第20話 友達
「どういう事?」
母親の怪訝そうな顔
俺の親は昔からのなんというか
昭和の人?というか
今に合わない価値観を持っている
「...いやぁ、なんと言いますか
そのぉ、一緒に住んでます」
それを聞いた親父が俺に拳骨を頭に振り下ろした
ゴツン!
反射的に頭を抑えた
いつもなら、痛みで目がチカチカするのだが
特に痛くも痒くもなかった
「この娘は誰なの?
いつからいるの?
お母さん達が帰ってきてからじゃないよね」
これ、説明しても納得するか?
正直めんどくさい
親にはどう説明しても何故か
レイが彼女で同棲始めたと言う事になる
訳がわからない
「まぁ、よかったの!
妾も追い出されんかったし
カイもいたくなかったじゃろ?」
殴った親父が怪訝な顔をしていたが
まぁいいか
「いいのかなぁ?
なんか彼女って事になってるし」
ん?
と、不思議そうな顔をしたレイだったが
嬉しそうに
「良いではないか
妾とカイは仲が良いからの!
それより学校はどうじゃった?」
入学式でミコトに出会って
ラビットホールで転ばされそうになった事
一緒のクラスになった事を言うと
「よかったの!
ミコトが同じクラスというのは
なんだか都合がいいのぅ」
その後もレイと話をして
飯を食って寝た
翌日
キーンコーンカーンコーン
午前中に校内案内があり
そのあと教科書などが配られた
入学式が木曜で今日が金曜
来週から授業が始まるという
帰りの支度をしていると
「なぁ、この後遊び行かないか?」
人の良さそうな金髪の男子生徒に声をかけられた
もうグループが出来ているのか
頭良さそうなメガネの男子に
活発なショートカットの女子
イヤホンで音楽を聴いてるポニーテールの女子
分厚い本を読んでいるロング髪の女子
男2女3と
カイが入れば半々になる
(なんか合コンの数合わせみてぇ
高校生だからそんな事はないか)
そう考えていたが
カイ自身、積極的に声をかけるタイプではない
「あぁ、いいぞ」
それを聞いた金髪男子“リュウヤ”は
ニコッと笑い
メガネ男子の“シュウ”に
どこがいいか聞く
「僕はどこでもいい」
すると活発女子“サクラ”が
「カラオケかボーリングは!?」
いいねと言うリュウヤ
「私はあんまり運動は得意じゃないから」
とロング髪の女子“ユリ”がボソッと呟く
「私はカラオケがいい」
とイヤホンを外しポニテ女子の“カエデ”が
会話に混ざってきた
カイも小さい時からカラオケは行っていたので
カラオケに行った
下手なやつは居なかったが
特にカエデが上手くて驚いた
さらに驚いたのはそのカエデに褒められた事
そうしてカエデに気に入られた俺だが
男子達に呼ばれ少し内緒話をした
「なんだよ?いきなり」
聞くとリュウヤはサクラのが好きで
シュウはユリが好きらしい
(あらぁ...いい感じなのねぇ)
とおじさんムーブをかますカイだったが
2人の狙いはカイとカエデが付き合えば
トリプルデートができるという
(なんでお前らはもう付き合ってる前提なんだよ)
2人にそう言われて少しカエデを意識したカイ
カラオケ終わりにゲーセンにもより
カエデに誘われ音ゲーをやってみたが
まぁ、ボロボロだった
「カイくんは歌は上手くても音ゲーはダメだね」
最初は無表情に近い顔が笑顔に変わった
ちょっとドキッとした
リュウヤはサクラとバスケットボールを入れるやつ
シュウとユリはクレーンゲームで遊んでいた
最後にプリクラを撮り
(六人だとぎゅうぎゅうだな...そうか!!
リュウヤとシュウはこれが狙いだな)
これなら女子と密着しても不自然ではない
「おー、撮れた!スマホに送ろ
あ、カイLINE教えて〜
撮れたの送るから〜」
サクラとLINE交換してついでに
グループLINEも作って入れて貰った
他のみんなともLINEを交換して
するとリュウヤが
「なぁ、カイ明後日空いてないか?
またみんなで遊びに行かん?」
日曜日そうそれはカイにとって休みではない
「悪い、実家が飲食店やってて
土日は手伝わないと行けないんだ
ごめんな」
リュウヤがしょんぼりしていたが
「じゃあ
また学校終わりにどこか行こ
次も遊ぼうぜ、なぁ?」
みんな、そうしようとか
土日、お店行ってご飯食べる?とか
コイツらはいい奴だと思った
そしてそれぞれ帰路に着く
ガラガラガラ
店の引き戸を開け
「ただいまー」
店内は忙しそうだ
「おかえり、カイ
厨房が足らないから
着替えて入って」
(リュウヤ達いい奴だったな
今回はどれだけ続くだろうか
土日遊べないと付き合い悪いもんな
そのせいで
友達ってほぼいないんだよなぁ)
いつも通りそう
俺の友好関係に使う時間は
こうやって潰れていく
(もっと、友達と遊ぶ時間があれば)
「楽しいだろうなぁ.....」
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