スレッドの様子
*
【俺達の】ワズキスレpart12【安置】
861:名無しのリスナー
この前のユズルチコラボ見た?
862:名無しのリスナー
かなりよかった 久々に二人きりだったけど、相変わらずのド安心感
863:名無しのリスナー
ルチカだけじゃなくて女性ストリーマー全員に安牌扱いだよな
864:名無しのリスナー
さすがは「絶対に燃えない男」
865:名無しのリスナー
思ったんだけど……「姉貴を抱きしめていいのは俺だけだ! 俺を抱きしめていいのも姉貴だけだ!」が名言として探索者wikiに掲載されている某シスコンは男じゃないの?
867:名無しのリスナー
う〜〜〜ん
868:名無しのリスナー
どっちにしろ姉以外眼中にないからな
869:名無しのリスナー
男前ではあるが、ワズキとは別の意味で角を折られずに済むんだよな
870:名無しのリスナー
対してワズキは男であるということを前提とした安心感っつーの? メサイアコンプレックス持ちと思しきとこもあるし、ルチハナに変なことなんてやるやらない以前に出来なさそう
871:名無しのリスナー
ぽまえら当たり前のようにワズキを聖人扱いしてるな
872:名無しの信徒
聖女のようなルチカの隣にいられるのは聖人でしかないだろjk
873:名無しの信徒
ファンネが信徒になって怒られが発生するのも遠くない希ガス とか打とうとしたら既に信徒に変更してるアホおりゅ! ワイもやろう
874:名無しの信徒
そんで次スレは【安置】が【聖人】になってるんだな スレ民の団ケツでワズキを困らせようずw
875:名無しの信徒
つ【迷宮攻略】怪物の迷宮を攻略します【wルチカ/ウミ/ハナ】
時間的には二時間と少し経った頃だったと思う ルチカに聖人呼びされて状況を知り、「実際にある信仰を軽視しかねないのは……いえ光栄ではあるのですが……やはり……」とかなんとか苦言とまではいかないけどモニョモニョしてるぜ 切り抜きマダー?
876:名無しの信徒
ネットとかしたことなさそう(悪口)
877:名無しの信徒
あんまりに良い奴過ぎてプロレス出来ないのが難点だよな
878:名無しの信徒
……まあ……。女オタクが何にでも「かわいい」しか言わないの馬鹿にしてたけど、聖人には「いいぞ」「そうだな」「うんうん」「ありがとな」しか言えない あいつらもこういう気持ちなのか……?
879:名無しのリスナー
でもプロとばっか絡んでて下心透けてんじゃん
880:名無しの信徒
?
881:名無しの信徒
した……ごころ……??
882:名無しの信徒
始まりはルチカスレだったけど、今はアマチュアとも絡んでる むしろアマチュアとの絡みのほうが多いよ お前半年前からタイムスリップしてきたんか?
883:名無しの信徒
もしかして:隠し撮りの犯人
884:名無しの信徒
うわマジだ、ID同じで草
885:名無しの信徒
お前いつも噛み付いてくるよな
886:名無しの信徒
無視でオケ
つーかショーパン破けたときのルチカ見た? ワズキにバレないように内心恥じらっててカワイイ 安定の聖人さんはふとももよりもモンスに釘付け……ウマウマ……
887:名無しの信徒
カプ厨は出禁です。
888:名無しの信徒
でも俺もそこ気になってた 一瞬カメラ揺れたけど、あれたぶん隠そうとしてくれてたよな?
889:名無しの信徒
素行良すぎ
890:名無しの信徒
これが聖人か〜
891:名無しの信徒
そろそろ案件とか来そうだよな、ガチで
*
“帰還石”に触れた瞬間、強烈な光で目を灼かれる。柚希とアマチュア迷宮配信者達は揃って顔の前に腕を出して激しい夕陽から視界をガードした。
「っはー、太陽が眩しいっス!」
言いながらトレードマークであるサングラスをかけたのは、柚希と同じくらいの時期に配信活動を始めた新人のナルサワという男だ。大学生らしい。柚希も頷きながら、日陰になっている買い取り場に急ぎ足で向かった。
二人の後に、大盾を持った恰幅のよい年齢不詳顔の成人男性が続く。彼も本日のパーティメンバーだ。柚希はいつか彼と熱いソシャゲ談議を交わしたいという叶わぬ願いを秘めていたりする。
「自分弱すぎ……“レベル99の壁”の前に体力筋力精神力の壁にぶち当たるでざる……」
“レベル99の壁”。それは、スキルを限界まで取得・習熟した者の才能の壁について、レベルというゲーム用語で比喩した言葉だ。探索者の真の実力は『ユニークスキル』で左右される。それが大多数の迷宮学者が掲げる持論であった。
お祭りの屋台をもう少し頑丈にしたような造りの買い取り場は、夕方というのもあって、かなり混み合っている。人が自分にぶつかるたびに頭を下げる柚希をナルサワが引っ張り、恰幅のよい成人男性の空けた最語尾の空間に並ばせた。二人は歳上なだけあって
四半刻ほど順番を待って、ようやく「お待たせいたしました」と窓口が空く。柚希達はマイナンバーカードを提示し、レジの形をした魔導具に読み取ってもらう。するとタブレット型の画面に、素材の時価と実際に買い手(窓口)が申告している売却値が隣接して表示された。今はポーションの時価がかなり高いようだ。具体的に言うと、一本売るだけでカフェで一杯飲めるくらいの価値がある。しかし窓口の値段はそれほどでもない。これは売らずに取っておくか、別の窓口を探すか、そのどちらかにするのが良さそうだ。
柚希達はそれぞれ魔石や魔獣の素材、迷宮の壁に突き出た特殊な鉱石、たまに見つかる宝箱の中身などを窓口に出した。そして窓口の人が最低限の鑑定──スキルではない──を行なうのを待っていると、隣の窓口から「はあ!?」と客の怒鳴る声が聞こえた。
「クソッ、騙したな……!」
柚希は両手を組んで指をぎゅっと握った。他人の困り事に首を突っ込む
それでも罵声の方を窺い見ると、思っていた光景とは違っていた。
「騙してないですよ。いつもみたいに買っただけじゃないですか」
半笑いの、人を見下す声音。窓口の細身の男性は低ランクポーションの瓶の口を弄ぶようにつまんだ。彼を睨む浮浪者のような外見の探索者は視界にすら入れず、その後ろで怪訝な顔をしている人達をちらっと見て「後ろにもお客様がいらっしゃるんですけど」と困った顔をする。
「てめっ……!」
浮浪者のような探索者は窓口の男性に手を伸ばしたが、レジの置かれた台の中腹ほどで見えない壁のようなものに弾かれた。あれは魔導具による効果だ。荒くれの探索者から、窓口の人のような外部の者が痛めつけられることを防ぐための。窓口の男性が口端を歪める。
浮浪者のような探索者は、台の上のポーションをじっと見つめてから、「……チッ」と舌打ちして立ち去った。窓口の買い手は、瓶を細い腕で囲うようにして「次の方ー」と白々しい笑顔を作る。
「──代金はこちらになります」
目の前の窓口の人にそう言われ、柚希はハッとなって自分の分のお金を頂戴した。今日はナルサワ達に合わせて浅いところに潜っていたから、いつもよりも少なめの額だ。彼らと混み合った列を抜ける。
強ければ強いほど儲かる。それが探索者だ。配信がメインの企業系が台頭する前は、そういう豪の者をプロと呼んでいたらしい。だがそうして儲けた金で生活出来る人に「プロ」と名がつくということは、そうでない者が大多数であるということだ。あの浮浪者のような探索者もその一人なのだろう。
広場の出口のバーを腹で押して出る。「じゃあこの辺で」と軽く会釈し合って解散しようとしたとき、ぽつ、と頬に冷たいものが触れた。瞬きして空を見上げる。赤みがかった空はいつの間にか厚い雲に覆われ、細い線状の雨が降り出している。神の唸りのような遠雷も聞こえる。
「そういや台風が来るってニュースで言ってましたね」
「つーか梅雨じゃないスか?」
「このへんはコンビニもないですぞ……」
迷宮は得体のしれない存在だ。そのため、迷宮の周辺地域は危険区域に指定されており、昔から住んでいる家や神社などの他に移ることが難しい拠点でない限りは、区域の外へ移転させられている。
柚希の家も残留組と呼ばれる居残り家屋のひとつだ。祖父母の代では地域行政だかとの諍いが絶えなかったそうだが、柚希が生まれてからは半ば見捨てられ、移転の話は誰の口にも上らなくなっている。柚希はというと、学校は遠いし、コンビニエンスストアが付近にないせいでギフトカードを手軽に買えないので、祖父母に良い印象がない。彼らは既に亡くなっているのだけれども。
「なら、僕の家に来ますか?」
前述の通りだから、一駅以上離れたコンビニに着く頃にはずたずたに濡れているだろう。ならばコンビニよりは近いところに建つ柚希の家で、風呂と洗濯機、あとは傘を貸して帰してやった方がいい。
「そそそそんな! 聖人様のお家なんて畏れ多いっス!!」
「拙者達は濡れ鼠になって然るべき人間。デュフ……妄想が捗りますがここは遠慮させて頂く所存ッ」
「ええ……?」と柚希は純粋に困惑する。彼はキョロ充であるせいでオタク友達がいないので、そういう謎の卑屈ノリがわからないのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。