第7話:ヒマ・・・退屈。

シュリエルは麻美子まみこちゃんが出してくれた朝食を食べてながら言った。


「美味い、これ・・・まじこで美味しい・・・」


「そうよかった、気に入ってくれて」


「あなた、総一郎そういちろうさん、なにジロジロ見てるの?この子に失礼よ」


「あ〜・・・ごめんごめん・・・あはは」


「笑ってごまかさない」


「おじさん、私が珍しい?」


「おじさん?」

「おじさんじゃなくて・・・総一郎・・・そ・う・い・ち・ろ・う」

「それが僕の名前ね、で、ついでに言うとしゅーの父親」


「君が珍しいってわけじゃなくて君みたいなね・・・」

「なんて言うか若い女の子が家にいると、ちょっとドキドキするかな・・・」

「あ〜いやね、うちはしゅーひとりだから娘がいないもんだからね」

「いたら、もしかしたら君くらいかなって思って・・・」


「ふ〜ん、シューちゃんは一人っ子なんだ・・・」

「あ、おじさん、じゃなかった・・・ソウイチ・・・?」


「そういちろう・・・」


「ソウイチロウさん・・・私、名前シュリエルって言ってサキュパス、

悪魔なんだけどちっとも怖くないからね、むしろキャパゆいって思って」


「キャパゆい?・・・はあ・・・しかも悪魔ねえ・・・」


「ソウイチロウさんがこの家の親玉さんでしょ?」


「親玉って言うか、主人だけどね、麻美子ちゃんの尻に敷かれてても

一応ね・・・」


「私、当分この家にお世話になるつもりだけど、いいでしょ?」


「ああ・・・それはいいと思うけど・・・ってか僕は君に対することに

決定権ないけど・・・」


「やっぱり親玉なんだ?」


「そうだね、それを言うなら親玉は麻美子まみこちゃんのほうかな」


「あなた・・・なに言ってるの?」


「冷静に判断してのことだよ」

「ところでさ、シュリエルちゃんは悪魔って言ったけど、それコスプレ?

コスプレイベントとかに出るの?それともどこかの店のバイトとか?」


「コスプレでもないし・・・バイトでもないよ」

「まんま悪魔だよ・・・ったく・・・ソウイチロウ悪魔知らないの?」


「ん〜〜〜〜本とか雑誌とかの絵とかイラストでしか見たことないけど・・・」

「そう言った類のもののけには会ったことないね」


「もののけってなに?」


「もののけは、もののけ・・・魑魅魍魎、妖怪、化け物」


「私は化け物じゃないから・・・」


「あ、ごめん可愛い悪魔なんだよね・・・でもさシュリエルちゃん、こっちの

世界に来たってことは何か深い事情がありそうだね」


「深い事情なんかないよ、私はシューちゃんを送って来ただけだよ」

「ソウイチロウ、ちょっとズレてるよ」


総一郎は思った。

人間以外でも若い子とコミュニケーションを取るのは難しいなって。

とくにKYなおじさんには難しい。

普通の人間には悪魔なんて言っても伝説や神話の中だけの話だから・・・。


学校へも行かない仕事もしない・・・家でプラプラしてるだけ

ここでは自分がする仕事もないし、しゅーの家族に迷惑なのかなって

シュリエルが・・・思うわけがない。


だけどしゅうの家は平和で明るくて素敵な家族だってシュリエルは思った。

他人でも誰かがそばにいてるくれるって幸せなことなんだって・・・。

だからシュリエルは麻美子ちゃんの後ろを金魚のウンコみたいについて回った。

で、麻美子ちゃんを質問攻めにした。


人間の世界のことなんか、あまり知らないシュリエルだったから麻美子ちゃん

の言うことやすることに興味を持った。

だけど、やっぱりしゅーがいないとシュリエルは退屈だった。


「麻美子ちゃん、シューまだ帰って来ないの・・・退屈・・・」


「シュリちゃんヒマならスーパーにお買い物に行ってくれない?」


「いいけど・・・スーハーってどこ?」


「スーハーじゃなくて、スーパー・・・スーパーマーケットって言うの」


まあ、人間界に来るのが夢だったシュリエルだったけど、どこかへ行きたい

って思ってもしゅーがいないと不安だった。

一応、向こうの世界でも学校や買い物にはバスに乗ってたんだから行こうと

思えば行けるんだけど・・・シュリエルはしゅうと一緒に買い物に

行きたかった・・・要はシュリエルはしゅうに甘えてたんだな。


つづく。


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