意味をすぐに理解した。
もし、そんなことができたとしたら……
この世界よりはるかに進んだ科学技術が無限に手に入る……
「そう、我々は“彼の世界”に行くゲートを作り出した!! それがこれだ!!」
エディは大仰な動きで、円環からあふれる光を手で示した。
聴衆は激しくどよめいた。
「異世界転移……」
「もし、それが本当なら、世界初の異世界転移だ!!」
「もう、すでに成功しているのですか?」
「人体が通過して害はないのですか!?」
「お二人は、もう“彼の世界”に行かれたのですか!?」
聴衆の問いにエディとエインは交互に応える。
「俺たちはまだ“彼の世界”には行っていない」
「現時点で、このゲートを通過した人間はいません」
「だが、この前人未到の旅に、一人の科学者が名乗りをあげた!!」
「ご紹介しましょう」
二人は円環の周りに組まれた立方体状の櫓の上を手で示した。
そこには、いつの間に一人の少年が立っていた。
二人はその少年の名を聴衆に伝えた。
『オーウェン=ハイム=ロバートソン!!』
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