第4話 ハプニング


(もっと、話したいな)


そう思いながら布団に入った昨日もありながら、今日の朝を迎えた。


今日も学校へ向かう。いい天気だ、日向ぼっこするには丁度いい気温だ。昔はたまに日向ぼっこで1時間を潰したりしていたな、懐かしい。


向かう途中道端で荷物を抱えながら制服を着ている人がいる。朝だからか視界がぼやけて自分の高校かすらわからない。

目を擦ると視界がハッキリした。それと同時に、荷物が手の内から大きくこぼれた。


(あっ…!)


心の声が声に出そうだった。気づけば僕はその人の元へ駆け寄っていた。


落ちたものを拾い上げる。


「すいませんありがとうございます...!」


「いえいえ、そんなに荷物抱えてたら落ちてしまうのも当然ですよ」


できるだけ笑顔で対応する。


「荷物持ちますよ、この量の荷物、ひとりじゃ大変ですし」


下を見て荷物を拾い上げながら言う。すると、


「あれ、もしかして戸崎くん?」


丁度荷物を拾い上げて、初めて顔を見る。


「あ、織田おださんじゃん!おはよう」


織田朱里おだ あかりさん。確か蓮の前の席の人なはず。好きなK-Popのグループがいるはずなんだけど、トレンドに疎い僕は思い出せない。


「おはよう戸崎くん」


「いつもこんな早い時間に時間に来てたっけ?」


「いや、いつもはそんなことないんだけどね...」


「今日なにかあるの?」


「いや、あのー、別に?今日はなんとなく早く来ようかなーなんて思ってアハハ」


いや動揺し過ぎでしょ、丸わかりじゃんと思いながらも話を合わせ、雑談を交わし学校に着いた。


短い距離の中でわかったことは、彼女が穂高さんと知り合いだということ、蓮と幼馴染だということだ。確かに言われてみれば、稀にふたりが話している時があったような気もする。


学校に着いて勉強をする。織田さんに僕が登校中に、なんでこんな早くに学校に来るのかと聞かれた時、勉強するからと言ったからか知らないが織田さんも勉強を始める。


ちょっとするともはやいつも通り蓮のバイオリン演奏が聴こえる。相変わらず綺麗だ。そう思いながら周りを見ると、織田さんは勉強する手を止め、口角を上げながらその音楽を聴いていた。顔も少しだけ、紅くなってたような気がする。


そうして僕は今日、少し違う朝を過ごした。



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