第3話 チュートリアル?
取り敢えず、現状確認から。
えーっと、俺は転生したって事でいいよな。
14歳とか言ってたっけ、確かに体が軽い気がする。
よくある異世界転生の話だと、ステータス表示とか鑑定とか、便利過ぎる機能が備わってたりするものだけど、どうなんだろう。
「えっと……ス、ステータス」
……何も起こらないようだ。声に出して恥ずかしい思いしたのに。
鑑定とかも試さないと、っていうか、何か目に能力があった気がするな。
接続の魔眼だったっけ。
っていうかなんてネーミングだよ、これ絶対攻撃じゃないかな。
相手の精神に何かを接続して攻撃するみたいな?
いや、それだと精神操作? もしかして乗っ取れるとか?
使い方わかんないけど。
取り敢えず見るともなしに周りを見てみる。
ここはどうやら、森みたいだ。
青々とした背の高い木々がひしめいていて、足元の土はちょっと柔らかい。
原生生物にはまだ遭遇してないけど、油断はできない。こっちには武器も何もないし、そもそも野生の生き物と格闘で戦って勝てるなんて、アニメのキャラクターくらいのもんだ。
っていうか、ここの生物って俺の知ってる生物なのかな。ドラゴンとかファンタジーな生き物出てきたら、武器がどうとか以前に絶望なんですけど……。
うーん、そもそもここの植物も俺の知っている植物なのかなあ。
そう思って立ち並ぶ木々を見ていると、一瞬何か文字のようなものが視界に映った気がした。
「もしかして、鑑定!?」
やった、と思って手近な木に視線を向け、集中する。
すると、文字が浮かび上がってきて──。
『なんらかの木』
いや、それはわかっとんねん。
何の木かを聞いとんねん。
その後も、色んなものを集中して見てみるけど。
『なんらかの草』
『なんらかの葉』
『なんらかの枝』
だめだ、これは役にたたない……。
見ればわかる事を活字にされても困るんですが。
まあ、けれど、なんとなくこれが左目の能力だって事がわかった。
何故わかったかというと、右目を瞑って集中すれば活字が見えるけど、左目を瞑ると出てこないからだ。
だからってこの能力になんの意味があるのかわかんないけど。
はぁ、お腹すいたなぁ。
っていうか、俺、なんか考えというか、感性が若い気がする?
若いころは小さな事に感動したり、傷付いたり、驚いたり、恥ずかしくなったりしたけど、歳を重ねるごとに何が起きてもあまり心が動かなくなって。
気が付いたらほとんどの事がどうでもいいとか思うようになったりして。
でも今は小さな事でも心が動いて、わくわくしたり、どきどきする気がする。
これって、肉体が若返ったからなのかな。
そう考えると、人格とか思考とか、脳は肉体に引っ張られて形作られていくのかな。
「そっか。つまり前の俺は死んだって事か」
そう考えると、感慨深い気がする。
特にやり残したことなんてないし、人生をやり直したいって何度も思っていたけど、悲しいような、惜しいような、不思議な感じ。
いや、やめよう。
こうなったら、やり直そう。
折角生まれ変わって、新しい世界に来たんだ。
前の人生ではコミュ障で色々躓いたけど、今度はしっかりやるぞ!
めざせ! 円滑なコミュニケーションで楽しい人生!
そうして意識を新たにする俺。
でも、コミュニケーションとる相手が居ない森スタートなんだけどな!
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