第5話 side母

ああ、まただ


今日もご飯に毒が混じっている


私がこれを食べないとあの子が何をされるか分からない


こんな私があの子にできることがこれしかないなんて


リュミエール家に嫁いでから私は散々な目にあっていた


私は実の家族からは道具として凸がされた


あの人との間に生まれた子供達は公爵家を維持させるため産まれたらすぐ引き取られてしまう


けれど公爵は末娘…女には興味が無いのか手元にはあの子…セレネだけが残った


可愛くてしょうがなかった


そして同時に懐かしさも感じていた


けれどここの使用人達は平気であの子を邪魔者扱いをしていた


私も含めて


日に日に弱っていたらいつからかあの子は夜にバレてないとでも思っているのか珍しい光魔法で


『どうかお母様が健康になりますよう、守護神様 母をお守りください』


と魔法を毎日少しずつかけられ続けていたらすっかり元気になったのだ。


そして私は見てしまったのだ私の護衛騎士を追い払っているところを


よく見たら血?がついていて私はゾッとした


あの子の目が全く笑っていなかったのだ。


目は笑っていなかったのに口は笑っている


私は思ったのだ


あの子がいつか力だけで解決するような子になってしまうのではないかと


けれどこれは私のためなのだと瞬時にわかった


聞こえたのだ


『次、私の母を侮辱したら貴様らの命は無いと思え。これは警告だ直ちに出ていけ』


そして私は忘れていた記憶を思い出した


あの子の一言で


『…また、私を置いて行ってほしくないの』


あの子の部屋に行こうとした時その言葉で私の脳内に沢山の記憶が流れたのだ


……ごめんね、いつの間にか私はあの子を追い詰めていたのね


まだ12歳の貴方を置いていってしまった愚かな姉を許してちょうだい


あの子は前世からしっかりしていて大人びていたけれど私と二人きりだと子供らしい態度をよく見せてくれた


親には恵まれなかったけど妹には恵まれて私の生きがいでもあった。


ただねひとつ許せないことがあるの


その力を振るうことで貴方が傷つく姿をあまり見たくないの


だから違う反撃の仕方を教えないと


前世を思い出した私は今世の苦労もあってか精神的攻撃だけは得意なの


だから私はあの子に少し説教じみたことをして前世の記憶を思い出したことも話した


そしてセレネに今まで苦労かけた分使用人達のことは任せてと言った


そして新しい使用人が沢山来たことを伝えた


ただ一つ伝えてないことがある


私が今まで弱っていたのは毒が盛られてたらしく(新たな騎士によっての情報)

そのことだけは伝えなかった


伝えてしまったらあの子はとんでもない悲劇を起こす可能性があった


あの子はあの人の血を継いでしまったからなのかあの子は邪魔だと思ったものは直ぐに排除する癖がある


もし伝えていたら屋敷の全てが赤くなっていたことだろう

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