第25話 ハンターとお告げ

部屋に戻り着替えてリビングに着く


未だ親父は寝ている


「いやぁ、悪かった

まさか弟が妹に成るとは思ってもみなかった」


(いや、俺だって女になるとは...しかも

姉貴に裸見られるとは思わなかったよ)


「あー、こんなん

事故だ、事故

てか、本当に親父は寝たら起きねーよな

結構な悲鳴だったと思うけどな」


レイは母親からアイスを貰っていた


「で、この子は?

そしてお前は

何故性転換している?」


ここまでの経緯を話したが


「ん???なるほ...ど?

同棲をしているという事でいいか?

それより体は戻るのか?」


レイにまたリバースをかけて貰い


元に戻る


「おぉ、よかったよかった

妹が弟に戻った

戻らなかったらどうしようかと思ったぞ」


現実離れしているこの現象に


特に触れず、お土産を広げ始める姉


カイそんな姉に


「で、帰省?にしては連絡なかったしな」


「あぁ、親に相談というか報告だな」


そういうと、姉は母に


「転職した」


そう告げる


「えぇ!?前の職場は?

プロジェクト任されたとか言ってなかった?」


姉はカイと14歳離れている


現在29歳この歳くらいになると


エリートな姉は責任重大な仕事を任されるらしい


「どこに転職?前は健康食品とかの

営業だったわよね?」


「それが“ハンター”なんだ」


「「!?」」


母親とカイは驚きを隠さないでいた


「姉貴、ハンターって最近話題の?」


「そう、私スキルが9個見つかってね

急な帰省もスキルを使ってなんだ」


ハンターという職業は


ハイリスク・ハイリターン


とてもじゃないが母は喜べなかった


「...そう、自分で決めたの?」


「うん、ダンジョンには回復アイテムがあった

それがあるって事は、お婆ちゃんの足だって治せるかもしれない」


姉はばあちゃんっ娘だった


カイがまだ2歳の頃


当時、姉は16歳反抗期の為


親父とソリが合わず祖母の家に住んでいた


祖母にも冷たく当たる時もあったが


祖母は気にせずに姉を可愛がった


そんな祖母と買い物に出掛けている時


交通事故で祖母は足を

切断しなくてはいけないほどの怪我をした


事故の瞬間、姉の上から鉄板が落下したが


祖母は姉を突き飛ばして代わりに足を潰された


(それから姉貴は婆ちゃんに

何か返せるものはないかといい企業に

入ってお金を稼ぎ、治療やリハビリをおこなった)


「私はお婆ちゃんの足を治したい

だからハンターになるよ」


そう言って親父に言伝を頼んで姉は帰って行った


「...お姉ちゃん、ずっと気にしてたんだね」


母がお茶を啜りながら呟く


「リハビリとか治療費全部出してたもんね」


レイは話についていけずオロオロとしていたが


母親に頭を撫でられてニコッとした


「カイにレイちゃん、そろそろ寝なさい

日付変わっちゃうわよ」


母に促され部屋に戻る


「なぁ、レイ

婆ちゃんの足治せるアイテムって

存在するのか?」


ふと、レイに聞いてみた


「無いわけではないだろうが

かなり希少な物じゃな

物よりスキルを探した方がはやそうじゃが」


治癒系スキルの方が可能性は高いが


スキルのレベル次第なのが難点ではある


「スキルか....俺が治癒系のスキル

受けまくったら手に入るよな...

そしたらどんどん成長させて

婆ちゃんも...」


そんな事を話しながら眠りについた





カーン、カーン、カーン


(鐘の音が聞こえる

ん?さっきまでレイと喋ってたけど

家じゃない!?)


「なんだここ?」


周りは靄だらけで何も見えない


後ろから光がさす


「眩しいな、なんだ」


そこに居たのは白銀の鱗に


赤と黒の炎を纏った


どデカい龍


「契約者よ

覚醒の時来たれり

其方の中に眠る力解放されたし」


(え?は?覚醒?どゆこと?

急に喋れなくなったし)


更に後ろから大きな兎が飛んでくる


「契約者よ

其方の盟友とも

共鳴を」


(兎!?ウサギかぁ

しかも共鳴?うさぎって言えば

ミラだけど

共鳴って?)


「契約者よ

汝の力は目覚めを待っています」


背後から白銀のベールがかかる


(後ろ!何かいる

なんだ?振り向けない!)


「我の名は....」



バッ!


布団から飛び起き


周りを見るがいつもの自分の部屋だった


「なんだ今の...」


釈然としないまま


時計を見ると6時を回った頃


シャワーを浴びて準備をする


部屋に戻るとレイが起きてきた


「おはようカイ、今日も早いの」


挨拶を交わし、食事の準備をして


リビングのテレビをつける


「朝のニュースをお伝えします...」


交通事故の話や


経済の話などいつも通りのニュース


だったが、途中ハンターの募集のCMが流れた


「....嘘だろ」


そこに写っていたのは姉だった


ドッキリをくらったような気がしたカイは


制服に着替え、家を出る


「いってきます」


「うむ、いってらっしゃいなのだ」


レイに見送られ


いつもより早い登校だ


「たまには早く行ってもいいよな」


いつもより少し静かな街並み


商店街を抜けて学校が見えてきた


校門をくぐり、下駄箱に靴を入れる


そこで声をかけられた


「...おはよ、今日は早いね」


ミコトが背後から現れ、慌てるカイ


「うわぁ!...ビックリした

脅かすなよ心臓に悪いだろぉ」


「....ふふ、カイが慌てるのは面白いね

夢のお告げに従った甲斐があった」


(夢のお告げ?)


「お告げって?」


ミコトは夢の中で起きてすぐ学校に行けと


そこで会った人を驚かせろとの事


「...変だよね

驚かせてなんか意味あるのかな」


私は楽しかったとミコトは言うが


夢のお告げにしては悪趣味だ


「そういえば朝のニュースみた?」


「...見た

ハンター募集

私も気になった、部活も

ダンジョン探索部にしようと思ってたから

...カイも入る?」


「あぁ、そのつもりだよ」


そんな会話をしながら校舎を歩く


そんな時だった


ドゴゴゴゴ!!!!!


大きな揺れだった


「カイ!こっち!」


ラビットホールを展開して


難を逃れたけど


揺れは3分ほど続き


校庭に大きな建物が


「新しいダンジョン?」

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