第2話 ドキドキ開封タイム
親戚で双子の
昼食中に引っ越し業者が、2人の荷物が入った複数のダンボールを持ってきた。俺はそれらを彼女達の部屋に運んだり、中の物をしまう手伝いをする…。
「よし、これで最後だ」
全てのダンボールを彼女達の部屋に運んだ。
「ありがとう
羽衣さんが笑顔でお礼を言う。
この双子は鏡で映したかのようにソックリだが、俺から見て右目のそばにホクロがあるのが羽衣さん。左目のそばにあるのは結衣さんになる。
母さんが言うのは、それ以外の違いもあるらしい。焦らず少しずつ見つけよう。
「圭くんって、あたし達と最後に会ったのいつか覚えてる?」
「いや、覚えてない」
何度か思い出そうとしたがダメだったな。
「圭くんが小6の時だね。中学から会わなくなったんだよ」
という事は、2人に会うのは4年ぶりぐらいか。結衣さんがそんな事を覚えているとは思わなかった。
「どうして親戚の集まりに来なくなったの? 圭君?」
「だって親戚はおじさん・おばさんばかりじゃないか。話に付いていけないし退屈なんだよ。それなら家で好きな事やってたほうが良いだろ?」
この双子は、唯一歳が近い親戚になる。しかし異性なうえに自称コミュ障だから、退屈しのぎにならない。
「私達、ずっと圭君を心配してたんだよ? 『何してるのかな?』って」
「だから圭くんの高校に転校しようと思ったの。この家に居候すれば、毎日顔を合わせるからね」
俺を気にかけてくれるのは嬉しいが…。
「ちょっと待ってくれ。じゃあ“今の高校に飽きた”というのは嘘だったのか?」
初めて聞いた時は、あり得ない理由で耳を疑ったぞ。
「ううん、本当だよ。圭くんは飽きないの?」
「学校に飽きるなんて発想が浮かばないな…」
「そう? どんなに凄い観光地でも、毎日行き続けたら飽きない? そんな感じだよ」
結衣さんの言葉に、羽衣さんが頷く。
やっぱりよくわからん。学校と観光地を同じ括りにして良いのか?
「それに“クラスメートガチャ”が悪くてさ~。嫌な人がいるとウンザリするじゃん?」
「別に? 嫌いな人とは関わらないから…」
こういうケースは、相手も似たような事を考えてる場合が多い気がする。
「ふ~ん。とにかく、あたしとお姉ちゃんは学校とお母さんに事情を話したんだよ。そうしたらどっちも『勉強はどこでもできるから』って言ってくれたの」
叔母さんは一応納得できるが、学校が許可するとは…。生徒の自由を尊重する校風なんだろうか?
「私の言いたい事は結衣が言ってくれたけど、他に訊きたい事ある? 圭君?」
「…いや、今のところはない」
「そっか。じゃあ、今度はダンボールの中身を取り出してくれる?」
「わかった」
俺は一番近くにあるダンボールを開封した。すると…。
「圭くん大当たりじゃん。凄いね♪」
「圭君も男の子だから、鼻が利くのかな?」
そこには大量の女性用下着が入っている。運の悪さを呪いたい気がするが、まじまじと見るのは初めてだ…。
「顔を赤くして可愛いな~、圭くんは」
「赤くしてない!」
「結衣、からかっちゃダメ」
この場にいるのは気まずい。何とかしないと!
「やっぱり取り出すのと収納は2人がやったほうが良い。できたら俺に教えてくれ。部屋にいるから」
そう言って、逃げるように彼女達の部屋を後にした。
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