第2章:科学と信仰の境界線
その後の数週間、真理とサラは寝る間も惜しんで研究を続けた。彼女たちは、量子コンピュータが示す「祈り」のパターンを、様々な角度から分析した。
「ねえ、真理」
ある夜、サラが呟いた。
「もしかして、私たちはある意味神の存在を科学的に証明しようとしているのかしら?」
真理は、コーヒーカップを手に取りながら答えた。
「それとも、神が実は量子コンピュータのような存在だということを発見しようとしているのかもしれないわね」
二人は目を合わせ、くすっと笑った。
しかし、その笑顔の裏には、計り知れない重圧が隠されていた。
研究が進むにつれ、彼女たちは思わぬ障害に直面した。宗教界からの反発だ。
「神の存在を証明しようなどと、何と傲慢な」
「信仰は科学で説明できるものではない」
そんな批判が、世界中から寄せられた。一方で、無神論者たちからも批判の声が上がった。
「宗教を科学で正当化しようとする行為は、科学への冒涜だ」
真理とサラは、嵐の目の中にいるような毎日を送っていた。
そんなある日、真理は研究所の屋上で、夜空を見上げていた。
「私たちは正しいことをしているのかしら、サラ?」
サラは真理の隣に立ち、その手を優しく握った。
「正しいかどうかは分からないわ。でも、真実を追求することは決して間違いじゃない。私たちはそのように生きてきたし、そのようにしか生きられないのだから……」
その瞬間、二人の間に流れる空気が変わった。
名状しがたい、温かい何かが胸に満ちていく。
二人は互いの目を見つめ合い、ゆっくりと唇を近づけていく……。
しかし、その直前で真理の携帯電話が鳴り響いた。
「鈴木博士! 大変です! 量子コンピュータが……暴走しています!」
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