第16話 決闘③
「早めに飛翔使っておいて正解だったな」
あと数秒遅く
地面に突撃するかたちだった
「そんな...これじゃあ
ラビットホールで落とす戦法が
意味ないじゃないか
....だから契約者同士で戦わせたのに
流石にレイのスキルは知ってるけど
継承されるのは1つや2つ
よりによって飛翔とか
あーもう!運がない!」
ミラの予定では共鳴を使うまでも無く
近接戦闘が得意な場合は飛び道具で
遠距離で厄介なタイプや
スキルで攻撃するタイプには
ラビットホールで落とすという
なんにしろ、ラビットホールが起点となり
相手を翻弄する作戦を考えていた
「まぁ、カイの相手をしていたのは妾じゃからな
この程度でやられる鍛え方はしとらん」
「...こんな事になるなら
ミコトを直接鍛えるべきだった」
そんなミラに対してレイは呆れた表情を浮かべた
(君は見返したくないの?)
それは初めてミラと会った時言われた事
私の家系は古い武士の家系で
男も女も強くなくてはいけなくて
朝から道場で稽古をする
私は家族と比べて体が弱く、小さい
兄と並んで稽古をしていたが
稽古という名の“虐待”にあっていた
竹刀を持たせてもらえず
動く事も許されず
倒れたらすぐ起き上がれと
夕方には私の血で道場は赤く染まる
夜のうちに掃除をしておく
朝になって綺麗になってないと
また叩かれる
そうなりたくはないから
掃除をしている最中
「悔しくないの?」
道場の入り口に裂け目が現れ
そこには、見知らぬ女性がいた
「...あなたは?」
「僕はミラ
君は何の為に生きてるの?
楽しい?」
掃除する手を止めてミラを見る
「...楽しくはないけど
生きてくのに仕方がないんだよ」
「仕方がない?
ふーん、じゃあ強くなればいいんじゃない?」
そんな事は、わかっている
大した理由もなく蔑まれる
「.....体が小さく、弱い
なんせ女だ
たかだかそんな理由で
こういう扱いを受ける
それをどうしろと?」
「僕と契約して
僕なら力をあげられる
今の弱い君を、強くできる
現状を変えたくない?」
今の状況を変えたいそして私は
そしてミラと契約した
その夜
翌日から生活が一変した
ラビットホールを使い瞬く間に
兄を返り討ちにしたが
両親は興味が無い様子で
とくにお咎めもなかった
「...こんなにも、あっさり」
「力を手に入れればそんなもんだよ
さて今度は僕に協力してもらおうかな」
レイという人物を味方に付けたいという事
レイという人が
とても強い事、契約者を探して動いている事
レイだったら、すぐに見つかる事
契約者だったらラビットホールもあるし
勝てるだろうという事
「僕はレイを手に入れたい
レイがいれば、他の奴らとは
勝負にすらならないだろうから
だからさ、僕の為に勝ってね」
レイ...その存在を手に入れる
その為の手段なのだと
言葉の端々から読み取れた
それでもよかった
私を変えてくれたのは
間違いなくミラだから
暫くしてミラが
レイとその契約者に会いに行くと
決闘の日が決まった
「よし、ミコト
共鳴について教えるね」
共鳴には信頼が必要との事だが
私が信頼していても
ミラが私を信頼しているように見えなかった
二つを一つにするのが共鳴だとの事だか
一つにするのだから私が近づけばいいのだ
そうして私がミラに寄り添うそのカタチで
共鳴が完成した
「やったね!これが僕の教えた
こんな短期で出来るなんてすごいね」
私を救ってくれたミラに迷惑はかけられない
「...ミラ、共鳴時の作戦なんだけど」
私の提案を聞くより早く
「いや、たぶん必要ないから大丈夫」
それまでもミラは私に戦い方を
教えてくれる事はなかった
ラビットホールの事をあまりわからないまま
私なりに考えて、戦法を編み出し
それなりに使えるようになった
「ミコト、明日だよ
絶対に勝つよ
それでなんだけど、作戦を立てた」
ミラの作戦は私とは全然違って
相手を軽く見るような感じがした
接近戦で勝てなかったら?
飛び道具が効かなかったら?
まあ、それで
ミラが満足するならいいかと
私の考えてた戦法はやめてしまった
その結果がこれ
もう共鳴を使うしかないけど
ミラから何にも言われてない
「っ!?」
カイの
すごい圧力で押しつぶされそうになる
「...どうすれば」
「なぁ、なんで本気じゃないんだ?
接近戦時も飛び道具使った時も
なんつーか、借り物っていうか
俺の事舐めるのは
まあ仕方ないような気もするけど
戦いを舐めてる
まるで、格ゲーで外野が指示してるみたいな
アンタが考えた訳じゃないだろ」
ミコトに対して俺はそう言い放つ
自分で考えたような工夫が感じられない
指示を待ってるかのような
言われた事をこなす
自分の意志がない
昔の俺を見ているようで腹が立つ
「...うるさい!
だったら見せてやる!」
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