第6話 テスト返し

テストから数日が経ち、いつの間にか僕には友達ができた。その友達も自分だけクラスが違うかったらしく、友達がいなくて寂しかったらしい。だから僕たちはすぐに仲良くなった。



そんな今日はテスト返しの日。僕は新しく出来た友達と点数勝負をすることにした。3教科合計の点数が低い方が負けで、学校の近くのコンビニでアイスを奢るというおまけ付きで。


テストはテスト返しの時間が1時間目に取られ、解説は後日の授業で行われる。今回は数学が足を引っ張ることになるかもしれないが、それ以外はかなりできている方だ。もしかしたら勝てるかもしれない。




僕はテストの点数を楽しみにしながら学校に来た。もちろん、今日も1番に着いた。自分でもこんな早く来るのは慣れないし、不思議だ。けど穂高さんにアピールポイントするためにも、学校に早く来て勉強をする。家にいても暇なだけだからだ。


勉強していると続々人がやってきた。人が5人くらい来たところで僕は勉強をやめた。みんながゆったりしたいのにその雰囲気を壊すように勉強して友達が出来なかったら最悪だからだ。




そのうち友達がやって来て、少し話して朝礼が終わった。



「蒼何点くらいやと思う?テスト」


「んー僕は数学やらかしたから3教科で250点くらい狙えたらいいなあ、そっちは?」


「俺はあんま取れてない気がするなあいつもに比べて」


「そうかまあ互いにいい点数やと願お」


「そやな」




1時間目が始まった。まずは国語。



「えー戸崎ー」


前に行く。


「よく頑張ったな」


囁かれた。



(キターーーーー!確定演出じゃないこれ?!いつもが普通すぎるのもあるかもしれないけど、この言葉は高得点取れてる生徒への言葉じゃん!)


僕は内心とてもウキウキで席に戻る。一方友達の方を向くと、特に嬉しそうでも悲しそうでもない。でも多分勝ってる。


テストを開ける。点数はなんと89点だった!いつもなら65点くらいしか取れない僕が、90に近い点数を取れるなんて思ってもなかった。僕は嬉しいままの気持ちを保っていた。




でも僕はすっかり忘れていた。それは国語の先生が帰り、数学の先生が入ってきた時に思い出した。


(あっ...そうだ、数学があったんだ...)



僕は不安になりながらテストを受け取り、点数を見る。30点。え、30点?僕は一瞬ぼーっとした。この学校には赤点ってはっきり明言されてる点数はないけど、平均点数を2で割った点数らしい。もしかしたら赤点なのでは?僕は頭が真っ白になった。30点なんてとった事がない。いちばん低くて44点だった。僕はかなり焦りながらも周りに耳を傾けると、



「おれ答え覚えてんけどさ、問題全然違うかったくない?」


「それなー俺もそうなんよ。なんか聞いた話によるとワークからあんまり出てないらしいでー」


「はーなにそれー」



という会話や、



「ねーやばない私28点やってんけどw」


「えやばいじゃーん」



という会話が聞こえてきた。どうやらみんなも先生の言ってたこと忘れているみたいだ。


「あ、そういえば言い忘れていたが、今回聞き忘れていたのか単に忘れていたのか知らないが、平均点すごい低かったぞー、平均点は45点だ」


良かったっ赤点ではなかった。安心できる点数では無いけど。


「ちなみに今回の学年の最高得点は98点で、このクラスにいるぞー」


クラスが少しザワついた。誰なのだろう。




そんなことを気にしながら迎えた3教科目の英語。僕は自信がある。


名前が呼ばれて前に出る。国語の時と違って普通に渡されただけでとくになにも言われず、僕はとても不安になった。もしかして勉強して埋めたつもりだけど、すごい間違っているのではないか。緊張しながらテストを裏返すとそこには71点の文字。まあまあかなあ...取れてるような取れていないような...



合計点は200点。思っていた50点も下だ。これは負けてしまうかもしれない。僕は緊張の気持ちを持ちながら、終わりのチャイムが鳴った。




僕らは歩み寄って互いにテストを構えて僕が言う。



「まずは国語だな」


「じゃあいくぞ、せーのっ」


僕は89点。友達を見てみると...

えええええええええっ!96点!?!?


「はああっ!?たかっ!お前、逆に何を間違えたん?」


「いやー全然漢字やってなかったからさー、漢字で4点落としちゃった」


??????

理解できない。優等生すぎる。


「ま、まあじゃあ次は数学だな」


「そうだな、いくぞ、せーのっ」


さっきよりも躊躇いながらテストを開いた。


目の前には30点のテストと、横には60点のテストが見えた。


「いやお前高くない?!」


「いやこれでもそんな取れんかったから」


「うーん僕には理解が出来ないな」


友達になってから全く気にしてなかったけど、もしかしなくてもこの人優等生だな。


そして英語。彼は英語が苦手だと言っていた。テストを開く。


僕が71点、彼は...


54点。


「あ、ほんとに苦手なんだ」


「もうほんとに英語は苦手でさ、全くできないんよ」


負け続けてたせいで英語で勝てただけでも十分な満足感だった。

そうして合計点数は 210対200 で10点差で僕が負けた。


「そういえば数学の最高得点の人知ってる?」


友達が言う。

確かにあの時は気になってたけど忘れてた。


「あれって結局誰なん?」


「川名くんらしいで、あのイケメンの」


「え、まじかやば」


僕はあまりの驚きに言葉が出なかった。なんであんなにイケメンで高身長の川名くんが、勉強も出来てしまうんだ。羨ましすぎる。

そうしているうちに、2時間目のチャイムがなった。




学校が終わり、約束通り近くのコンビニでアイスを2つ買って、コンビニの外で食べることにした。



アイスを食べながら雑談を交わすだけだと思っていた。しかし、僕はまだ、憂慮することを伝えられるとはこの時思ってもいなかった...


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