第3話 とんでもない事を言い出す姉妹

 羽衣ういさん・結衣ゆいさんの部屋を出た後、俺は自室で勉強する。校則でバイトが禁止されているので、勉強で時間を潰す事は珍しくない。


もちろん趣味はあるものの、マンネリするというか…。個人的に勉強と趣味のバランスはとても大切だ。



 ……よし、ページ内の問題を全て解き終わったぞ。答え合わせしないと。


そう考えた時、自室の扉がノックされる。荷物の収納が終わったかな?


「良いぞ」


俺の返事の後に扉が開き、羽衣さん・結衣さん姉妹が入ってきた。


けいくん、机に向かって何してたの?」


「勉強だが?」


「休みの日に勉強!? 何で!?」


「何でって言われても…」

驚いてる結衣さんに言われると、間違った事をしてる気分になる。


「圭君は勉強が好きなんだね。凄いな~」


「凄いっていうか、変な人じゃない? 自分から勉強なんて…」


変な人か…。少しは自覚してるが、指摘されるとショックだな。


「そんな事より何の用だ?」

話題を変えて気分を切り替えよう。


「荷物を全部入れ終えたから報告しに来たの」


「そうか」

羽衣さんがそれ以上言わないって事は、特に問題はなかったようだ。


「…ねぇ圭君。もし時間があるなら、私達の勉強を見てもらえるかな?」


「お姉ちゃんどうしちゃったの!? 熱でもある?」


この2人のプライベートは知らないが、結衣さんの態度から察するに“寝耳に水”なんだろう。


「だって私達の成績はひどいから、圭君になるべく早く知ってもらったほうが良いと思って…」


おいおい、そんなにひどいのか。先が思いやられるものの、ひどさが気になる。


「羽衣さんは勉強熱心だな。俺はOKだから、今からやろうか」


「わかった」


「お姉ちゃんがやるなら、あたしもやる!」


「結衣さんは無理しなくて良いぞ?」

嫌々やっても集中力が続く訳がない。


「やるったらやるの!」


何でムキになってるんだ? よくわからんが2人の成績は知っておきたいし…。


「そういう事なら2人一緒にやろう。場所は…」


よく考えたら、俺が今座っている学習机は1人用だ。2人一緒に見れないな。


「私(あたし)の部屋で良いよね? 圭君(くん)?」


何でここでハモるんだよ? なんて疑問は後回しだ。


「2人の部屋か…」


「そう。おばさんから折り畳み机を2脚借りたから大丈夫だよ」


「お姉ちゃんの言う通り。だから問題ないでしょ? 圭くん?」


「……」

いくら親戚とは女子だぞ? 入るのはためらう。かといってリビングは…。


「圭くん、嫌らしい事考えてる?」

ニヤニヤする結衣さん。


「考えてない!」


「なら決まりだね。圭君」


これ以上話すと時間の無駄だな。余計な事を考えなければ済む話だ。


「わかった。2人の部屋にお邪魔するよ」



 再度、羽衣さん・結衣さんの部屋に入る俺。さっきと違い、見慣れない物があちらこちらに見える。…段ボールは隅にまとめてあるようだ。


2人は折り畳み机を広げ、横に並べる。そして座り出す。


「最初はどうすれば良いかな? 圭君?」


成績を確認する方法は色々あるが、手っ取り早いのは…。


「各教科の問題集を見せてくれ」


本当はテストを見せて欲しいが、居候先に持ってきてるとは限らない。問題集の正誤で判断するとしよう。


「わかった」


「はいは~い」


2人から問題集を受け取ってから軽くチェックする。…“〇”より間違いを示す“✓“のほうが明らかに多い。しかもどの教科もだ。


「……これは本当に骨が折れそうだ」


「あはは…」

苦笑いをする羽衣さん。


「もし勉強で圭くんにめっちゃ迷惑かけたら、お尻触らせてあげるね♪」


「は?」

急に何を言い出すんだ? 結衣さんは?


「結衣がそう言うなら、私はおっぱいを触らせてあげる♪」


姉妹の爆弾発言を聴き、俺の頭は真っ白になる…。

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