第11話 魔術師殺し その4
戦力を想定しても此度の魔術師が持つ力は軍隊にも等しい。水銀は形態変化でしか副次的な役割を持たせる事は出来ないが、副次的な役割をなんでも選べるという強みがある。刃物に形態変化させれば戦車ぐらいはバラバラに出来るだろうし、鞭やバンカーに形態変化させればシェルターを抉るぐらいは容易い。事実、事件被害者は後者で肉体を抉られたと思っていて良い。
次に戦術の想定だが、水銀魔術は形態変化以外が出来ない特性が強みであり弱みであるので奇襲に限定されると判断した。対峙してのバトルには不向きだ。これは操作系魔術師に共通しているとも言い切れる。
魔術師自身の戦闘力は。
多分、サラリーマンと大差ない。
本体が水銀だとさえ表現出来た。
だから、“誰が魔術師なのか?”さえ解明すれば勝利条件を満たせる。痕跡も証拠も残してはならない暗殺にはなるが、既に何をイメージして殺すのかは“教授”にも伝えておいた。
「ふむ。それならば確実だ。魔術師の最期に相応しい。でも、一瞬でイメージなんか出来るのかい?」
「焔をイメージしてぶつける技もありますし、氷柱をイメージして突き刺す技もありますし、なんとかなります」
「……最強なんじゃないか?その、力は」
「でも三秒で消えます。相手の内臓に直接イメージとかも出来ません。イメージは“ボクの視界内にしか喚べない”のが大前提です。いや、魔術師が腹引き裂いてくれたら内臓に金属片をブチ込むのは可能すけど」
「そんな面白魔術師だったら好かったけどね」
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