第2話 超能力と魔術 その1

 平成四十五年。

 “特定学術研究支援国家”に日本が参加。

 世界的に伝統技術や文化が喪失していく事を懸念した当時の国連教育科学文化機関は人類学の標本として研究者の受入れと保護を世界中に呼びかけた。国際的な発言力に乏しい日本は我先に参加を表明。結果として地球上の全ての研究者、つまりは『魔術師』が小さな島国に押し寄せる事になる。

 そして日本は破壊された。

 文化を護る筈が。

 文化を喰われたのだ。


 十二年後。

 年号変わり、若草八年。


 警察では魔術師が起こす犯罪に対応が難しいとし、オカルトを扱う宮内庁内部に“対魔術師特務機関”が設立。日々、魔術師の対応に追われている。


 誰が悪いって国連が悪い。

 誰が悪いって日本が悪い。

 

 だが犯人探しをしたところで現状打破に繋がるわけでもなく、現状は進行形で悪化するばかりだ。

 病巣のようだった。

 日本を蝕む。

 なら、話は簡単で。


 摘出すれば良いだけなのだ。

 病巣と膿を。

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