第14話 太くて硬い棒
奴隷商人の元へ戻ろうとも考えたが、ミロの呪いは杖を持った変態ジジィがかけたモノである。
だから洞穴を出た俺達は、ミロを性奴隷として飼っていた杖ジジィの元へ向かっていた。そこに呪いを解く鍵があるかもしれない。
それと新妻さんの行き先が気になった。
ダメージを受けた聖騎士団の回復のために近くの街に戻ったのだろうか?
それともポーションなどの薬や魔法で回復させて、俺達を追いかけて来ているんだろうか?
それとも1人で追いかけて来ているんだろうか?
新妻さんは俺の事を殺そうとしている。
それは俺が、この国で召喚された勇者だからである。勝手に召喚しておいて、弱いから処刑。そして別の勇者を召喚しようとしているのだ。この国では勇者は1人しか召喚できないらしい。
俺達は森を足早に歩いていた。
杖ジジィの街がある方向は、魔王イライアの所在地とは方向が違うらしい。
先頭を歩くのはチェルシーだった。彼の体にはナビみたいな魔道具が搭載されているらしく、森の中でも迷わずに歩く事ができた。
「そういえばミロには魔法の杖が必要なんじゃないか?」と俺は尋ねた。
彼女の記憶を見ていた時、ミロは白い甲冑に菜箸サイズの杖を持っていたのだ。
「えっ、杖ですか?」
とミロが尋ねた。
「杖っていうのは、太くて硬い棒だよ」
とチェルシーが言う。
「明らかに、ナニカを連想させる発言はやめてくれ」と俺は言った。
「その棒で勇者様はなにをするつもりですか?」
とミロが尋ねた。
「入れたり、出したり」
とチェルシーが言う。
「ナニカを連想させる発言はするな」
と俺が言う。
「口の中にも入れてくれますか?」
とミロが尋ねた。
「入れねぇーよ」
と俺が言う。
「オェってなるまで、奥に入れてほしいです」
とミロが言う。
「杖をナニ目的に使うつもりなんだよ」
と俺が言う。
「全ての魔法使いに謝れ」
「仕方がねぇーな。ミロのためにティンポコの形に特注するか」
とチェルシーが言う。
「それなら欲しいです」とミロが言う。
ティンポコの形をした杖をぶんぶん振り回しているミロを想像した。その杖で入れたり出したり、……時にはオェってなるまで口に入れたり……。
「大人のオモチャじゃん」
と俺は叫んだ。
「俺は魔法の杖が必要か聞いてるんだよ。杖っていうのは魔力を媒介にして、魔法を増幅させたり、コントロールしたりする魔道具だよ」
「魔力で小刻みに杖を震わす事もできるんだぜ。その振動を使って、アソコに当てると……」
とチェルシーが言い終わるまでに、
「もうええわ」と俺は叫んでいた。
そして俺達は少しの間だけ、黙って歩いた。彼女は歩きながら両手を木に向けて、魔法を撃とうとしている。でも何もでない。
「勇者様は杖は使わないんですか?」
とミロが尋ねた。
「俺は癒しのスキルしか持っていないんだ。癒しのスキルは直接手で触れた方が、治るイメージができるんだよ」
と俺が言う。
手当、という言葉を知っているせいかもしれない。医療が発展していない時代は手を当てて怪我や病気を治していたらしい。
だから手当という言葉ができた。
それが嘘かどうかはわかんないけど、魔法はイメージである。だから俺は杖を使わず、手当で治す。
「……私、杖ほしいです」
と彼女が呟いた。
「杖があれば魔法が使えそうな気がします」
「そうか」
と俺は頷く。
「振動した杖をアソコに当てたら気持ちいいイメージができるんです」
と彼女が小さい声で呟いた。
あまりにも小ささすぎて何を言っているのか聞こえなかった。
「魔法の杖は必ず手に入れよう」
「いいんですか?」
と彼女が尋ねた。
俺は魔王を倒さないといけない。
彼女の強化は必須だった。
「俺のためだ」
と俺は言った。
ミロは下半身をモジモジさせて、「エッチ」と呟いて、上目遣いで俺を見た。
「なんで、そんなリアクションになるんだよ」と俺が言う。
とにかく街に着くまで新妻さんを警戒しながら、魔法の杖を購入するために魔物を狩っていく。
魔物が持っていた錆びた剣や、壊れた盾を新品の状態にした。
そして2日間、歩き続けて目的の街にやって来た。
手に入れたアイテムを売るために俺達は武器屋に向かった。そして魔物から手に入れたアイテムを受付のカウンターに置いた。
カウンターの奥にいたヒゲモジャの男が俺をジーーと見つめていた。
彼はドワーフっぽい。どこかであったような気がした。
「アンタ、癒しの勇者か?」
ヒゲモジャのいかにもドワーフの男が尋ねた。
「もしかしてバランか?」
と俺は尋ねた。
ヒゲモジャの口が、ニコッと笑った。
「久しぶりじゃねぇーか」
とバランが言った。
(作者からのお願い)
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関連作品は『性奴隷を飼ったのに』です。もしよかったら読んでください。
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