第3話 竹馬之友
翌日の朝、僕は学校に行くモチベーションがとても高まっていた。蓮が実は昔近くにいたということをいち早く伝えたい気持ちがあったからだ。実際は、どれだけ早くに学校に行っても彼はバイオリンを弾いているので話せるとしたら休み時間だが。
今日も早く学校に着いた。この日は教室に入る前からバイオリンの音が聞こえた。そういえば蓮は何時にここに来てるのだろうか。教室に着かなければいけない時間が8時40分で僕が来るのもみんなが段々と来るようになる約30分前の8時だというのに、蓮は既にバイオリンを弾いている。1年の時もこんな感じだったのか。ますます蓮は何をモチベーションにしてこんなことを続けてられるのだろう。
蓮が教室に入ってきて、ある程度の用意を済ませたような時に僕は話しかけた。
「おはよ蓮」
「おはよう、蒼」
「ちょっと気になることがあるんだけどさ」
「どうしたの?」
「蓮って昔バイオリンやってた?幼稚園の時とか」
「やってたけど、なんで知ってるの?」
「そこに僕も居たんだよ!」
「えー!?」
まあその反応ですよねー。だって親の前で僕自身も全く同じ反応したから。
僕はあらかじめ昨日印刷した例の写真を見せる。
「ほらコレ見てや」
「ほんとだすご!俺たち繋がりあったんだね」
「みたいだね」
笑いながら雑談を交し、いつも通り授業を受けた。今日の蓮はより距離が近いように感じる。物理的にも関係的にも。距離が縮まったみたいで良かった。
...
「じゃあね蒼」
「うん、それじゃ」
僕は気分上々で家に帰った。距離が縮まってなんか仲良くなれた気がする。
...でもいつか切り出さないといけない。あの噂のこと。もし仮に聞けたとして、蓮に聞き返されたとしたら逃げ場がなくなって正直に答えてしまったが最後、積み重ねた友情が崩れてしまうかもしれない。でも聞きたい。
僕はジレンマに陥ってしまっていた。
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