第4話 爆弾発言の真相

 勉強が苦手な羽衣さん・結衣さんの成績を手っ取り早く知るため、2人の問題集を見せてもらった。…パッと見ただけでも、正解より不正解のほうが多かった。


これは骨が折れるな…。そう思った時、結衣さんが「もし勉強で圭くんにめっちゃ迷惑かけたら、お尻触らせてあげるね♪」なんて言い出した。


それを聴いただけでも混乱するのに、羽衣さんも「結衣がそう言うなら、私はおっぱいを触らせてあげる♪」と言い出す始末。


この姉妹、一体どうなってるんだ? すぐ問いただしたいものの、フリーズしかけているので言葉が浮かばない…。



 「圭君、しっかりして!」

俺の隣に移動した羽衣さんが肩を揺らす。


「あたし達、変な事言ったかな?」


結衣さんが同じく隣に来てからつぶやいた。


「言ったよ!」

さっきよりフリーズがマシになったからツッコめた。


「だって、他に圭くんにしてあげられる事ないし…」


「そんな事ないだろ。例えば…」


なんて言ったが、代案が浮かばない。というのも、高校はバイト禁止だから金を使う方向は極力避けたい。それにこの姉妹に最後に会ったのは4年ぐらい前だ。


なので、何が好きか・何が得意かはお互いわからない。どう答えるのがベストなんだろう…?


「浮かばないでしょ? あたしのお尻とお姉ちゃんのおっぱいで我慢してね♪」


方向性はともかく、一応2人なりに考えた結論っぽいな。そうなると強く否定しにくいから、言い方に悩む…。


「圭君って彼女いるの?」


俺が考えてる間に、羽衣さんが訊いてきた。


「いないよ」


「良かった。彼女さんに比べられる事はないんだね」


そこホッとするところか?


「あたし達の問題集の出来を見れば、家庭教師の圭くんに頑張ってもらう事は絶対なんだよね~。だからあたし達もお礼を惜しまないの」


「こんな事、圭君にしかさせないよ。恥ずかしいから」


「そうか…」


お礼の段階で立ち止まっていたら、いつまでも勉強できない。ここは適当に答えて話を切り上げるか。


「お礼は、俺にどれだけ苦労させたかで判断させてもらうよ。それで良いか?」


「良いよ(良いよ~)」


やっと勉強に取り掛かれる。そう思った時…。


「あのさ~、圭くんに言っておきたい事があるんだけど良い?」


今頃になって、結衣さんは何を言い出す気だ?


「どうした?」


「さっき、お姉ちゃんはおっぱい触らせてあげるって言ったけど、あたしはおっぱいに自信ないんだ…」


「私はお尻に自信ないの。だから触らないでね」


この姉妹、外見だけでなく体型も似たように見えるのに、そこの認識は違うのか。指摘すると“デリカシーがない”とか言われそうだし、黙っておこう。


「そうなのか」


「あたしとお姉ちゃんは双子だから、互いが互いを補ってるんだよ」


なら成績も補ってくれ。2人の苦手な部分はほぼ同じなんだが…。


「さて、おしゃべりはこれぐらいにするぞ。羽衣さん・結衣さん、気合入れてくれ」


「うん」


「頑張るぞ~」


一寸先は闇の状態で、俺は初めての家庭教師を行う…。

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