第27話 一角と隻眼

「ちょっと狭くなってきたな」


奥に進むカイ達、先程の通路の約半分の幅に


並んで歩けていたが一気に狭くなり


一列に成るしかなかった


「...私は後ろの方が支援しやすいから

カイが、前歩いて」


ミコトのスキルは遠距離型であるため


カイは頷き


カイが前衛、ミコト後衛


「敵が来たら俺が迎え討つから

ミコトは飛び道具とラビットホールで牽制」


コクリと頷き2人は進んでいく


途中休憩をとりながらさらに進む


暫くして


カン!カン!と奥から音がする


岩陰に隠れながら先に居る


敵の姿を確認する


「「ブモォォォオ!!!!!」」


ミノタウロスが2頭


片方は角が欠けていて、片角で


一角獣の様になっている


大きな両手斧を両手に持ち


大盾を背負い黒鉄の鎧を身に付けている


もう片方は片目が潰れていて隻眼、片手に剣


もう片方には盾を持ちの黄緑の鎧を着ている


おそらくこの2頭は今回が初の対戦ではなさそうだ


2頭は向かい合いそれぞれ武器を構える


先に動いたのは一角


地を蹴り咆哮と共に斧を振り上げる


カイとミコトは咆哮の影響で硬直する


(うっ...あの咆哮距離があるのにコッチにまで)


だか、隻眼は盾で受け止め斧を弾いた


そして首、目掛け一閃


空を切り一角の首の体毛を掠めた時


一角はバランスをあえて崩し


首に迫り来る刃は


這うように一角の頬を掠め耳を吹き飛ばした


プシャ!ポタポタ


耳が飛んだ事実を無かったかのように


すぐ一角は起き上がりそのまま斧を切り上げ


隻眼の脚に当たり、脚が飛ぶ


そして膝から崩れ落ちる


はずだった


隻眼は次の瞬間、脚をキャッチし


あろう事か一角に投げつけた


血飛沫が目潰しになり


隻眼を見失なう一角


片脚になった隻眼は少し間合いをとり


盾を脚に翳したそして盾が輝きだす


あっという間に脚が生えた


(なっ!?...生えた?盾の能力か?それとも

あの隻眼のスキルか?どちらにせよ厄介だな)


一角の視界が戻り今度は隻眼が仕掛ける


盾を構え突進した、なんらかのスキルで


回復の為にとった間合いを詰める程のスピード


迎え討つは一角、既に反撃の体制に入っており


盾目掛け斧をフルスイング


盾と斧がぶつかるその衝撃波は離れた場所にいる


カイとミコトにまで届く


「...私、アレ正面から喰らったら死んじゃう」


(俺も共鳴状態じゃなきゃ受け止め切れない)


一角が隻眼を空中に吹っ飛ばす


今がチャンスと一角が斧を構え直す


スキルを発動し腕の筋肉が盛り上がり


周りに風も流れ始め、斧は光を帯だした


「ブモォォォオ!!!」


落ちる隻眼を追いかける様に


一角は突っ込んで行く


盾を構える隻眼だったが見事に砕かれ


無防備になる、一角は更にスキルを発動し


背負っている盾と斧を合体させる


隻眼は先程の攻撃で上に吹き飛ばされ落ちるまで


タメを作れる、一角の勝利は目前だった


(...あと一撃で勝利目前の相手

だけど、隻眼のアレは一角の目には映っていない)


隻眼は盾で突進する時に別のスキルを発動していた


盾を構え半身になり自身の後ろに剣を向けていた


吹き飛ばした一角はタメの時間が必要だった


「...勝負ありだね」


空中から狙いを定め


剣を振る


「ブモォォォオ!!!」


勝ちたいその一心


それはカイもミコトも久々と感じていた


当然、一角も


タメを辞め斧盾を胸の前で構えた


一角は剣の攻撃で後方に吹き飛んだ


ドン!ガシャ、カラカラ


隻眼がどんどん近づいて行く


一角の体はボロボロで動かないが


目はまだ諦めてなかった


「...」

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