第7話 じゃあもう一回試してみる?
「菜由、タオル巻かれてたら背中洗えないよ?」
「あぅ……」
「はいはい。邪魔なものは取り払っちゃいましょうね~」
「ぁっ……」
菜由の体を隠していたバスタオルは光の手によってあっさり取り払われる。
現れたのは一糸纏わぬ肌色。
菜由は慌てて両手で隠そうとするが、小さな掌二つで隠せる面積なんてたかが知れている。光は菜由の肢体を上から下まで満足そうに眺めてから、やがて満足したような笑みを浮かべた。
「んふふ。菜由の体、たくさん私の痕がついててめっちゃエロいね」
「え……?」
よくよく見てみれば、二の腕やお腹、太腿や脇腹など、十カ所以上もわかりやすく赤く丸い痕がびっしりと付いていた。
菜由の顔はみるみる赤くなっていき、同じく裸で目の前に立っている光の肩に両手を置いて意趣返しにゆさぶる。しかし、ゆさぶる度に目の前の大きな双丘が激しく弾んで、あまり無い部類の菜由は更に深手を負い、手を止めて力なく俯いてしまう。
「……なんて世界は残酷なんだ………」
「な、菜由……?ハッ……!だ、大丈夫だよ、菜由!私、菜由のちっちゃいおっぱいでもすごい興奮するし、形も色も綺麗だから小さくても大好きだよ!!」
「……ほんと?」
潤んだ瞳で上目遣いに見上げる菜由に光はごくりと生唾を飲み込む。吸い寄せられるように再び顔を近付けていくが、直前の所で菜由は自身の体を守るように抱いて光から距離を取る。
「だ、駄目っ!これ以上されたら私の体絶対おかしくなっちゃうから!!それに、体中真っ赤になって大学行けなくなっちゃう!」
「いいじゃん。いっぱい気持ち良くなって、おかしくなっちゃお?」
「やだ!だって光ちゃん、私が『やめて!』って言っても止めるどころかもっと攻めてくるし、私ばっかり恥ずかしい思いさせられるし……」
「だって菜由ってば、『やめて!』って口では言いながら『もっと激しくして』って表情で見てくるんだもん。それで激しくしたらもっと蕩けた顔して全然抵抗してこないし、菜由ばっかり受けなのは菜由が生粋のネコちゃんだからしょうがないと思うにゃあ」
「ねっ、ネコじゃないっ!!」
「ふーん。じゃあもう一回試してみる?」
「んっ……待っ、ちょっと……」
裸のまま体を近付けられて脇腹と背中を撫でられると、さっきのことを思い出して勝手に体が準備を始めてしまう。
そのまますぐに唇を塞がれて、熱い湯けむりの中、激しい二回戦が始まった。
戦いは終始一方的な展開で幕を下ろし、二人は逆上せそうになりながらお風呂を出るのであった。
夕飯は菜由が疲れ切っていたため光が作ることになり、慣れた様子で肉じゃがを作り、元々菜由が作り置きしていたものと合わせて食卓に運ぶ。「美味しいね」と二人顔を見合わせながら食を進め、昔の頃の話をしながら楽しく幸せな時間を過ごした。
ご飯を食べた後はソファに二人並んで軽くテレビを眺めたりお腹を休めて、時々目が合う度にキスしたりして微笑み合う。
いつの間にか菜由は光に膝枕をされたまま頭を撫でられていた。さっきまでは幸せそうににこにこ微笑んでいたが、段々と眠くなって来たのか微睡んだ顔でうとうとと目を細める。
「もう眠い?」
「……ん~…?」
「まだ20時だけど、まあ菜由は私がいっぱい攻めちゃったから疲れたよね。ちょっと早いけど、もう寝よっか」
「……ぅゅ………」
もう既に寝そうな菜由の膝裏と肩甲骨辺りに手を差し入れて、難なく持ち上げる。
寝惚けた菜由はお姫様抱っこされているとも気付かず、すぐ近くにいる光に甘えるように抱き着き、「んーふふっ」と嬉しそうな声を出した。
そのまま寝室まで運び、ベッドの上に優しく寝かせる。
ふと思い出したようにリビングに向かってあるものを取り出して、紙のメモ帳にペンを走らせたり色々作業をしてから寝室に戻り、消灯してから菜由の隣で横になった。
もう既に静かな寝息を立てている婚約者の頭を慈しむように撫で、唇に軽くキスを落とした。
それから少しだけ悲しそうな表情をしてから、菜由の背中に手を回して自分の方へ引き寄せて、いっぱいに菜由の匂いを感じながら眠りに着いたのだった。
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